零
総合評価100pt突破しました!
ありがとうございます!
ジュリとディアは向き合って座っていた。
「つまり、君は件のドクターイクスの指示に従って、この街を襲撃したわけだ」
「…………うん」
「ヨシトとジュラにゲノム・ディストラクションを投与したけど、ヨシトは自力で克服して、君を倒した上でジュラも回復させたわけだ」
二人がしているのは事実確認だ。
突然、二人を抱えてこの家に来たディアに、彼女が落ち着いてから他の人々も呼び、事情を聞き、ジュラも一緒にその確認をしているのである。
「…………本当に、ごめんなさい。わたし、とんでもないことを……」
ディアの心からの謝罪に、ジュラが彼女の手を握った。
「……もういい。今のあなたは、怖くない、から」
「言いつつ語尾震えてると説得力ないよー、ジュラ」
そのとおり、口でそう言いつつも、まだ警戒心や恐怖心は残っているようだ。
「ごめんね……。あんな酷いことして」
「ん……大丈夫。セリザワが愛の力で直してくれたから」
「…………さり気なくデレるのね」
「あれは確実に愛の力。なぜなら初めてを奪ってもらったお陰でわたしは今生きている」
「…………非常に意味深だね」
恍惚とした表情のジュラに、ジュリが呆れたようなため息を漏らす。
「まあ、初めてといえば初めてね。……キスだけど」
ディアも少し呆れてる。
「とにかく、わたしはもう気にしていない」
「うん……ありがとう、ジュラちゃん」
ジュラの一言に、ディアは微笑んだ。
「……しかし、当の本人は未だ目覚めず、か」
ジュリのその一言に、三人はため息を漏らした。
「そうね、おまけに……」
「あーっ! シャラナ、またゼロ独り占めしてー!」
「お姉ちゃんの当然の権利じゃ!」
「ずるいよ! あたしもぎゅってしたいよ!」
「わ、わたしも!」
「うー! はーなーしーてー!」
「ああっ、本人嫌がってますよ!」
バンッ!
「もー! 抱っこ禁止だよ!」
白銀の髪の少女が部屋から飛び出し、中に居るシャラナ、クイン、フェル、バルハをビシリと指差した。
指さされた面子がショックで固まる中、ルモだけが苦笑いを浮かべている。
「まったく、みんなして抱きつくんだもん……」
憤慨した様子で長い髪を整えている。
可愛らしい雰囲気の強い顔立ちに強気な表情を浮かべている。
その瞳は、鮮やかな青色だ。
ジュリより大分低い背丈で、ジュラより少し高いくらいの背丈だ。
「……あれが細胞のもとの姿と人格なのかな?」
「うん、多分……」
「……セリザワお姉ちゃん?」
『ぷっ!』
ジュラの一言に、ディアとジュリが吹き出してしまう。
確かにジュラやジュリと顔立ちは似ているし、目の色も一緒だ。
姉妹と言えば通用してもおかしくない。
しかし――
「まさか、こんな姿になるなんてね……」
「まあ、由人君の体の細胞は、元々あなたのものだったって話だから……」
そう、この少女が芹沢由人なのである。
男子高校生が、なぜこんな姿になっているのか。
「怪獣細胞……を、発展させた機械細胞だっけ? また便利な代物があったもんだよね……」
「まあ、こんな技術の源泉がわたし達なんだけど……」
「まさか死にかけて体を一から再構成して保たせるとか……無茶苦茶だよ……」
「……ジュリも一から体を作ったんだから、大差ないって」
「…………そう言えばそうだよね」
全ては人類が手にした禁断とも言える技術の賜物なのだ。
…………結果はいささか、しょうもないのだが。




