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プロローグ
恋は突然だ。
今まで恋なんてしたことのない私が言うのだから、突然なのだ!
私、エマ・ロバートは、ミルクティー色の髪とブラウンの瞳をもつ地味な女である。
暑い日差しの中、大きめの帽子をかぶって、黄色の小花柄のワンピースをきて、騎士団員である兄への差し入れをもって、騎士団の鍛錬場に来た。
「きゃっ」
急に強い風が吹いて帽子が飛ばされそうになり取ろうしたところ、段差に気付かず転びそうになった。
「あぶないっ」
誰かの声が聞こえたような気がしたが、転ぶことをと覚悟し目をつぶって衝撃に備えるも、なぜか痛みはない。
体がなにかに包まれている感覚と少し息苦しいが心地よさを感じがした。
目を開けると、がたいのよい男性が私を抱き留めてくれていた。
ブルーの瞳と目が合った。
それが私が恋に落ちた瞬間だった。