次のデートは
アルの言うとおりだった。
それからは、良いきっかけがなかった。
確かに大学で茜ちゃんに会って話したりはしたけど、次に二人でどこかに行こうという話にならない。
きっかけがないんだ。
大学が終わって食料品の買い物の為、スーパーへ寄った。
ああー、次なぁ・・・。
次なんてないよなー。
あー、なんかないかなぁ。
ないよなぁ・・・。
レジで会計をしてレジ袋に買った食料品を入れていたら張り紙が目に入ってくる。
バレーボールチームのメンバー募集。
ピアノ教室の生徒募集。
家庭教師の募集。
丹波イリュージョンチケット好評発売中。
「ん・・・?」
あなたに最高に興奮する魔法をお見せしましょう。
天才ミスター丹波による圧倒的な脱出マジックと瞬間移動マジック。
「これだ!!」
この間は映画に行った。
そして帰り道、もし魔法が使えたらなんて話で盛り上がった。
今度は本物の魔法を見に行こうよという誘い方でどうだろう。
丹波イリュージョンの詳細を調べてチケットを購入しようと考えた。
三日後、茜ちゃんに連絡した。
「丹波イリュージョンって知ってる?脱出マジックとか瞬間移動マジックのショーがあるんだけど、今度は本物の魔法を見に行こうよ。来週の日曜日に一緒にどうかな?」
「丹波イリュージョン?へぇー、面白そうだね。行きたい!!」
待ち合わせ場所と時間を話し合った。
「うん、じゃあまた日曜日に」
よし、これで次のデートが決まった。
いいぞ、俺。
頑張った俺。
よくやった俺。
来週の日曜日が楽しみだ。