~第六話~
何時間くらい経っただろうか。
みんなが輝きながら流れる汗を、手の甲で拭っている。疲れ果てているはずなのに、みんなが笑っている。
少し不思議な感覚だったが、すぐに慣れた。やはり復調村は、僕が求めていた村なのだろう。
溢れ出る幸せに浸っていると、ふと、帰らないといけないことに気が付いた。ここではなぜか明るいが、ほかの場所ではとっくの昔に日が沈んでいるだろう。
「そろそろ僕は帰るよ。」
零矢に声をかけると、「分かった」とだけ言って、指を鳴らした。すると、二匹の狸が奥から人力車を引きながらやってきた。
「迷子にならないように、送って行ってあげるよ。さあ、乗って。」
零矢の言う通りに人力車に乗った。いや、狸が引いてくれるから狸力車なのかもしれない。
そんなことは、大方どうでも良くて、本当に狸二匹で進むのだろうか。少し不安になってくる。
そわそわしながら待っていると、人力車(狸力車)は動き出した。動きだしてみると、不安要素はみるみるうちに消えてなくなっていった。これなら安心だ。むしろ、ぐんぐんとスピードを上げながら進んでいる。
そして、復調村の入り口で降ろされた。僕を降ろした後、狸たちは霧のように颯爽と姿を消した。目に見えない程、あっという間だった。
復調村を出た僕は、外の景色に目を大きく見開いた。
なんと、まだ日が沈んでいなかったのだ。
何度、目をこすったり、頬をつねったりしてみても、目の前に広がる景色は変わらない。
そして、もっと恐ろしいことに気が付いたのだ。僕のおなかは空腹状態だったのだ。
それに加えて、サッカーをしてできた傷跡も消えていた。それに気づいた瞬間、背中に虫が登っているような感覚に陥った。鳥肌も立ってきて、急いで家に帰った。
しかし、不思議なことに、復調村にいたことの記憶はきっちりと残っており、零矢の事も覚えていた。
最近、寒くなってきたので一発ギャグをします。(逆効果)
この鶏肉は鳥とりにくい!