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わたしは昔から大柄で熊みたいな人が好きだ。
他のみんなは、すらっとして、流し目で、王子様みたいなきらきらしている男の子がかっこいいといっているけど、やっぱり背が高くて大柄で筋肉質で、顔が怖いことを自覚して優しい言葉遣いをきにしてたり、騎士団員のことをよくみていたり、すごく強いのに甘いものが好きだったり、妹のことを大切にしていたり・・・ロイ様が好きだ。
家に帰り、エマは布団に潜り込みえぐえぐと泣ていた。
侍女のマリーが優しく背中を撫でてくれている。
わかっていたことだけれど、「妹みたい」とはっきり言われるとやっぱり辛い。胸が苦しい。ロイ様の前で醜態をさらしてしまった。あんなにぽろぽろと泣いてしまうなんて、淑女としても失格だ。
「マリー、今日ね、好きな人に告白したの」
「はい、見ておりましたよ」
「マリー、私は妹みたいなんだって」
「・・・そうおっしゃっていましたね」
「マリー、私ねほんとにほんとにすきだだったの」
「存じてますよ」
「マリー、好きな人に妹見たいって言われるのってこんなにつらいんだね」
「・・・そうですね」
「マリー、はじめは一目ぼれだったの。筋肉質でね、背が高くてね、抱きしめられたときすごくドキドキしたの。でもね、さりげなく周囲に気遣っているところとか、甘いものが好きとか、笑うと可愛いくて熊さんみたいなところとか・・・どんどんどんどん好きになっちゃったの」
「存じ上げてますよ。ずっとエマ様といましたから。」
「っ・・・マリー!!」
エマは、マリーに抱き着き、しばらくの間泣いていた。マリーはずっと抱きしめていてくれた。




