ロイ3
王都騎士団との合同訓練中、ミルクティー色の髪の少女を見つけた。リナに似てるなと思い、なんとなく近寄ってしまった。その時風で帽子が飛ばされそうになり、取ろうとしたところを転倒しかけていたため、おもわず抱き寄せてしまった。誰かに用かなと思い、なるべく怖がらせないよう丁寧に対応した。
リナの他に自分を怖がらず、はっきりとみてくれた女性は初めてだった。
その子は、エマといった。
エマはその後もよく鍛錬場に来ていた。よく話すようになった。リナといるみたいだと時々錯覚した。でも、会うたびにリナとは違う魅力を少しずつ知っていった。妹のように接した。いや、妹と無意識に思うようにしていた。『妹』にこだわっていた。この気持ちが恋愛感情なのかはわからないが、容姿がリナに似ているから接しているなんて、勘違いされたくなかった。リュカにも、そしてなによりもエマに。
エマに告白された夜、リュカに呼び出された。
「急にどうした?リュカ」
「エマ嬢となにかあったんだろ」
「なぜそれを・・・」
「アンリがみていた。」
「そっか・・・」
「ロイ、俺、ロイがリナのこと好きなこと知ってた。知ってて黙ってた。仕方ないことだったから。でも、今吹っ切れてることも知ってる。エマ嬢の話をするときの幸せそうな顔もみてきた。エマ嬢とリナは違うよ。無理やり『妹』と思う必要ないよ。」
「・・・16も年上だよ」
「俺は15も年下のお嫁さんをもらうよ。変わらないよ。」
「お互いロリコンかよ」
「それはやばいな」
2人は笑いあった。
その日、しっかりと自覚した。エマへの想いを。




