~第九話~
重たい瞼を無理矢理こじ開けて授業を耐えきった僕は、待ちに待った給食の時間を迎えた。
一週間ごとに変わる給食当番というものがあり、その当番が配ってくれるのだが、僕の席に給食が運ばれてくる気配はない。
そして、結局最後まで給食が運ばれてくることはなかった。
先生は何を見ているのだろうか。きっと面倒くさいことにしたくないのだろう。
呆れて、給食を自分で取りに行こうとしていた時だった。
そんな僕を気の毒に思ったのか、学級委員長の峰岸さんが給食を置いてくれた。峰岸さんは誰に対しても優しくて真面目で、僕も彼女には信頼を置いていた。
「峰岸が稲村に餌を与えたぞ。もしかして二人は・・・」
その出来事を、見逃すような青山ではない。すかさず、僕たちをいじってきた。
「はあ?なんで私がこんな底辺男と付き合わないといけないのよ。こいつと付き合うくらいなら、死んだほうがましだわ。」
その瞬間、僕の体はぐらりとよろめいた。
いつもは上品だった峰岸さんがそんなことを言うなんて・・・、そんなことを思われているなんて・・・、峰岸さんの言葉がぐるぐると脳内を回っている。
僕の中で、何かがパリンと音を鳴らして割れたような気がした。
信頼していた人にも嫌われていたとしたら、立ち直れる気がしない。
お兄ちゃん・・・。僕を助けてよ。またあの時みたいに相談に乗ってよ。いつものように励ましてくれよ・・・。そろそろ身も心も限界だ。
「おい見ろよ。あの顔!人生終わった…。みたいな顔をしているぜ。」
なんで僕だけがこんな目に遭わないといけないのだろうか。なぜ僕はこんなにもいじめられるのだろうか。
僕が気に障るようなことをしてしまったのか。それとも、僕には個性がないからなのか。自分でも分からない。みんなは必ず一つ個性を持っている。
青山だって、皆を引っ張るリーダーシップがある。峰岸さんだって、真面目な性格をしている。
でも、僕には何もない…。
小さいころに、必死になって考えた。それでも、答えが出ることはなく、僕がどれだけちっぽけな人間なのか、よく思い知らされた。そして、自分が嫌いになった。
自分という人間について深く考えてみると、やっぱり自分はダメな人間なんだと、さらに沼にはまってしまう。
そうして最後の結論として出るのは、「生まれてこなければ良かった。」という後悔だけだ。何度考えたとしても、結局行きつく答えは同じで、自分の弱さを痛感した。
今回の事で、尚更死にたいという気持ちは強くなった。だけど、そんなに簡単に死ぬことができないのが人生だ。
ああ、僕は本当にダメな人間だ。死にたいと思っても、本当に自殺する度胸はなく、覚悟を決めることができない。
結局、僕は一人では何も行動を起こせないのだ。
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