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~第一話~

雲一つない空に、ギラギラと光り輝く太陽に浴びせられながら、学校へと向かう。

太陽のせいなのか、肌が何かに突き刺されている感覚だ。

学校は乗り気ではないが、授業があるのだから仕方がない。それに、親に学校を休ませてほしいと頼んでも、話を流されるのは目に見えている。

もう少し、夏休みがあってもいいと思う。一週間前に過ぎ去った夏休みを、惜しみながら足を動かす。

この時期になっても、暑いのには変わりない。毛穴は最大まで開き、汗を噴き出している。そして、首に巻いている濡らしたタオルは、僕の体温ですっかり生温かくなっていた。


歩いていると、小さな公園が目についた。滑り台とベンチしかない質素な公園だ。

そこには、四歳くらいの男の子とその母親が、楽しそうに遊んでいた。しかし、よく見ると母親は疲れ切っていた。息遣いが荒く、肩を揺らしている。

子供は体力が有り余っているからどんなに動いても平気だが、大人の体力ではついていくことはできない。子供を持つことも大変そうだなと思いつつも、自分には関係ないと思い、公園から目線を反らした。

「こら!やめなさい。危ないでしょう。」

 いきなりの大きな声に驚いて、そちらに目を向けた。

子供が滑り台の滑る側から登ろうとしている。僕も子供の頃によく登ろうとして怒られたものだ。

子供はとにかく好奇心が旺盛で、どんな事にも体当たり挑戦だ。先のことなんて全く考えていない。その結果、失敗して泣いてしまうのがオチなのだが…。

自分にもこんな時期があったのだろうと思い、懐かしくなったと同時に恥ずかしくなった。居た堪れない気持ちになった僕は、早歩きで公園を通り過ぎた。


息を切らしながら何とか僕が通っている東中学校に辿り着いた。

生徒たちがぞろぞろと昇降口に入っていく。

東中学校では、中学校にしては部活動の数が多く、高校によくある囲碁将棋部やかるた部、天文部のような、マニアックな部活動も多く存在する。しかし、どの部活動でも、強豪というわけではなく、みんな思い思いに楽しんでいる印象がある。僕は、部活動はそのくらい気楽にできた方がいいと思っている。

騒いでいる生徒たちを横目に、昇降口で靴を履き替え、階段を上り、教室に入った。

僕が夏休みを長くして欲しいと願っている理由がもう一つある。




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