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~第七話~

「ただいま。」


 急いで時計を確認してみても、いつもとほとんど同じくらいだった。それよりは、青山たちにいじめられていた時の方がよっぽど遅い。


「あら、お帰り。今日も学校は楽しかった?」


 母の何気ない言葉が胸にぐさりと突き刺さった。いじめられていると言えたら、助けて欲しいと言えたら、僕はどれだけ楽になれただろうか。


 僕には唯一の救いだった兄がいた。でも、その兄は二年前くらいに行方不明になってしまった。いなくなったのは一瞬だった。学校に行ってくると言ったきり、帰ってこなくなったのだ。

 

 それから警察に依頼して、どれだけ探してもらっても、姿が見つかることはなく、神隠しにでもあったのではないかと言われるほどだった。


 兄は成績が良くて、母から将来を期待されていた。そのため、期待していた兄がいなくなって、母はひどくショックを受けていて、カウンセリングに通っていた。


 もちろん、僕もショックを受けた。そして、たくさん後悔した。もっと優しくしておけば良かった・・・、もっと顔を見ておけば良かった・・・と。


 兄だけには、いじめられていることを話していた。そして、そんな僕をいつも励ましてくれた。僕はそんな兄が大好きで、憧れの存在でもあった。


「うん、楽しかったよ。今日は友達と鬼ごっこをしたんだ。それで、最後まで逃げ切ったんだよ。すごいでしょう。」

 

 こんな話、全て嘘だ。本当は鬼ごっこなんてしていない。そもそも、友達なんていないのだから。

でも、学校の事を聞いている時の母はとても幸せそうな顔をしている。そんな母を不安にさせたくないという一心で、今日も嘘をつき続ける。「うそつきは泥棒の始まり」なんていう言葉もあるが、これは必要な嘘なのである。


「すごいじゃないの。もう少しでご飯できるから待っていてね。」

 

 夕飯ができるのを待つ間、少し前まで兄と一緒に使っていた部屋に入り、机の上にある写真を手に取った。写真には、兄の隆誠と僕が写っていた。後ろにある建物からして、初めて旅行に行った時の写真だろう。


 うちの家は貧乏ながら、父が一生懸命に働いて、一回だけ旅行に行ったことがある。


 あの時は、まだ僕もいじめられていなかったから、不快な思いなどもせずに純粋に楽しめた。兄も楽しそうに笑っている。


 一体、どこに行ってしまったのだろうか。兄との思い出が蘇ってきて、涙を流さずにはいられなかった。


 最近、寒くなってきたので一発ギャグをします。(逆効果)


  タヌキのかたぬき!

 

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