誕生
新作です、前作の方は悩みがあるのでまとまり次第出します!
???
此処は、どこなんだ。皆目見当がつかない豪勢な屋敷のようだ。体がものすごく重い寝ていたいでもここで寝たらダメな気がする。何とかしてあたりを見渡してみると男は、髪を結い皆着物をまとっていた。
どこか察することもできたが夢かもしれない、いや夢だと信じたかったがそんなに現実は甘くはなく自分の頬を引っ叩いても冷めることなく只時が過ぎた。
どこか期待していた自分に辛く重く伸し掛かる現実が覚悟を迫る。床から迫り出し覚悟を決めた
「 この国をいや武田を何処の列強にも負けぬ強国に押し上げてやる 」
こうして長い長い人生は、幕を開けたのであった。
1553年 1月 甲斐国 躑躅ヶ崎館 武田晴信
部屋で来るであろう長尾の策を講じていた、いまいち身が入らんなぁ。
一度顔を上げ地図を凝視する面々の顔を見渡した。
(父上を追い出してからもう12年も経つのか。甲斐の国もあの時より豊かになったが海を手に入れなければいかん。甲信は内陸ゆえ、塩が取れず大量の甲州金を毎年支払って大変痛い。だが海さえ手にいれさえすれば武田は、強く大きくなる。)
「御屋形様、三郎様が回復されたとのことです」
策を講じていた者たちは、一様に立ち上がり儂の方を、見つめた。
儂は、にわかには信じられなかった。昨夜、信之の治療に当たっていた永田徳本から聞いた話ではもう起きることも叶わないほど衰弱しており、もう持たないだろうと言いうことだった。三条は泣き崩れ儂もその姿をみたのは初めてであった。そんな信之が回復したとなればこの上ない喜びだった。
「相分かった、直ぐに向かう。三条にもこの事伝えておいてくれ。皆の者此度は、儂は失礼する典厩あとは頼んだ」
そう言って駆け出していた。
信之の部屋
「三郎大丈夫か、話せるか」
前日までの顔の悪さが引き血の色がよくなっていた。しかし今までの疲れもあるのだろう疲れの色が見えた。しかし此奴なにか変わった。いや中身が入れ替わったようだ。
「三郎、お主記憶が錯乱しておるのか、いやないのか。まぁ後々思い出すであろう。ゆっくり養
生せい。平三郎(金丸平三郎昌直 土屋昌次の兄)三郎を頼む。今記憶が混乱しておるようだ少し置いといてやれ。」
儂は、そのまま恵林寺に向かった。
「 和尚、三郎が回復しましたが人が変わってしまったようで」
それを聞き、少し思案を巡らせ放った言葉。
「起きたのじゃよ虎が、今まで眠っておった血が目覚めたのであろう。もう少し後継者は考えた方がよいかもしれんぞ」
和尚の気の利いた戯言だと普段だったら笑い飛ばせる所だったがこれが後々現実となる日が来るとはまだ私も考えていなかった。