~第五話~
「食事が終わったら、グラウンドでサッカーをしよう。この村は人口が多いから、たくさんの人がスポーツを楽しんでいるよ。」
僕にとってサッカーは、憧れのスポーツだった。でも、ゴミのような扱いされている僕にはボールなんて使わせてもらえなかった。
一回だけキーパーをさせてもらったことがあるが、みんなは僕の顔面に向かって弾丸シュートを放った。そして、サッカー部のエースのシュートが顔面に直撃し、気を失ってしまった。
そんな僕をみんなは嘲笑う。それが悔しくて、親に頼んでサッカーボールを買ってもらい、必死に練習した。
「稲村君はサッカーをしたことはあるの?」
あれ?どこかおかしい。
僕はまだ、零矢に名前を教えていないはずだ。それなのに、零矢は確かに今、僕の名前を呼んだ。
混乱している僕とは真逆に、零矢は平然とした顔をしている。僕が覚えていないだけで、本当は名乗っていたのかもしれない。ひとまずは、そう考えるようにした。
「サッカーは暇なときにしていたから、少しくらいはできると思うよ。」
僕たちは食事を終え、食堂の外へ出た。
本当は夕方くらいのはずなのに、外は相変わらず太陽が光り輝いている。
少し疑問を持ちながら、グラウンドへと向かった。
グラウンドに着いた頃には、すでに何人か集まっていて、楽しそうにサッカーをしていた。
僕と零矢は仲間に入れてもらい、軽いウォーミングアップをしてから、試合を始めた。
狸の開始の合図とともに、ボールを持った零矢が一人、また一人と、ドリブルで抜いていく。僕は、その間に前線へと走った。
そして、絶妙なタイミングで零矢からのパスが、弧を描いて飛んできた。それを、太ももで柔らかくトラップし、ゴールの左隅へ全力のシュートを放った。
ズバーン
僕のシュートは心地よい音を鳴らしながら、ゴールネットを揺らした。
零矢が、満面の笑みで近寄ってくる。
「ナイスシュート。この調子でもっと点を取るぞ!」
他人と喜びを分かち合えるなんて、いつぶりだろうか。
僕は、この瞬間が幸せで仕方なかった。
最近、寒くなってきたので一発ギャグをします。(逆効果)
カカロットによっかかろっと