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Myth&Magic→俺は穏やかな学園生活を送りたいんですけど!  作者: 大川暗弓
テンプレな学園生活の始まり方
6/38

指名制

前回投稿から遅れしまいすいません!理由としては......うん、特に理由はないですね。まあ、忙しくなかったと言えば嘘になりますがw

長話もあれですので作品の方をどうぞ!

秋の言葉に俺は度肝を抜かれた。

 春川という名字に。そして、何よりも彼女が契者けいじゃだということに。

彼女が探している人が春川家の人間であったのだから、彼女自身も春川家の人間またはそれに関わる人間であることは当たり前であるはずなのに。唯一、言い訳じみた理由があるとすれば今日は半日の間に色々とありすぎたので気づけなかった。(決して俺がバカだったというわけではない)

 それに、俺と同じ学年に契者けいじゃがいるということは....


 「ねえ、叶翔。大丈夫?」


 そんな俺のどうでも良い言い訳じみた反省の思考を奏は遮るように言った。


 「あー、悪い。少し考え事してたわ。」


 「ふふっ。何それ。叶翔らしくないじゃん。今日はずいぶんと叶翔のせいで大変だったみたいだけど、らしくないことはしないほうが良いと思うよ。」


 奏が本気で心配しているんだか、していないんだか分からないが、それでもはにかみながら笑った姿はとてもかわいらしかった。まあ、幼なじみの俺から見ても何も苦がなさそうに屈託無く笑うその姿は「マジ、天使」としか表しようのないものなのだが。(これが.....これも原因で奏は男子の視線を集めている)


 「らしくないっておまえらな.....。あまりにも俺を馬鹿にしすぎじゃないか。」


 「おい、待て叶翔。俺は何も言っていないんだが。」


 「まあ、そのことはどうでも良いとして、本当に彼女は契者けいじゃなのか。それに四季族で契者けいじゃってのはあまりにも稀じゃないか。話題にならないのはあり得なくないか。」


 おれの言った言葉に二人とも心の底からするようなため息を吐く。こんなことは今までにありすぎて数えると枚挙にいとまがないのだけれど、やっぱりこんな反応をされるとこっちの気持ちまで落ち込んでくる。


 「いいか、叶翔。確かに、テレビやデバイスの情報を探っても、出てくるはずはない。」


 「いや、そのこと、逆にどうやっておまえら知ったんだよ。」


 「相変わらず、叶翔って情報力っていうのかな、そういうものが完璧にステータスゼロだよね。」


奏も秋もめちゃくちゃバカにしてくる。確かに、おれは昔からこういう噂話のようなものに疎い。もしかしたらちゃんと回ってきているが、聞いていないかも知れないし、そもそも回しても仕方が無いと周りが諦めているのかも知れないし、そこについては分からないが、とりあえず、いじめだの、はぶりだの、悪い可能性は考えないことにしておく。


 「悪かったなー。そういう能力値がゼロで。」


今度は二人とも心底悲しい目で見てくる。やめてくれ。その目は。なんだか俺まで悲しくなってくる。.....俺のことなのにこんなに他人事のように悲しいのはなぜだろうか。


 「ごめんよ。叶翔。これからは俺らだけでも頑張っておまえを守ってやるからな。」


なんだろう。いちいち会話にコメントのような感想をつけるの面倒くさくなってきた。けど、この言葉だけは見過ごせない。だって、こいつめっちゃ良いこと言っていると思うじゃん。言葉は笑いこらえながら言っていて震えているし、何よりも、決まった!みたいなどや顔と笑いをこらえる顔のハーフ&ハーフが超ウザい。


 「もうっ!二人とも話逸れすぎ。まあ、逸れしたのは私だけどさ.....さすがにいくら仲が良いっていっても話があらぬ方向へ行きすぎだよ。」


 奏が逸れかけた(完璧に脱線していたということは置いておいて)話を戻す。奏はいつも俺らの話をそらして....また長くなりそうだから省略。とりあえず俺は思考を会話の方に戻す。


 「たしかに、そうだったな。とりあえずなぜか噂話が伝わりにくい叶翔にも伝わるように話してやるか。」


 「なんか、その上から目線が妙に癪だな。」


 「あはははは....。まあ、そこは秋の本質ってことにしといてあげよ。」


 「奏、それはフォローになっていない気がするぞ。とりあえず、秋、解説お願い。」


 秋はコホンと咳払いし、話し始めた。


 「契授、通称けいじゅ、世界的にはシンパシーと呼ばれるそれを持つものを契者、通称けいじゃと呼んでいて、彼らは神に選ばれるという神の選定を受け、神に認めらたことで、絶大なる力を得る。ここまではさすがのおまえも分かっているよな?」


 「秋さ.....俺のことかなりバカにしてるだろ.....。そんな基本のことから俺が分からないと思ってたら、おまえ、思った以上に天然気質なんじゃないか?」


 俺は割と冗談交じりで言ったつもりなのだが、奏は俺の言葉に少し棘が混じっていると感じたのか、フォローに入る。こういう所も喧嘩っ早い俺と秋が中学時代から大きな問題も無く過ごせている理由だったりする。


 「まあ、良いじゃない。私達のホームルームが始まるまであと1時間もあるんだし。それに、秋の長話的うんちくは今更始まったわけじゃないしね。」


 間違えていなければ、ホームルームまで1時間もある。まあ、各々見学なりをしておいてくれ、という趣旨なら良いのだが、ホームルームがやたら長い上にその後に見学時間はある。まあ、何が起ころうとももう色々なことが起こってしまったので、今更なので俺はこのことを考えないようにした。


