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怪獣少女のいるところ  作者: 七志野代人
第一章 始まる日々
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そして始まる。

 会話メインの説明回です。

 うん、ルモさん。

 これだけは言わせてもらおう。

「どこをどう考えたらそうなるんですかっ!?」

 ジュラが俺になついているらしい。なら一緒に住めば? 

 ……いやいや、どうやったらそうなるの。

 一般人かつ、天才でもなけりゃ、ましてや怪獣でもない俺は、その思考についていけませんよ?

「うーんと、ジュラちゃんとか、わたしなんかが怪獣だというのは把握してますよね?」

「そりゃあ……この町、怪獣しか居ないでしょう?」

「その通りです。まあ、全員が女性――それも、大半が少女の姿です。そのなかでも、ジュラちゃんは幼く、そして孤立しがちなのですよ」

「そうなんですか?」

「はい……。わたしも一緒にいる時間は長いのです。おかげで、手放しで安心できる相手と認識されていますが、それは、彼女が警戒を解けるよう、わたしも必死だったからです」

「……なるほど。ちゃんと向き合って時間をかければ、ジュラは心を開いてくれるワケですが、それはその当人に対してであって、それは他の人に適用されないわけですか」

「あたりまえ、なんですけどね。ただ、普通なら、警戒を解く基準を甘くするとか、そういう効果がちょっとくらいあるんですけど……ジュラちゃんは、警戒を解いた人以外には、同じだけ努力しない限り、安心して接することはありません

「ルモさんの口振りからすると、警戒も厳しいみたいですしね」

「……わたし並みの努力は、推奨できませんね。わたしだって粘り勝ったようなものですし、根気がいる、なんてレベルじゃあないです」

 確かに、それだけのレベルの苦労を見ず知らずの他人――と言うわけでもないだろうが、あまり知らない人相手に施そうとはしないだろう。

 俺だってイヤだ。だから、ルモさんがそこまで気にかける理由がわからない。

「ルモさんは、なんでジュラを苦労してまで気にかけるんですか?」

「……そうですね。わたしがこの町の運営を任されている、というのも大きな理由の一つです。ただ、個人的に、彼女のお姉さんに仲良くしてもらいましたから、その恩返しもあります。後は……可愛いから、ですかね」

「はあ……。ところで、俺がジュラと一緒に暮らすって話、どっから出てくるんですか?」

「わたしでも随分と時間をかけてジュラちゃんと仲良くなったのに、あなたは一瞬で仲良くなったでしょう? あなたなら、ジュラちゃんと皆の架け橋になれるかもしれないですし、それに――わたしも、そろそろ、ジュラちゃんに付きっきり、というわけにもいかないので」

「……そうなると、仕方ない、ですかね……。でも、俺がジュラに害をなさない、とも考えられないでしょう?」

「ふふっ、大丈夫ですよ」

「何でです?」

「そんなことしたら、あなた、消し炭にされちゃいますから」

「………………なるほど」

「安心してください。衣食住については、この国がしっかり面倒を見てくれますし、それに、あなたへのなつきようなら、消し炭にされることもまずないでしょう」

「……安心、出来るのか? 微妙すぎる……」

「わたし達は一つのアパートで生活してます。幸い、部屋はいろいろと余ってるので、お好きなものを使えますよ」

「……わかりました。乗り掛かったつもりもない船ですけど、一緒に暮らさせていただきます。確かに、こんな子を一人にするのは不安ですしね」

 結局、俺はこの話を引き受けた。

 いや、実際ほっとけないし、ここまで話を聞かせてもらったし。

「っと、すいません。場所とかの案内、頼んでもいいですか? 後、ジュラがくっついたまんま寝てるんですけど、普通におぶったりして良いですか?」

 怪獣とはいえ女の子だし、ジュラの運搬方法は一応は確認をとる。

「ええ、案内役を引き受けます。ジュラちゃんは、あなたが言うように、おぶっていっていいですよ」

 そう言って、ジュラを俺から引き剥がした。

「こうして寝てると、なかなか起きないんですよ」

 その内に、俺がさっさとジュラをおぶった。

 本当に起きない。

 よーく寝てらっしゃる。

「しばらく――といっても、五分十分くらいで着きますけど、少し歩きます」

 

 ……


 いろいろと聞きながら歩くこと五分。

 アパートに着いた。

「ここでこれから生活してもらいます。よろしくお願いしますね」

 そう言って、ルモさんは笑った。




 ちょっと分かりづらいところも見受けられるので、次は簡単な人物紹介になります。

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