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料理作るよ

ついに待ちに待った楽しみな加藤先生の講義の日がやってきた。

いや、正確には加藤先生の講義が楽しみなのではなく、茜ちゃんに会えるのが楽しみなだけだけども。


講義室に入り、一番後ろの席を見て茜ちゃんの姿を探した。

いた。見つけた。


「お、おはよう」


「あ、大下君。おはよう」


椅子に座った。

授業が始まるまでの間、まだ少し時間がある。

どうしよう。何話そう。

話題がない。


「今日は・・・い、良い天気だね」


何を言ってんだ、俺。

天気の話をしてどうするんだ。


「そうだね。よく乾きそうだから洗濯物干してきたよ」


「あ、そういえば風邪は治ったの?」


「うん、治ったよ。一人暮らしだと風邪ひくと凄く心細くなるよ」


「あ、水野さんも一人暮らしなの? 出身は県外?」


「そうだよー。水野さんもってことは、大下君も一人暮らしなの?」


「そうだよー。実家にいると母さんが口うるさくてさー。とにかく実家を出たかったんだ」


まあ実家を出て一人暮らしを始めたけど、口うるさい精霊がいるんだけどね。

それは言えないけど。


「あはは。そんな理由なんだ。一人暮らしだと家事が大変だよねー。料理も洗濯も掃除も色々やることあって大変だよね」


「まあ自炊も案外やってたら楽しいけどね」


「へぇー!ちゃんと自炊するんだね!偉いね!私は結構テキトーだよー」


「それはダメだよ。栄養バランスをきっちりと考えて作って食べなきゃ」


あれ、なんか俺、アルみたいなこと言ってしまったぞ。


「そうだよね。でもなかなか上手くならないんだよー」


「俺は料理本買って色々作って勉強してるよ」


「へぇー!すごいね!大下君、料理できるんだ。料理できる男子は好感度アップだよ」


アル様、ありがとう。

俺、お前を敬うよ。


「えー、そんなこと言うと料理作ってあげたくなっちゃうよ」


「え、ほんとに? 食べたい、食べたい」


「いいよ。いつでも作るよ」


「やったー。ありがとう」


そんな会話をしていると講義の時間になり、加藤先生がやってきた。

授業が終わり、茜ちゃんに思い切って言った。


「じゃ、じゃあ今度、近いうちに料理作って持っていくよ。あっ、連絡先教えてもらってもいい?」


「いいよー」


初めて女の子の連絡先を聞いた。

頑張った、俺。

一歩前進した自分を盛大に褒めてあげたい。


帰ってきたらアルが待ってましたという顔をしている。


【待ってたわよ。さあ早く説明しなさいよ。進展あったの?】


「俺が連絡先を聞いたら教えてくれてさ、交換できたよ」


【やったじゃない。あんたにしては上出来ね】


「それでさ、俺の作った料理を食べさせてあげることになったんだ。アルにスパルタ式で鍛えられて覚えた料理が役に立つときがきたよ」


【そう。頑張りなさいよ】

 

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