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怪獣少女のいるところ  作者: 七志野代人
第一章 始まる日々
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同棲開始

 さて、やっとマトモに話が進みます。

 あと、作者はロリコンじゃありません。

 衣食住をぜーんぶ国が面倒見てくれると言っていたが、それに甘んじるのはなーんか嫌だった。

 いや、だって、俺無理矢理引っ越させられたようなもんだし。

 ルモさんに聞いたところ、普通に住人達が経営しているお店があるため、働きながら生活していくことも出来るらしい。

 自給自足できてるんだし、大したものだ。

 ジュラは結局、一緒に生活していくことに反対しなかったので、俺と一緒に暮らすことになった。

 ……これでいいのか? 俺個人としては、非常に不安なんだが。

 まあ、部屋はそこそこ広いし、なんとか別々に寝てもいけそうだが。

 折角なんで、挨拶の意味も含め、俺が夕食を作る。

 ルモさんも誘ったのだが、忙しいらしく、行けないということだった。

 食材は、来れない分用意するといってくれた、ルモさん提供。

 なんか申し訳ない。

 結局ジュラ一人に振る舞うわけだが、気に入ってもらえるかどうか。

 メニューは独り暮らし時代、さんざん作ったカレーライス。

 子供でこれが嫌いなのはいないと思うし。

 そうと決まれば早いもので、ぱっぱと手際よくカレーは出来上がった。

 その間、ジュラは興味津々といった様子でこちらを眺めている。

 ……腰に抱きつかれたが、まあ、どいてくれって言えば離れてくれたし、問題はない。多分。

 カレーライスを皿に盛る。

「このくらいでいいか?」

「……ん」

 こくんとジュラが頷く。

 次いで、俺の分もやって、皿を二枚とスプーン二本を持って、食卓に並べる。

 ジュラはソファーで待機。

 並び終え、ジュラを呼ぶ。

「ジュラー、ご飯だぞー」

 ここら辺のやりとりは、あまり意識せずにとルモさんから言われてるので、俺もその通りやらせてもらう。

 言いつつ、俺は食卓につく。

 と、ジュラがちょこんと俺の上に座る。

「……ん」

 ……………………いやいや、ん、じゃねって。

 落ち着きます?

 そんなに落ち着きます!?

「あー……、ジュラ? お前のカレーはそっちに置いてあると思うんだが?」

 俺の対面にあるカレーがどことなく寂しそうだ。

「…………セリザワにわけてもらう」

「いや、お前の分はちゃんとあるからな?」

「……………………ここで食べる」

「おい」

 そこまで気に入るか?

 いや、お父さん子だって、このくらいの歳でここまでくっつかねーだろ、普通。

 甘えん坊? いやいや、完全に無表情ですよこの子。

「俺が食いづらいんだ」

「……我慢?」

 なんで疑問系。

 いや、確かに食えないワケでもないんですが。 

「…………まあいいか」

「いただきます」

 ちゃんと手を合わせてからジュラはスプーンを手に取り、カレーの皿を引き寄せる。

 あ、そこら辺はちゃんとルモさんが教えてるんだ。

 でも、あの人怪獣じゃね?

 ……気にしても今はどうにもなんないか。

「うまいか?」

「ん、おいしい」

 思いの外好評だった。

「そか」

「セリザワ、他のも作れる?」

 他の料理ってことか?

「ん? ああ、まあ自炊とかは結構してたし、出来なくはねーな」

「ほんと?」

「嘘ついてどうする」

 いや、疑う意味ねーだろ。

「……またおいしいの作って」

 ……そう頼まれると、断る理由もないか。

「おうよ、楽しみにでもしとけ」

 ジュラは膝の上だから顔は見れないが、まあ、楽しい、つーよりも、嬉しい食事だった。

 ただ、前にジュラが居るもんだから、食いづらかったし、明日からは止めてもらおう。

 たまーにやってやるのはいいけどさ。

 風呂もあらかじめ沸かしておいた。

「ジュラ、お前は最初に入るのと後に入るの、どっちがいい?」

「……一緒」

 あれ? 今、ちょっと一般的じゃない返答が来たような?

「あの、ジュラ?」

「セリザワと、一緒がいい」

 ……それ、完全にアウトじゃね?

「……さすがに、一緒に入るのはダメだ」

「……どうして?」

 うん、俺の理性云々とか言えないよねー。

「どうして、セリザワ?」

 俺が黙ってると、さらにジュラが聞き返してくる。

 ふわりと、ジュラの髪が揺れる。

 ――風も無いのに?

「どうして?」

 ジュラが繰り返す。

 俺の本能がヤバいと警鐘をならす。

 ジュラの髪の末端――銀色の部分が青白く発光してる。

 あ、嫌な予感。

「セリザワ――わたしのこと、嫌い?」

 ジュラの声が少し震えていた。

 髪の毛の発光がさらに強まり、目の前の空気が光を帯びた。


 キュィイイイイイ――


 空気が軋む。

「ジュラ――」

「――嫌いに、ならないで」

 ……今にも、泣きそうな声。

 ひどい罪悪感を覚える。

 その瞬間、光が放たれた。

「――は?」

 いや、光と言うよりは、熱線か?


 ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!!!!

 

 ――熱線は、俺を飲み込み、綺麗にアパートの窓を吹き飛ばした。

 ……………………うん、冷静に観察する前に、ちゃんと避ければよかった。

 ドサリと倒れる。服とか、完全に黒コゲだ。俺自身もあちこち痛い。

「ゲフッ」

 咳き込むと、口から煙が出た。

 …………漫画かよ。

 そんなどうでも良いことを心のなかでツッコみ、俺の視界は真っ黒になった。

 ちっちゃい子は泣かせてはいけませんねー。

 後、ジュラのモチーフの怪獣はわかったでしょうか? 

 正解は、映画で有名な某Gさんです。

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