 「俺はおまえがどこからどこまで知っているか分からないから、とりあえず聞いとけ。」


 そしてこれからは俺は情報を吟味しつつ、秋の長い話を聞き流しながら聞くことにした。


 「そして、契授けいじゅを与えられた者は契者けいじゃと呼ばれ、それぞれ選ばれた神の能力の一部や、身体能力の一部を授かることが出来る。もちろん、その能力は神によって違うので、異なる時代に同じ能力を持つ者はいるかも知れないが、同じ時代に同じ能力を持つ者はいない。まあ、要するに、神様は一人にしか能力を与えることが出来ないってことだな。そして、与えられる能力についてだ。俺ら人間はいつ頃からかは知らんが、魔術が使える。それぞれの属性魔術や、あらゆる事象、概念に干渉する魔術、など、今では数え切れないほどになっている。この魔術の発現と関係があるかは未だに分かっていないらしいが、契者けいじゃが現れたのが魔術の発現の時期とほぼ一致することから何らかの関係があるのは間違いないらしい。そして契授による能力も今では魔術のような扱いとなっていて、基本的に魔術と同じ分類が出来る。」


 「その辺のことはだいたい分っているってーの。てか、前置き超なげーな。」


 今では一般常識となりつつある話をされるのは正直退屈だった。


 「その辺はだいたいは分っているつもりだ。もうちょっと俺の知らないようなところから話してくれよ。」


 「まあ、流石に根本的なところから話しすぎたな。学年次席には大層つまらない話だっただろうな。」


 「うっせーなー。たまたまだっつーの。」


 「それで?叶翔はどこから話を聞きたい?」


 「まあ、一番は春川さんの契授についてかな。」


 今までふざけていた秋だったが、その表情がすぐに真剣な面持ちへと変わる。なにせ、いくら四季族の娘とはいえ、それに関わる話をするのだ。普段はそのことに関わる話を持ち出すことや乗ることはタブーとされているから、そのいつもは見せない秋の真剣な表情でこれから話す話の内容を俺はなんとなく察した。


 「いいか、叶翔。良く聞け。一度しか言わないからな。春川純麗。彼女の契授けいじゅはイザナミ。属性は光だという噂だ。」


 俺は噂かよと突っ込みたくなったが、今は余計なつっこみをするよりも話を聞く方が重要だということを自分に言い聞かせ、集の話を注意深く聞く。たとえ噂だとしても、その噂が流れている以上はその能力も地である可能性が高い。戦いにおいて最悪なのは、相手のことが全く分らないことだと俺は思っている。まあ、かっこつけて言っているけど俺が彼女と戦うことなんてないんだけどな。


「それで?他には何か無いのか?」


「それでってお前なぁ.....。叶翔よ、なかなかに傷つくする聞き方するな。」


 俺の質問にそんな棘があったり、含みがあったとは思えなかったが、奏も秋と同じことを思ったようですかさずフォローに入る。


 「まあ、噂っていう程度だし、出回っているのはこの辺かな。後は本当なのかどうか怪しすぎる情報ばかりだからね。」


 「そんなものなのか.....。その怪しすぎる噂っていうのはどういうものなんだ?」


 「そうだね~、ん~」


 考える最中に人差し指を唇に当て、悩む。このような動作が奏はいちいち可愛い。それに彼女は狙ってやっているわけではないので、俗に言う、ぶってる、といわれることも無くそこら辺が持てる要素なのかなと思った。


 「春川さんには、裏の顔がいくつもあって相当に男癖が悪いとか、独りでに夜の町を遊び回っているとか、実は殺人鬼のような狂気の性格を持っているとか.....うん。あまり言い噂じゃないのも事実かな。」


 確かにそうだ。四季族という名前を背負っているという事実は人々の畏怖を抱かせるのには十分だ。たとえそれがあまりにも現実離れした空想だったしても。


 「それでも、私は春川さんを.........」


 ーーーそこで言葉が切れた。


 俺たちは話し込んでいて全く気付かなかった。彼女、つまりは春川純麗が近づいていたのを。そして話題が話題だ。そして彼女の目は怒りに満ちていた。いくら空想に空想を重ねたとしてそれが事実でなければそれは、ただの陰口以上のものだろう。それが本物として噂される、噂されているを耳にするのは叶翔たちにとって底知れぬ辛さがあるだろう。


 「橘君の友達に挨拶をしようと思ったら、やっぱりこの様よ。この学園ならと思ったけれど、この学園の人間も外と何ら変わらないわね。」



彼女は怒っいるのか、悲しんでいるのかそれすらも表情からは読み取れないほどに感情が抜けていた。しかし、声音が震えているのはハッキリと3人の耳に届いた。

彼女はすぐそう言って立ち去ろうとする。


 「待ってくれ!すまなかった!」


 「「俺、  私もごめんなさい。」」


 「そういうつもりじゃなかったんだ。」


 「いいのよ。あなたたちに限ったわけじゃないから......」


 彼女の表情が曇る。

 俺たちは弁解しようとしたが、それは無理なようだ。まるで聞く耳を持ってくれない。


 「それじゃあ、私のような化け物は早くいなくならないといけないらしいから、いなくなるわ。あと、そうだ。橘君、この学園の最初のイベントって何か分かる?」


 「それは.....」


 「新入生代表の指定闘技よ。例年そこでは先輩に挑むのだけれど、それで私は橘君、あなたを指名するわ。せめて今の私を怒らせたことを本気で悔いることね。それじゃ、また後で。」

読んでいただきありがとうございました!感想やこうするといいよ~的なこと言ってもらえると筆者的にめちゃくちゃ嬉しいです。

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