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チョコレート

作者: アバンアダン

昔、とある国で、幸福を売る少女がいた。


「幸福はいりませんか。」


少女の売る幸福は絶大で、人々から人気があった。

幸福を買った人は、その日のうちに、必ずいいことにめぐり合えた。

ある人はくじが当たり、またある人は恋人を捕まえた。


幸福代といったら、チョコレート一枚と同じ程度。


少女は、毎日、笑顔で幸福を売り続けた。


とある日、町で有名な資産家が彼女に問いかけた。


「君は、どこからそんなに幸福を持ってくるんだい?」


少女は答えました。


「私の幸福を、売っているんです。」


と。


資産家は、少女を可哀相に思い、


「そんなはした金で、君の幸福を売っていたら、君はいつか不幸しか持たなくなるよ。」


と言いました。


すると少女は笑って、


「いいんです。それで皆が幸せになるのなら。」








同じ町で、不幸を引き受ける少年がいた。


「あなたの不幸を引き受けます。」


不幸を売った者には、必ず幸福が訪れた。

ある人はくじが当たり、またある人は恋人を捕まえた。


不幸代といったら、チョコレート一枚と同じ程度。


少年は、毎日、笑顔で不幸を引き取り続けた。


とある日、町で有名な資産家が彼に問いかけた。


「君は、どこへそんなに不幸を持っていくんだい?」


少年は答えました。


「僕の不幸に、しているんです。」


と。


資産家は、少年を可哀相に思い、


「そんなはした金で、君が不幸を引き受けていたら、君はいつか不幸ばかり持つようになるよ。」


と言いました。


すると少年は笑って、


「いいんです。それで皆が幸せになるのなら。」







少年は、今日も少女に会いました。


「僕が君の不幸を引き受けるから、君は僕に幸福を売っておくれ。」







二人もまた、幸せでした。

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