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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

乙女ゲームとか悪役令嬢とか良く分からないんですけど

乙女ゲームとか悪役令嬢とか良く分からないんですけど

作者: 大貞ハル

ここは乙女ゲームの世界で悪役令嬢が断罪された後、のはずだった。

断罪されたショックで気を失ったレギーナ = シェーンフェルダー公爵令嬢は目を覚ました時には前世の記憶と切り替わっていた。だが、その記憶は今よりずっと幼い少女の物だった。

言葉もわからずおろおろするレギーナの前で勝手に事件が解決する物語(オ

「うん? 寝てた? と言うか、ここはどこ?」


目を覚ますと知らない部屋で寝かされていた。

周りに柱が立っていてレースのカーテンのようなものに囲まれている。


ベッドだと思われるが、イメージにあるベッドのサイズではない。リゾートホテルの写真とかで見たような、ベッドだけでちょっとした部屋ぐらいのサイズがあるやつではないだろうか。


「なんで、こんなに怠いんだろ。なんか、掛けられている布団?はサラサラな肌触りで軽いけど、胸の辺りが重いって言うか、左右に引っ張られて…」


重い身体を無理やり動かしてみる。


「って、これ胸だーっ?!」


胸の上に乗っている何かが自分のオッパイだという事実に驚いて思わず声を上げてしまうが、その声も擦れて上手く出なかった。わずかに立てた身動ぎ(みじろぎ)する音と、擦れた声しか発していないが、目を覚ましたことに気がついた者が部屋の中に入ってきてカーテンのようなものを手で左右に開いて覗き込んだ。


「め、メイドさん?!」


様子を見に来たのは外国人のメイドだった。身体は小さいし幼い感じがするのでそこまで不安はなかったものの何か必死に話しかけてくるが何を言っているのか分からない。しまいにはドアのところまで駆けて行って部屋の外に向かって何やら叫んでいた。


「うーん、水が飲みたいってなんて言えば良いのかなぁ」


しばらくするとドヤドヤと外国人が部屋に入ってきて口々に何か言っている。

最初のメイドさんは比較的可愛らしい娘だったが、ガタイの良いおっさんやら金髪のお兄さん、女性も色々迫力があって恐い。しかも、意味不明な事を言いながら触ろうとして来たりする。


「ひえええええ、恐っ、触らないで、いやああああああ」


擦れる声で泣き叫んでしまったけど、多分自分は悪くない、と思うのだった。





「レギーナが目を覚ましたと言うのは本当か」

「はい。ですが…」


レギーナの父であるシェーンフェルダー公爵がメイドのモニカに尋ねつつ部屋に入るとベッドに寝かされていた娘と目が合った。


「レギーナ…」


公爵がレギーナに触れようと手を伸ばすとその顔は恐怖に歪み、意味不明な言葉を叫びだす。


「こ、これは…」


レギーナの両親や兄弟、従者達が部屋に集まっているが、レギーナは4畳ほどもあるベッドの反対側の角に縮こまって怯えているため何もできないでいた。ベッドは20畳以上はある部屋の壁に頭側を寄せて置かれており3方は空いているが、回り込んでまでレギーナに近づくような事は避けた。


礼儀作法を学ぶためにメイド見習いとして働いている モニカ = ベーゼ にだけは警戒が緩いようだったため、レギーナの侍女として面倒を見ることになった。おそらくは歳が若く身体も小さい事が功を奏したのであろう。


レギーナ = シェーンフェルダー公爵令嬢は貴族が通う学園の卒業記念パーティーの席で気を失い3日ほど眠ったままだった。酷いショックを受けて倒れたのだ。医師は精神的な苦痛で記憶が何かしているのではないかと診断した。





「早く大人になりたい、みたいな事を言った事もあるけれど、なんだろうか、これ」


レギーナの目覚める前の記憶は小学生だった自分で、身体は小さかったがもうちょっと健康的だった、と思っている。だが、今の身体は明らかに華奢で色白、背はかなり高くなっていて、なにより胸がある。いや、あるなんてものじゃない。ハッキリとは思い出せないが、目覚める前の記憶の中の母親よりも立派な気がする。


