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眠れない

それは真夜中の事だった。

電気を消した暗い部屋の中、俺は葛藤していた。


「うー・・・うー・・・・んーー、くそーーー」


【何よ、さっきからうーうーうるさいわよ。気になって眠れないじゃない】


「えっ?お前寝るの?」


【寝なくても平気よ。気分の問題よ。夜は静かに過ごしたいじゃない。それでどうしたのよ】


「寝る時に寝やすいベストな体勢を発見したのに、少しトイレに行きたくなった時の葛藤。トイレには行っておいた方がいいと思うんだけど、このベストポジションを動かして崩したくないという時の心理。精霊のお前に理解できるか、アル」


【つまり今、寝やすい丁度良い感じだから動きたくないわけね】


「そうだよ。・・・はぁ、仕方ない。トイレ行くか」


トイレで用を足してまた布団の中へと戻って眠ろうと目を閉じる。

どれくらい時間が経っただろう。


「・・・・・・・・やっべ。全然眠れねぇ。テレビでも見ようかな」


【ダメよ。余計眠れなくなるじゃない。また生活リズム狂うわよ。頑張って寝なさいよ】


「頑張ってるよ。はぁー・・・」


【目を閉じて呼吸することだけ考えなさい】


目を閉じて呼吸することだけに集中した。

そのまま朝になってしまった。

長い夜だった。

結局あまり眠れなかった。


「あああー、もう朝だよ。寝不足だよ。今日も大学なのにきついなぁ・・・」


【眠らないとダメなんて人間は不便ね】


「そういえばアルは、いつも俺が寝てる間、何してるんだよ」


【テレビ見たり外に出かけたりしてるわよ】


「いや、勝手にテレビつけるなよ。ってか気づかなかった」


【一応、あんたに気を使ってあげて、ヘッドフォンして観てるから音漏れはないわよ】


「精霊がヘッドフォンするのかよ」


【ちなみに昨日は、外に出かけてたわ。二十代の若い人間の男に化けて、深夜のコンビニで漫画の立ち読みよ。一度やってみたかったのよ】


「はいはい、そうですか・・・。とりあえず大学行ってくるよ」


【そう。頑張って勉強してらっしゃい】


今日の講義は、鬼崎の授業じゃないからな。

かなりゆるい加藤先生の授業だ。

自由席だし、一番後ろの席に座って寝てても大丈夫だろう。

一番後ろに座った俺は、すぐ寝ようとした。

それとほぼ同時に隣に女の子が座った。

いつもは一番後ろではなく、真ん中くらいの席に座るから気づかなかったけど、凄く可愛い女の子だ。こんな子もこの授業受けてたんだ。

これはやばい、超タイプだ。

可愛すぎて横目で何度も見てしまう。

眠気が吹っ飛んでしまった。

今日はラッキーだ。良い目の保養になった。


大学の講義が終わり、家へと帰った。


「ただいま」


【あら、なんかテンション高い気がするのは気のせいかしら】


「えっ?わかる?隣の席にかなり可愛い女の子が座っててさ、ラッキーだったよ」


【それでどんな話をしたのよ】


「えっ、声なんてかけてないよ。可愛いなと思って横目でチラチラ見てただけだよ」


【なんで声かけないのよ。せっかく隣になったのにチャンスじゃない】


「いやいや、そんなことできるわけないだろ」


【何よ。もっとガンガンいきなさいよ】


「いやいや、そんなことできたら彼女とかいるから・・・」


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