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役者やりたい

楽しい気分で家へと帰ってきた。


【あら、帰ったのね。演劇はどうだったのよ】


「めちゃくちゃ楽しかったよ」


【あまり乗り気じゃなくてただの暇つぶしだって言ってたのにね】


「役者って凄いな。おとぼけた感じの人が急にかっこよくなったり。人ってあんなに雰囲気を変えれるものなんだな。本当に鳥肌が立った」


【それが役者よ。だからみーくんもかっこいいんじゃない】


「いや、三日月幸弘はあんまりわからないけど。俺も演劇やってみたい」


【もう。すぐ影響されるんだから】


「それにさ、満月由美子だって俺が役者に向いてるって言ってたし」


【あたしが向いてるか見てあげましょうか?】


「いや、なんかお前に向いてるか見てもらったらズバリ言われて傷つきそうだからやめておくわ」


【ふふふ、わかってるじゃない。でも何事も挑戦するのは良いことよ。興味持ったのならやってみなさいな】


「そうだなー。演劇するなら大学に演劇サークルがあるな。ちょっと見学してこようかな」


次の日、大学の講義が終わって、早速演劇サークルの練習場所である学外の体育館へと向かった。

徒歩で15分の距離にある体育館を借りて稽古しているらしい。


体育館に入って歩いていた黒ぶちメガネ女子に声をかける。


「すみません。あのー、演劇サークルの見学に来たんですけど」


「見学ですか!ようこそ!ささ、どうぞ見てってください。いやー、演劇に興味持ってくれる人がいて嬉しいですよ。ささ、どうぞどうぞ」


これはかなり歓迎されてるのかな?

なんか想像以上に勢いのあるリアクションだった。


黒ぶちメガネ女子について歩いていく。


「今やってるのは、幻の少女っていう物語の稽古です。まあホラー作品になるんですけど、脚本は私が書いたんですよ」


なるほど。

黒ぶちメガネさんは脚本家なのか。


「へぇ、どんなお話なんですか?」


「舞台はとある高校。主人公のヨウコと同じクラスの笹野ミホという女の子が交通事故で亡くなって半年が経った。彼女の席にはお花が飾られていて、クラスでもミホの事故の事が次第に記憶から消えかかっていた。でもクラスからミホにそっくりな子を町で見かけたという話が聞こえてきて、ある日、転校生がやってくる。その子の顔がミホと瓜二つで、その日を境に学校で様々な怪奇現象が起き始めるというお話です」


「おお、なんだか舞台でやると迫力がありそうな内容ですね」


「おおー、わかってもらえますか?ホラー作品を舞台でやると、照明等の演出を上手く使うと臨場感が凄いんです。今回はですね、観客を恐怖のどん底に突き落としてやりますよ。グフフフフ」


不気味な笑い方だ。

黒ぶちめがねさんのほうが恐怖だ。


「あっ、ところで見学のお方。私は大谷です。脚本担当です。お名前はなんというのですか?」


「大野です」


「大野さんは、なぜ演劇に興味を持ったのですか?何か好きな作品が?」


「劇団黒薔薇の大江戸恋愛温泉の主役の人と偶然知り合ってチケットを貰って観に行ってて、なんか感動しちゃって自分も役者やってみたいなーとかいう単純な理由で。ははは・・・」


「えええー、劇団黒薔薇ですか!?あの!?ちょっと待ってくださいよ。ええー!!」


「えっ、何をそんなに驚いて・・・」


「実力派揃いの劇団ですよ。劇団黒薔薇は」


「は、はぁ・・・。まあ確かに感動しましたね。終わった後、楽屋で一緒に写真も撮ってもらいました」


「その写真見せてもらってもいいですか!?」


「は、はい。ど、どうぞ・・・」


スマホの写真フォルダから一緒に撮ってもらった写真を見せる。


「はぁー!!凄いなぁ。いいなぁ」


「劇団黒薔薇って有名な劇団なんですか?」


「知名度は今、少しずつあがってきてますね。脚本、役者、演出。どれも良いんですよ。私はかなり注目してる劇団ですよ。大野さんが感動したのも納得です」


「そうなんですか」


稽古の練習風景を見せてもらった。

なるほど。こういう感じで練習しているのか。


「じゃあもう入部してくれるってことでいいですよね?」


黒ぶちメガネをキリッとさせ、まだ入るは言ってないのに、大谷に強引に入部させられてしまった。

いや、まだ見学に来ただけだったんだけどな・・・。

ま、まあいいか。


「大下さん、よろしくお願いしますね」


「よ、よろしくお願いします」

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