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除幕
ドアはいつも通り、仕入れをしていた。
早朝からの作業だが、さほど苦には思っていないようだった。
「ふぅ〜、早朝は空気がひんやりしてて、気持ちいいねー」
重い段ボール箱を店内に運んでいる。
と、
「…………」
「あれ? ジュラ?」
見知った少女ごそこにいた。
「どうしたの? あ、ひょっとして、芹沢君が目を覚ましたから、それのお祝いとかかな?」
「…………」
「? ジュラー?」
少女が顔を上げた。
何も映していないかのような、虚ろな黒い瞳が、ドアを見つめた。
「――ジュラじゃない⁉」
「…………」
少女は表情も何も浮かべず、右手を掲げる。
痛々しい傷だらけの腕。
その傷口から、光が放たれた。
「な!――」
刹那、轟音が早朝の空気を引き裂いた。
さて、タイトルで察せるとおもいますが、ここからは終わりまで一直線です。終わりと言っても、とりあえずの着地点のようなものですが、皆さんにそこまでお付き合いいただけたら、幸いであります。