そして何より、鏡に映るその顔は知らない外国の人だった。


自分より小さなメイドさんが甲斐甲斐しく世話をしてくれるが、相変わらず言葉は分からない。分からないが、感謝の気持ちを伝えようとすれば、なんとなく通じたような手応えはあった。


そんなある日、部屋の外が騒がしいと思っていたら、いきなり乱暴にドアが開かれ、見た事のない敵意丸出しの男が4人と、何か困った様子の美少女が押しかけて来た。


「な、なにかめっちゃ怒ってる? 私が何かしたのかな。え、やだ恐い。こっち来ないで」


声はちゃんと出るようになったがとにかく言葉が通じないのだ。家の人間は表情から怖がっている事を察してくれるが、この男達にそのつもりは無いらしい。


泣き叫んでいると、いっしょに入って来た美少女が盾になってくれた。でもこの子も既に恐怖に震え泣いている。





「そこを退け、マリア。その女には思い知らせてやらなければならないのだ」

「おやめ下さい殿下。シェーンフェルダー 様が何をしたと言うのですか」

「うるさ…うごっ?!」


「良い加減になさい」


殿下と呼ばれた先頭の男がマリアと呼ばれた美少女を押しのけようとしたその時、後から入って来た妙齢のメイドの手刀が男の脇腹に入りその場に崩れ落ちた。


「貴様ら、どれだけレギーナを苦しめれば気が済むと言うのだ」


メイドに続いて怒りをあらわにした公爵が部屋にやって来た。


レギーナはマリアに縋り付いて泣いている。レギーナの方がマリアよりも背方高く、童顔のマリアに対して大人びた雰囲気だが、マリアの影に隠れて怯えている様子がチグハグとした雰囲気を醸し出している。


一緒に入って来た騎士達が4人の男達を床に組み伏せる。


「き、貴様ら王太子であるこの私に不敬であろう!」

「は?」

「何をしているとっとと離さんか! たかが公爵如きがこの私にこんな事をしてただで済むと思っているのか?」

「何を言っているんですが、貴方は…」


一緒に捕らえられた3人も偉そうな態度で喚いている。


「貴方は、本当に王子ですか?」

「何?」


「公爵と言ってもこの方は王兄にして先の戦争で連合国を退け、逆に属国とした大英雄である ヴェンデリーン = シェーンフェルダー公爵ですよ?」

「お、王、兄、だと?」

「あの活躍がなかったらおそらく貴方も今生きてはいないのですよ? 本人にその気が無いから公爵と言う立場ですが、本来なら皇帝とか帝王とか呼ばれていてもおかしく無い方ですよ?」

「戦争中に国王が崩御、私はいわゆる脳筋というやつでな、もともと政に関しては弟が向いている、という事でそのまま私が戦場で指揮を取り、弟が王位を継承したのだ」


興奮して捲し立てるメイドを止めて自分で説明する公爵。


「つまり、現在の王位継承権1位は貴方ではなくレギーナです」


「それじゃ、レギーナは従姉妹?」

「お前達が結婚すれば面倒な争いを避けられると思ったのだが、何も無いうちから面倒になってしまったな…」

「むしろ、結婚式を上げる前にこうなって良かったのでは?」





「助かった、のかな?」


突然乱入して来た暴漢はあとからやって来た大人達に鎮圧された。庇ってくれた美少女が何か話しかけてくれているけど、何を言っているのかは分からない。


「アニメのヒロインみたいな子だなぁ。可愛い。んー、泣き顔も可愛いけど笑顔が見たいなぁ。笑って欲しい」


思わず抱き寄せて頭に頬擦りしながら髪を撫でてしまう。


「わぁ、良い匂いがする…」





「あ、あのシェーンフェルダー 様?!」

「なぜだ。なぜマリアはそんな女を庇うのだ。マリアに嫌がらせをしていた悪女だろうが」


なぜかレギーナにあやされているマリアに食ってかかる王子だが、マリアは返答に困っている。

何を言っても聞いてもらえないのだ。


「うーん、そもそもその辺がどうなっているのか謎なんですけど、我々の調査ではマリアさんが嫌がらせを受けていたなどという事実はありませんし、マリアさんもそんな事は無いとその都度否定なさっています」

「そんなバカな」

「あなた方の中ではマリアさんが優しいから庇っているとか、奥ゆかしくて言えずにいる、とか言うことになっているようですが、そのような事実はありませんし、むしろ迷惑を掛けていたのはあなた方です」

