ちょっと早めの再会
・・・これから私達は大切な友と巡り会えたこの学園に感謝して、
聞いていて心地の良いというと完璧に変態の様に聞こえるが、代表の挨拶で緊張のこもった透き通った声がまさにそのように感じる。きっと大人しい子なのだろうなと思いつつ顔を見ると.....
もう絶句。
「っっ!!!新入生代表っt........。」
言葉になっていなかった。もう驚く以外にあり得ないだろう。俺はついさっき、超絶最悪な出会い方をした名前を知らない彼女と超絶に最悪な再会の仕方をしてしまったのだから。しかも、それだけではなかった。彼女のが代表の挨拶をしている最中に、途中から入ってきた男がいきなり声を上げるなんて想像しただけで最悪だ。しかし、そんなことを気にするなんてことは俺には出来るはず無く、つい大声で叫んでしまった。
すると彼女は少し俺がが来ていることには気が付いていたようだが、まさか朝あんなことがあった俺だとは思ってもみなかったようで人前ではさすがに場をわきまえているのか、押し黙っているのかは分からないが、大声は出さずに目をいっそう大きく見開いて驚いていた。
「な、な、なんでここにいるのよ...」
「・・・・」
もう、なんて返せば良いのか分からなかった。自分の仕事はこなさないといけないので、法剣の贈呈のリハーサルは出ていなくても本番はきっちりこなすつもりだった。そう、彼女が同じ贈呈人でなければ。とにかく、一呼吸おいて、気持ちを落ち着かせなければ、と思い、ハーと息を吐き、俺は俺たちの中に流れている無言の雰囲気を壊すように彼女に話を続けるように彼女に顔向けると、彼女の顔はものすごく怒っていた。そりゃもう、鬼のように。
俺は怖すぎて口をつむぐと、
「昔といいい、朝といい、今といい、なんで君はそんな風に私を怒らせるようなことしか出来ないかな。そもそもなんで今更、途中から入ってきたの?そして話のいい部分で入ってきて、いきなりため息なんておかしくない?私のことを忘れたふりなんてして、からかってさ、こっちは...「待て。待て。本当に朝のことは謝るとして、おまえが言っているのは単なる人違いなんじゃないか。俺はおまえを知らないし、朝会ったばかりだぞ。」
やっぱりだ。彼女はひどい勘違いをしている。俺を誰かと間違えている。かなり慌てていて彼女には少しきつい言い方になったしまったかも知れないが、今は彼女の代表挨拶の方が優先だ。
「とりあえずこれを終わらせないか。」
黙って彼女はうなずく。とりあえず分かったくれたみたいだが、そこからの彼女の挨拶はあれだけのことが起こっていたら仕方が無いかも知れないが、ひどかった。残りは少なかったのが幸いしたが、覇気が無く、締まらなかった。そして女の先生に教わった通りに法剣の贈呈を進めようとした。
「ではこれから引き続いて、新入生による法剣の贈呈を行います。」
さっき挨拶をしていた学園長ともうひとり、副学園長が出てくる。
「それでは、剣の贈t.....
バタン
危機一髪だった。剣を渡そうとするとき、いきなり彼女が倒れそうになりかけたのに気づき、なんとか頭を床にぶつけることは避けられた。それでも彼女の息の上がり方が尋常じゃない。俺は熱があるかどうかどうか調べるために彼女の額に自分の額を合わせる。一部の生徒が好気の声を上げたが、そんなことを気にしている暇ではない。確かに少し熱いが、それでも熱で倒れるほどではない。どうしたんだろうと考えようとしたとき、彼女の不足の事態に戸惑っていた学園長から彼女を連れて行きなさい、と促された。彼女をそのままおぶって、ステージ上から退場する。
ーーー重い.....とても失礼だとは思うが、意識が無い状態の人間を持つのは想像以上に大変だ。詳しいことは分からないが背負われる側もバランスを取ることで持つ側の負担がかなり変わるらしい。ステージ脇を通るとき先生たちのもう少し大きければ聞こえてきそうなひそひそ話が聞こえてくる。しかも、たまに聞こえてくる単語が襲うだの、無理矢理だの、あらぬ疑いがかけられている。
あーーーもうまじでこの先生たちって何なんだ。本当に。
無事保健室まで彼女を届けられた俺だが、何も出来ることが無く、ただ彼女が目覚めるのを待っていた。というと聞こえはいいが、実際には講堂に戻れないという部分が多い。もちろんあのようなことが起こらなかったとしても、彼女を一人にして戻るわけにはいかないけど。とりあえず、彼女は大丈夫らしい。緊張や貧血でよく倒れてしまうその一つらしい。それにしても、綺麗だな。普段少し真面目そうで堅そうなイメージの顔立ちをしているが、寝顔はあどけない表情でかわいらしい。どこか別の場所を見ようとしても、自然と彼女の方に目線がいってしまう。
「やめて....。行かないで.....。」
「ん?」
いきなり彼女がしゃべり始めたので起きと思ったが、ただの寝言だった。そして、彼女の頬には涙が流れている。あまりにいきなり涙を流すので、俺はどうして良いか分からず、拭おうとすると、
「まっっっっっって!!!!」
突然彼女が寝言をいいながら飛び起きた。
ドンッッッッッッ!!!!
