ep4−5
第1ステージは突破した
次なるは第2ステージ
場面は切り替わる
ここは…
「小学校?」
ここは信幸の母校である
懐かしい小学校が目の前にある
「もしかしてここが第2ステージ?」
「そうよ」
レナが言う
というかシレッとレナは小銃を肩にしょっている
「あれ?、なにそれ?」
「ライフル」
「いつの間に?」
「第1ステージクリアの特典」
「ああ、そう」
ライフルが登場してきたという事はいよいよここからが本番であるのかもしれない
というか信幸はハンドガンである
多分今持っているハンドガンよりライフルの方が強いだろうし射程距離も長いだろう
是非ともライフルが欲しいところだが今はレナが装備している
いや、リボルバーはカッコイイが威力が弱いし射程も短い
「これはボルトアクション」
「ボルトアクション?」
信幸にとって銃の事はちんぷんかんぷんであり何がどうなのかは全く分からない
さっき考えた通りライフルは拳銃よりも遠くから狙い撃てるぐらいの知識しかない
「援護射撃は任せて」
「ん…んん」
接近戦の突撃役は信幸で決定である
やはりメインは信幸である
ゾンビと正面切って戦うのは信幸である
信幸が主役なのだから当然である
あくまでレナはナビゲーター兼サポート役である
まぁ、戦闘で後方支援があった方が楽だろうから大いに助かるが
「聞きたいことがあるんだけどさ」
「なに?」
「第1ステージではダメージ受けてないけど、もしダメージを受けたらどうなるんだ?」
「普通にダメージを受けるわよ」
「といってもゲームの中だよな?」
「ライフゲージが0になったら死ぬわよ」
「ゲームオーバーってトコロか」
「本体の信幸君も死ぬわよ」
「おいぃぃぃぃ⁉︎」
「ゲームを解析した結果死ぬようになっている」
「え?、ゲーム内で死んでも現実世界の方でも死ぬって事?」
「そう」
「どういう原理で?」
「高圧電流が流れてきて感電死」
「おいぃぃぃぃ⁉︎」
ゲームプレイ中に人が死ぬ原因が判明した
感電死ってボンッとか言って髪の毛がトゲトゲになって死ぬヤツか
いや、正確には知らないが
というかどこからその致死量に達するだけの電流が流れてくるのか?
発生源は?
人は何ボルトで死ぬのだっけか?…とか考えてみる
いや、電流はアンペアだったっけか?
ボルトは電圧であり電気抵抗はオームだった…筈
昔資格試験の時にオームの法則とやらがテストに出ていたのを思い出した
学校でも習った記憶がある
そんなもの電気関係の仕事でもしていなければ忘れてしまう
高圧電流が心臓を通れば普通に死ぬだろう
何にしてもかなりヤバそうだ
「…死なないようにしないとな」
「そうね」
「で、この第2ステージの…小学校ステージのクリア条件は?」
「ミッションはボスに奪われたキン消しを奪還すること」
「はい?」
「キン消しを奪還すること」
「キン…消し?」
これまた懐かしい名前が出てきた
キン消しとはキン肉マン消しゴムの事だ
信幸の子供の頃に流行ったキン肉マンの玩具の一つで塩ビ製のフィギュア
あくまで人形であり消しゴムとしての機能が付いている訳ではない
当時かなり集めていたのを思い出した
確か蓄光タイプのもあった
夜光るキン消し
それはそれで不気味であるが子供の頃にはカッコいいと思ったものだ
「何か?」
「いや、何か熱が出てきた」
「リタイヤ?」
「いや、そういう訳じゃない」
改めて小学校を見渡す
今でもあるがもう敷地内には関係者しか入ることはできなくなっているようだ
昔は何か誰でも入れた…訳でもない
小学生目線でも大人の不審者は目立っていて先生に言ったものだ
「懐かしいな」
「時間制限があるわ」
「分かってる」
そう、懐かしがってはいられない
信幸のリボルバーの弾数はあと3発
普通に考えてライフルがいるだろうステージで3発では心もとない
「リボルバーの弾を増やしたい」
「調べてみる」
レナがこのステージを解析し始める
その間信幸は校舎を見渡す
やはり懐かしい
しかしこの中にもロボゾンビが潜んでいる筈だ
だが何がなんだが分からずに右往左往し慌てた第一ステージの時と違ってゲーム内容を理解し武器も所持している今は少し余裕ができている
「リボルバーの弾の補充は理科室でできる」
「理科室か」
というか理科室はどこにあったか?
