~第四話~
食堂の中は、たくさんの人でにぎわっていた。ざわざわしていて、落ち着かない。まるで、誰かに責められている気分だ。だから、あまり良い気はしなかった。
「皆さんお静かに。」
静まり返る食堂内。指示を出したのはもちろん零矢だ。
零矢は見た目からして十七歳くらいで、決して村をまとめられる歳ではないが、さっきまでの光景からは想像できない程静かになった。それほど、零矢は権力を持っているのだろう。恐ろしいものだ。
「今日は新しい人が一人増えました。これからも、人口を増やしていきましょう。では、皆さん手を合わせて下さい。いただきます。」
零矢の号令の後、素早く狸が駆け寄ってきた二足歩行の狸たちは、右手に料理を持って各テーブルに置いて行った。それにしても、大量の数の狸だ。
「今日は新しい人が増えたということで料理は豪華ですよ。ステーキやお寿司、デザートにはケーキもありますよ。」
狸たちは当たり前のように日本語を話している。
「狸たち、いつも働いてくれてありがとう。どんな料理でもおいしいよ。」
そう言ってステーキを切り、口いっぱいに頬張った。零矢は呻き声をあげて、幸せな顔をして食べている。
「どうした?君は食べないのかい?もしかして、毒が盛ってあると思っている?」
「別に料理を疑っているわけではないです。」
零矢の問いに対して首を横に振り、寿司を口の中に入れた。
その瞬間、刺身はとろけて消えてしまった。とても脂がのっていて、噛む必要すらなかった。
生まれてから十六年も生活してきたが、こんなにおいしいものを食べたのは初めてだ。
僕の家庭は貧乏で、外食をすることなんて滅多になかった。だから、おいしいものを食べることに慣れていない。
それが、いじめられる一つの原因なのかもしれない。
「零矢はこんなにもおいしい料理を毎日食べているなんて羨ましいよ。」
もし、こんな料理を毎日食べているのだとしたら、僕は将来この村に住むだろう。それほどここの料理はおいしいのだ。
「毎日ではないよ。今日は君が遊びに来てくれたから豪華なだけで、いつもはカップラーメンを食べているよ。」
カップラーメンなら僕も食べたことがある。
いつもの僕であれば大喜びしているだろう。しかし、こんな寿司を食べたばかりなので、何とも思わなかった。
「お寿司以外にも、ステーキや唐揚げもあるからどんどん食べてね。」
やはりこの村は夢のようだ。一度来てしまったら、自分の家には帰りたくなくなってしまう。復調村にはそんな魅力がある。
最近、寒くなってきたので一発ギャグをします。(逆効果)
タクシーに乗るのわたくしー!