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演劇サークルに入った

大学の講義が終わって演劇サークルへと向かった。

サークルメンバーが自己紹介をしてくれた。

黒ぶちメガネの脚本家、大谷さん。

男性の役者で三年生、渡辺さん。

彼は幻の少女でクラスメイト役をするみたいだ。

黒髪ロングヘアーで綺麗な顔立ちをした美人の女性、二年の山口さん。

彼女は幻の少女で転校生のミホ役をする。

つまり恐怖を与えるこのお話での要の存在だ。

そして幻の少女の主人公を演じる、三年の女子の赤城さん。

とにかくキャーキャー叫んで、一番エネルギーを消費しそうな役柄だ。

他にも照明の人や道具作り担当の人等、色々紹介してもらった。


「大下君は役者志望なんだって?」


先輩役者の渡辺さんが話しかけてきた。


「はい。舞台の上にあがってあんな風に演技できたらなって思います」


「演劇は経験者なの?」


「いや、全く・・・。初心者です」


「そっかぁ。よし、じゃあ舞台の上に立ってみようか。せっかくだし、舞台の上ってどんな感じなのか雰囲気を味わってみようよ」


舞台の上にあがった。


「どうだい?舞台の上は?ここでたくさんの人に見られながら演技をするんだよ。皆が自分に注目してくれる。楽しいと思わないかい?」


「・・・想像するだけで緊張してきました」


「あっははは。想像力豊かだね。うん、いい。凄くいいよ。役者は想像力が大事だからね。じゃあついでにアレやってみようか」


「アレ・・・?」


「でたでた。新人恒例の綱渡り演技。あまりいじめちゃだめだよ」


舞台の下から大谷さんが会話に入ってくる。


「いいかい?ここに一本のロープがあると思って、大下君は今からその上を綱渡りするんだ。はい。よーい、スタート」


「えっ・・・い、いきなり?えっと・・・ロープがあると思って・・・か」


ロープがあるとイメージして、かなり慎重にロープを渡っていて、本当に足がもつれてしまった。


「おわあああ」


激しく転倒した。


「あははは。大下君、凄いじゃないか。名演技だよ」


いや、全く演技ではない。

マジだった。

でもそれを言うのは恥ずかしすぎる。


「あ、そ、そうですか?あはは・・・」


「まあ冗談はここまでにして。役者をやるってことはね、声が通らないとダメなんだよ。喋ってる台詞が観客に聞こえないと何も意味はない。わかるだろ?」


「まあそうですよね」


「台詞を覚えたり、演技力を磨いたりってのは確かに大事だよ。でもまずは声が通って観客に聞こえることを一番最初に目指さなくちゃならない。だから発声練習が大切なんだ」


「なるほど」


演劇をする上で基本中の基本となる発声練習を教えてもらった。

とにかくまずは発声練習だと言われた。


「でもその前にストレッチだね。ストレッチする事で発声練習の効果を高められる」


「はい」


ストレッチと発声練習が終わった後は、次の公演である幻の少女の道具作りの手伝いをすることになった。

まあ今は次の公演に向けて全員で準備ということのようだ。


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