めちゃくちゃ痛かった。なんで今日に限って、美少女に何回も痛い思いをさせられなければいけないのかと思いつつ、彼女の方を向くと怒っていた。
「叶翔!今、私にキスをしようとしていただろ!私の唇を奪おうとした罪は重いぞ!」
「待て。待て。いったいあなたは何者なんだ。俺の名前を知っていたり、新入生代表挨拶をやっていたり。あなたの目的は何なんだ?俺は名前は叶翔だけど、俺はあなたの知る叶翔じゃない。」
「私の目的は人捜しだ。」
「それ俺と同じの名前の叶翔って訳か?叶翔の漢字はどういう漢字か言えるか?」
「叶えるに、飛ぶって意味の翔る。」
「俺の漢字と一緒だな。」
俺は手をあごにつけて考えてみる。確かに、かなとという名前はあまり多くいる名前ではない。しかも、それが漢字は被っている。と、ここで聞き忘れていたが名字を聞けばすぐにこの問題が終わることに気づいた。
「その叶翔の名字は分かるか?」
すると、彼女は暗かった顔をいっそううつむかせて言った。
「春川。今は変わっているかもしれない。それにもしかしたら.....」
「もしかしたら?」
「この世にいないかも知れない。」
彼女の暗い声が今まで以上に重苦しく響いた気がした。俺は驚きのあまり目を見開いて驚いた。なんて言ったってこの彼女はまだ生きているかも分からない人を探しているのだ。とても、ついこの前まで中学生だった人が出来ることではない。それに、その名字が名字だ。春川ーー四季族、または四貴族と呼ばれる21世紀後半の日本を守り、支えている四つの家、貴族の一つ。それぞれの貴族が四季を名字に関していることからそのように呼ばれ、大変強大な力を持っていることからネームバリューはすごい。さらに、大きな力を持ち、多大な秘密を抱えているので、都市伝説のようなものが存在し、不思議なことにそれぞれの名前が持つ四季にその家が誕生していることなど多くの謎が存在がする。しかし、そのような謎が畏怖を感じさせることから公共の場で話題にすることははばかられている。そんな四貴族の一つの家が出てくるとは思わななかったので、俺は呆気にとられる。
「でも大丈夫。もう分かったから。とりあえず私の探している人が君ではないことは。」
彼女は今までの暗かった雰囲気を一掃するように言った。しかし、どんなに声を明るくしようとも、表情は依然として暗いままだった。
「まあ、確かに俺ではないな。そんな四季族が関わるような環境に身を置くなんてことをしたら、さすがに覚えているだろうしな。」
「確かに君のような人が私の探している人なはずがない。だって、いきなり人が代表挨拶をしている時にだって、人前に出てきて、私の邪魔をしようとするような人だしな。おまけに私のことをふたりきりになった瞬間、私の初めてまで奪おうとまでする。」
少しだけ、彼女の一面を知れた気がする。今の彼女は代表挨拶の時のように、凜としていないが、それでも俺のことをいがみながらもいたずらに笑うその笑顔はめちゃくちゃ可愛かった。
いつの間に彼女の纏っていたとげとげしい雰囲気がなくなっていた。
「そんな笑い方も出来るんだな。」
正直、勝手に漏れてしまった言葉ですぐに後悔した。なんせ、この言葉は普通の男女でも言わないだろう。それに俺たちは今日会ったばかりだ。だが、この心配は杞憂に終わった。そう、この心配は。
彼女は完璧に真正面にいる俺を見てはいなかった。そして、俺の後ろには優しいと評判の保健室の先生が......いなかった。いたのは、怒られると説教が長いと言われる水原という教師だった。ーーしかし、俺たちがこのことを知るのは後のことだった。
「(前略)......いいか。分かったな。とりあえず、おまえだけでも早く式に参加しろ。」
「はい。分かりました。本当にすいませんでした。」
やっと、水原先生の説教が終わった。それにしても長かった。俺は別に病人じゃないからと言う理由で、彼女の看病という名目も、意味を成さず、俺があの場を逃げて戻ってこなかったと思われていた。全くそんなつもりはないのだが、反論するとかえって話が長くなりそうなので聞き流した。(そう言う意味での前略だ)
彼女には式に戻るからと一声掛けてから、式に戻るとやはり、終わっていた。
「おーい。叶翔ー。」
「やっと、返ってきたか。イベント大好き王子。」
奏はともかく秋はひどい迎えようだ。とにかくあだ名がおかしい。
「人を変なあだ名で呼ぶなっての。恥ずかしい。」
「何を言う。恥ずかしいのは俺らだぞ。放送の呼び出しから始まり、女子を倒して終わる。もう、最悪じゃないか、おまえ。」
「呼び出しはともかくとして。あの倒すのはさすがにないよね。」
秋の言葉に、さらに奏が追撃をかけてくる。
「だから、倒してないってば!!」
さすがに事実と違うところは反論する。全力で。まあ、他に事実を責められればどうしようもないが。
「それはおいといてだな。よくおまえ保健室から帰ってこれたな。」
「それってどういう.....」
「もしかして、知らないのか。彼女を。」
「うん。そうだけど。」
「「あちゃ~~~~~~~~~~」」
俺の言葉に秋と奏の二人ともまた、何かをやらかしてしまったのかと言わんばかりにショックをあらわにする。
「叶翔って。世間に無知もいいところだよね。」
「いいか。良く聞け、叶翔。彼女は.....
春川純麗。春川家の長女にして、イザナミの契授を持つこの学園でもすぐにエリート入りするほどの実力者だぞ。」
見ていただいた方々ありがとうございます!この小説を執筆中に少し事故が起こりまして、書いた内容の半分が消えてしまうという悲劇がおこりまして......相当にショックでした。まあ、何が言いたいかというと途中少しやけくそ気味に書いてしまっていておかしいなと思うところがあるかも知れないので、ごめんなさい。感想もらえると、嬉しいです。