なにぶん昔の事なので忘れている
「理科室まで案内してくれ」
「OK、信幸君」
「いや、待ってくれ」
「?」
「今持ってるリボルバーより強い武器はあるか?」
「無い」
「なら補充するしかないか」
「案内するわ」
「ちなみにボスはどこにいるんだ?」
「体育館」
何か嫌な予感しかしない
広い体育館にいるゾンビ
それってデカい系のゾンビではないのかと
ゲームの流れ的に敵も強くなっていくだろう
何にしても弾の補充はしておかなくてはならない
小学校の庭から校内入り口へ
下駄箱が並んでいる
これも懐かしい
そしてそのまま中に入る
一直線の廊下
何か色々と当時を思い出してきた
友達と遊んだ記憶
先生に怒られた記憶
昼の給食と給食時に校内放送されていた音楽等
どれも懐かしい
入り口を入って直ぐに2階に上る階段があり、それを上る
そして2階の直線廊下を歩きゾンビに遭遇する事なく理科室に
そうそう場所はこんな感じだった
「もしかして中にゾンビがいたりする?」
「1体いるわ」
どちらにしても中に入るしかない
それで理科室の中に入る
何か独特の匂いがする
そして室内の奥にガラスケースに飾られている人体模型が
子供の頃には怖かったがいま見ても不気味だ
外科医とかなら気にならないのだろうが生憎信幸は外科医ではない
単なる名も知られぬ日雇い労働者でしかない
子供の頃には日雇い労働者になるとは想像もしていなかった
「ゾンビってあれだよな?」
理科室の中にはゾンビらしきモノはいない
いるとすれば人体模型が動き出すとか言った類のものだろう
そしてそのすぐ横には弾が球体の泡に包まれて宙に浮いている
「正解」
「やっぱりか」
近寄ったら動き出すとかいうヤツだ
戦闘は避けたいが近寄らないと弾が取れない
「こっからライフルで狙撃できないのか?」
「動き出さないと敵認定できない」
つまりは信幸が近寄って囮になり人体模型が動き出せばレナが後方からライフルで撃つという形だ
「なら俺が近寄るからライフルで撃ってくれ」
「OK、信幸君」
そう言うとレナは肩からしょっているライフルを手に持ち構える
全くもって頼もしいものだ
信幸も念のためにリボルバーを手に持ちゆっくりと人体模型に近づく
一向に動き出さない人体模型
もしかしてこのまま弾を取れるか?、という甘い期待とは裏腹にやはり動き出した
パンチでガラスを破る模型ゾンビ
中々のパワーだ
咄嗟に身を引いて銃を構える信幸
その瞬間レナのライフルの弾が模型の頭部に当たった
そのまま床に崩れ落ちる模型
あっさりやっつけたようだ
流石はライフルである
ライフル様々である
やっぱりハンドガンよりもライフルの方が強いよねである
しかしリボルバーもあの44マグナムとかならそっちの方が強そうではある
つまり44マグナムを何としても手に入れないとダメなのである
このゲームにその銃があるかどうかは知らないが
「よし、弾をゲットだな」
6発の予備弾を手に入れた
これで9発撃てる事になる
これならばどんなゾンビが襲ってきても敵ではない
「さぁ、ボスを倒しにいこう」
「なら音楽室ね」
「え?、体育館なんじゃ?」
「体育館に入る為の鍵は音楽室に行かないと手に入らない」
「音楽室か…」
またそこにもゾンビが待ち構えているのだろうと信幸は溜息をついた




