繋ぐぬくもりと決意
投稿が遅れてしまいました。
タイトル通り、今回は真面目です。
ルモさんが帰ったあと、いい加減裸なことに気付いて、さっさと服を着た。
持ってきておいた替えの服に着替え、ほっと一息つく。
途端、ジュラが部屋に入ってきた。
昨日と同じ服装かと思えば、単純に大きな白いシャツを一枚、着ているだけのようだ。
……年齢が年齢だし、パンツ見られるとか、そういうことはどうでもいいのかね。
「セリザワ、だいじょうぶ?」
「ん? ああ、大丈夫だ」
「セリザワ、怒ってない?」
「怒ってないぞ。むしろ、俺が悪かったな。寂しかったんだろ? 悲しい気持ちにさせて、ごめんな」
素直に謝られたんだし、俺も謝っておく。
「俺は見ての通り頑丈だから、熱線の一発や二発、平気だしな」
ジュラの頭にぽんと手を置く。いやそんなに食らいたかねーけど。
「……ん」
こくんとジュラが頷く。
「よし。それじゃ、朝飯食おうぜ。昨日のカレーでいいか?」
「ん。カレー、美味しい」
気に入ってもらえて何よりだ。
立ち上がって、キッチンに向かう。
カレーの鍋を温める。
しばらく温めると、キッチンからカレーのいい臭いが漂い出す。
ささっと皿に用意し、ジュラの待ってる食卓へ。
俺もジュラも席につく。ジュラが相変わらず俺の膝の上に来るが、まあ、中身が幼いんだし、そう思うと微笑ましい。
……食いづらいのは変わらないが、まあ我慢しよう。
「ごちそうさま」
このあとどうしようかーなどと考えているうちに、ジュラがカレーを食べ終わった。
皿を持ってキッチンに行き、ちゃんと流しに置いた後、再び俺の膝の上へ。
……気に入ってんだな。ここ。
直に俺も食い終わり、席を立つので、ジュラには退いてもらった。
「……」
うん、名残惜しそうに降りられると、なかなかに罪悪感がある。
手早く後片付けを済ませ、ソファーに座る。
すぐさまジュラが膝の上に来る。
「……なあ、そこ、そんなに落ち着くのか?」
「ん。落ち着く。安心。暖かい」
まあ、無理にどかす意味もないんだが。
「気に入ってくれるのはいいけどさ、これからどうするよ」
「ずっと一緒。それでいい」
「いやいや、そうじゃなくて、今日の話だって。まあ、冷蔵庫の中が非常に寂しいから、買い出しにでも行こうかと思うんだけど」
「一緒に行く」
「そうだな。それじゃ、準備して出発だな」
そう言えば、顔とか洗ってなかった。
いつもは朝飯食う前にやっているんだが。
洗面所で身だしなみを整え、玄関に向かう。
ジュラも着替えて出てきた。
こないだの白いノースリーブのワンピースじゃなくて、黒のゴスロリ衣装。
……それで行くのか。
いや、あのヘタしたら、パンチラどころかもろに見えそうなシャツ一枚じゃ、さすがに出かけはさせないけど。
その格好もその格好で良いのかどうか……。
「……変?」
不安そうに、ジュラが聞き返してくる。
「いや、似合ってる。可愛いよ」
ここでそれで外には行かせられないとか、俺には言えませんでした。
…………可愛いし、問題なんてないんだよ!
「それじゃ、行こうか」
「……ん」
くいくい、と袖を引っ張られる。
「手、繋ぎたい。……だめ?」
別に、断る理由もないし、ジュラが喜ぶなら。
「いや、大丈夫、だけど」
ぎこちなく手を差し出す。手を繋ぐとか、何年ぶりだろう。
ジュラは喜んでその手を握った。
小さくて柔らかい手。
あったかい。
「……ぐす」
「ど、どうした!? 何で泣いてるんだ!? あ、握る力、強すぎたか!?」
子供相手じゃ痛かったか!?
そう思って、手を放そうとしたのだが、
ぎゅっと、ジュラが力を込めて、両手で俺の手を握る。
放したくないという、明確な意思表示。
「違う。嬉しい。お姉ちゃんやルモみたいに、セリザワが手を握ってくれるから、嬉しくて、涙がでる」
「ジュラ……」
「でも、怖い。お姉ちゃんみたいに、セリザワがいなくなっちゃうのは……いや」
そうだ。
ジュラのお姉さんは、ウルティオンという最善策の挙がる前に、殺されてしまった。
……もう二度と、こんな子に、俺を慕ってくれたジュラに、そんな思いはさせたくない。
「絶対、ジュラのことを一人にしない」
ジュラの頭を空いた手で撫で、安心させる。
「……お姉ちゃんと、おんなじことを言う」
「そうなのか? まあ、これは俺の冗談抜きの、本気の台詞だけどな」
「……わかってる」
ジュラは目元をぬぐうと、初めて笑った。
「ありがとう、セリザワ」
「おう」
この笑顔のためなら、なんでも出来る気がした。
今回の最後の流れは、ハリウッド産イグアナ野郎のアニメの方の流れを参考にさせていただきました。
デザインこそあれですけど、一度は和解できなくても、次代でわかりあう努力をしたあの流れはいいと思います。
まあ、主人公の名前とか、わかる人にはわかるフラグなんですけど。