事件発生
ピンポーン!!
プリズムクエストをやっていたらチャイムが鳴った。
「はい。・・・えっ?警察?何ですか?・・・はぁ、近所の一軒家で空き巣被害ですか。いやー、怪しい人は特に見てないですね。はい、わかりました。怪しい人がいたら通報します」
【あら、あんたついに捕まったのかと思ったわ】
「いやいや、俺何もしてないし。善良な市民だし」
その日、変わった事といえば警察が訪ねてきた事くらいだった。
がっつりプリズムクエストをプレーし、夜になって風呂に入っていた。
ガサッ・・・ドカッ・・・
何やら部屋から何かを動かすような大きな物音が聞こえてくる。
「おい、アル。何暴れてんだよ」
俺は全裸のまま、風呂場から部屋に戻った。
「えっ・・・うわああ・・・ドロボ・・・」
俺の目には、中年の男が俺の部屋を漁っている姿が飛び込んできた。
突然で驚いたのと、恐怖で声が出ない。
驚いたのは泥棒も同じだったのか、全裸の俺が目の前に立ってることに面食らっている。
そしてお互いの時間が止まったのは、ほんの一瞬。
先に動いたのは泥棒だった。
ポケットから刃物を取り出して、全裸の俺の方に向けてきた。
やばい!!
やばい!!
やばい!!
刺される!!
殺される!!
「い、いやだ・・・!!死にたくない!アル!!助けて!!」
【あら、これはほんとに緊急事態ね。いいわ、あたしが助けてあげる】
バチーーン!!!!
ぐああああ。と悲鳴をあげて中年の男は倒れて動かなくなった。
「ア、アル。今のは・・・」
【あんたに当ててた静電気をスタンガンレベルの電気にして食らわせてあげただけよ】
「あ、あああ・・・な、なるほど・・・。こ、殺してはないんだな?生き・・・てるな?」
【あたし無駄な殺生は嫌いよ。気絶してるだけよ。しばらくは起きないわ】
「よ、よかった・・・。今日ほどお前がいてよかったと思う日はない。ほんとに感謝するよ。ありがとう、アル」
【・・・まあ、とりあえず服着なさいよ】
「あっ・・・」
そういえば俺、全裸だった。
そして服を着て、警察に電話をかけた。
「もしもし、警察ですか。今すぐ来てください。泥棒が・・・」
【それであんた、この状況。どう説明する気なの?】
「ああああー!!!考えてなかった!!ど、どうしよう・・・」
【あたしの姿は警察には見えないわよ。精霊が助けてくれましたとか警察に言ったら、危ない薬でもやってんじゃないかと疑われるわよ】
どうしようどうしようと考えていたら・・・
ピンポーン!!
チャイムの音が部屋に鳴り響く。
ええー、もう来たの!!
やばい。ど、どうしよう。
「はい。俺が風呂に入ってる間に大きな物音がしたので出てきたら、この男が部屋に入ってきて、部屋を漁ってたんです。・・・そ、そしたらですよ。多分、誰もいないと思ったのに俺が風呂場にいたから驚いて、滑って転んで頭を強く打って気絶したみたいです。ほんとマヌケな泥棒ですよ」
警察は、なるほどと納得し、何も突っ込んでこなかった。
咄嗟に出た言葉だったが、なんとか上手くごまかせた。
男は逮捕された。
本当にとんでもない日曜日だった。