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数日後、顔合わせの機会を頂いた。
「ローズ辺境伯様、顕教騎士団長様、本日はお時間を頂き誠にありがとうございます」
「いえ、むしろこちらから急に申し込みをしてしまい、申し訳なかった。」
辺境伯が言った。
「もうすでに知り合っているとのことだったな。ロイ、ちょうど夏の花々が美しく咲いている。エマ嬢を案内してあげなさい」
「はい、エマ嬢、行きましょう」
ロイが手のひらをだした。
「・・・はい」
ロイの出した手に手を重ねた。エスコ―トとわかっていても、心臓がうるさかった。
2人はしばらく庭の花々を見ながら歩いた。
「少しそこで休憩しませんか」
テラスを指さし、ロイが言った。
「あ、はい」
エマはついていった。
緊張していた。
なんで婚約を申し込まれたのか聞きたかった。
同情とかではされたくなかった。
侍女がティータイムの準備をしている。
可愛らしいフルーツタルトが準備されていた。
「・・・」
「エマ嬢、今回婚約を申し込んだ件だが・・・」
しばらく無言が続いた後、ロイが話し始めた。
「はいっ」
「エマ嬢、その前に少し昔話をさせてくれないかな」
「?はい」
ロイはリナのこと、リナのことが好きだったことをエマに話した。もちろん姿が似ているというところも。
「・・・」
エマは黙ってすべて聞いていた。
「エマ嬢、これだけは信じてほしい。リナの代わりを求めたわけではない。エマ嬢に対し、同情してのことでもない。妹と無意識に思い込もうとしていた。この年になって恥ずかしいけど、エマ嬢をのこと純粋に行為を抱いている。リナに似てるからではない。エマ嬢だから、一緒にそばにいたい。辺境に嫁ぐのは環境のこともあり大変かもしれない。でも私が絶対守り通す。幸せと思ってもらえるようにする。改めて、・・・私と婚約していただけないでしょうか。」
まっすぐエマの顔を見る。
「っ・・・」
たらりと涙が流れた。
リナさんのことへの悲しみか、プロポーズされての嬉しさか、なんだかわからない。
「・・・よろしくお願いいたします。でも、私もあなたを守ります。2人で幸せを作りましょう」
エマはほえみながら言った。
ロバート伯爵家とローズ辺境伯家の婚約が整った。




