閑話 神界にふんぞり返る神々の記録
今回は短いです、!すみません!
そこには光に包まれた朧気な者達が集っていた。そう、ここは神界。神々が集い、神々が住まう人の子や、魔の者では辿り着くことさえままならぬ場所。
そんな神界に聳え立つ白亜の城。その名も無き城の一室で1柱の戦神とそれを囲む十二柱の神々達がいた。
「……戦神ハヤテよ。お主に命を下す」
「はっ。なんなりとお申し付け下さい」
多くの神々が集う神界。その中で最も強い力を持つ12大神。その1柱が戦神ハヤテに命を下す。
「……バール・リーザルは知っているな……?」
「悪逆非道な世界の絶対悪…と認識しております」
「そうか……そのバール・リーザルが異世界の『地球』と言う場所に転生するのだ」
「……!!お、恐れながら申し上げます!」
「よい。話せ」
「はっ!10大神でもバール・リーザルの転生は阻止出来ないのですか…?」
「……我ら10柱の力を持ってしても、奴に1つの枷を与えた。それ以外には何も我らにはできなかったのだ……」
「な、なんと……!」
神々の頂点である12大神。その十二柱の神々全ての力を集結させても大魔王バール・リーザルには届かない。それはこの世の何者でも大魔王を討伐することは叶わない…。
今、たった今話されているこの話を、戦神ハヤテはどこか遠い世界で起こっているものの様に感じられた。
「そこで、だ。転生する大魔王の監視。それをお主に任せる」
「わ、私にですか…!?恐れながら私では力不足かと……」
「お主にしか出来ぬのだ」
「し、しかし!私ではまだ―――!!?!?」
戦神ハヤテが否定しようとしたその瞬間。圧倒的な圧力により、戦神ハヤテはその場に平伏した。
「……よいな?」
「…っ!!…つ、謹んでお受け致します」
「…下がれ、詳しい座標や必要な物は追って通達する」
「はっ…!」
部屋を出た瞬間に戦神ハヤテは膝から崩れ落ちる。いくら戦神と言えど、神々の頂点に立つ十二柱の神々の圧に耐えるのは容易ではないのだ。
落ち着き、戦神ハヤテは歩き出す。
何故、自分が選ばれ、何故、消滅ではなく監視なのか。戦神ハヤテはそれらのことを考え、やがて諦める。
神々の命に従い、ただそれをこなす。神々の不安を読み取ることもないままに。
戦神ハヤテとは誰のことでしょうね?