「なんだと、そんなはずはない。だろう?マリア」


偉そうな態度で返答を強要する王子。


「そもそもそれが間違いの元なのですよ。マリアさんのご実家は主家が持っていた男爵位を褒美として与えられただけの商家で、ほぼ平民です。王族や上級貴族の貴方達に言われて反論できるわけがないじゃないですか。先ほどレギーナを庇ったのも下手をすれば一族郎党を道連れにするかもしれないほどの命がけの行為なのですよ? そんな嫌がらせを受けていた相手に人が良いからと言って出来ることだと思いますか?」


「そ、それは…」


「ちなみに、マリアさんがあなた方に好意を持っている、などと言うこともありませんし、あなた方がマリアさんに送った品々は一部を除いて返品、もしくは代金の支払いが行われています。国宝や家宝なども有ったようですね。処理されていない一部と言うのはアクセサリーなどの身に付けていないとあなた方がうるさそうな物だそうです。と言うか、あの付けさせられている感バリバリのネックレスは国宝ですよ」


「は?そんな物が国宝?」


「…扱い方を間違えたら王都が消えて無くなるほどの魔道具ですよ?貴方の手の届くところにあるより安全だろうと言う判断でマリアさんに預かってもらっていますけど」


「なん、だと…」


「と言うか、お前はまたなんでメイドの格好なんかしているんだ」

「良いじゃありませんか兄上」

「あ、兄?」

「ああ、こいつは俺の妹で国王の姉だ。その様子だと、普段の格好でも分からないだろうがな…」

「あ、う、ぐっ」


「とりあえず、自分の立場と今の状況は分かってもらえたかな?」

「は、はい…」


王子たちがガックリと項垂れた。

怒っていたはずの公爵は逆に怒りを忘れるほど呆れていた。


「とりあえず、この4人に共通な関係者と教育担当を洗い出せ」


公爵が控えていた騎士に指示を出すと、速やかに部屋から出て行った。

残った騎士達が王子達を連行する。


「マリア嬢、どうやら今の娘も貴方のことを気に入っている様子。良ければ娘の侍女になってはもらえないだろうか」

「あ、あの、私なんかでよろしければ、よろこんで」


レギーナに頬擦りされたままのマリアが真っ赤な顔で返答するのだった。




月日は流れ、レギーナが他のメイドにも慣れたため、モニカは他のメイドと交代でたまに来る程度になった。元々は勉強のために働いていたので今のレギーナの専属と言うのはちょっと困るのだ。

逆に学園を優秀な成績で卒業しているマリアはレギーナの再教育担当も兼ねた侍女として働いている。


「ねえマリア、そろそろ休憩にしましょう」

「では、お茶の用意をしますね」

「それは礼儀作法の勉強なのでは?…」


とは言え身体が覚えていると言うやつだろうか。

身のこなし自体は短期間で不都合がない状態まで持っていくことが出来ていた。


「と言うか、本来ならこの辺は全部終了しているはずなのよね?」

「そうですね。学園の成績も私よりも上でしたし、それに加えて王妃教育も受けられていましたから…」

「王妃はなしになって良かったわ…」

「このままだと女王になられる事になっていると思いますけども…」

「え…」


あの王子が第1王子で、その王子達をおかしな方向に歪めたのが第2王子とその関係者だった。

つまりそう言うことである。


王兄も現国王もまだ若く、レギーナが王女にならなければならないと言う切羽詰まった状態ではない。

レギーナの子供、もしくは国王の孫でもおそらく間に合うだろう。


「でも、万が一に備えると言うことを考えると、レギーナ様には勉強もしていただかないといけませんし、子供も産んでもらわないといけない事になるのではないでしょうか」

「タスケテ…」


元の世界の言葉で弱音を吐くことしか出来ないレギーナだった。




たぶん王子達は魔法的なやつで記憶を操作されていて、レギーナも第2王子に都合の良いように記憶を操作されそうになって、それが失敗して前世の記憶を取り戻したとかそんな感じです(適当


なんか事件の顛末部分が幅を取ってしまったけど、メイドが甲斐甲斐しく世話したり、子供化したレギーナをマリアが世話する話にしたかった鴨。誰か代わりに書いて(オ

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