お昼の姉妹
「美味しいね、ヨシト♪」
「外で食ってもよかったんじゃないか?」
「ボクはヨシトのご飯が食べたいんだよ!」
……今現在、俺はジュラとジュリ、二人の昼食を用意している。
理由は単純。俺のご飯が食べたいとジュリが言い出したから。
折角なんだし、外で食べるのも悪くないんじゃないか? とは提案したのだが、
「ボクはヨシトが作ってくれたご飯がいいな」
と言って譲らず、
「……賛成」
ジュラも賛成したものだから、結局大怪獣町に戻って昼食をとることになったわけだ。
……恋人(?)と家族の頼みだし、嫌なわけでもないもんなー。
ま、喜んでもらってるのは素直に嬉しいし。
「はい、ヨシト!」
唐突にオムライス(ジュラのリクエスト。今日の昼飯だ)をスプーンにのせ、ずいとジュリがつき出してきた。
「へ?」
「はい、あーん♪」
……唐突すぎやしません!?
早速デレが入っただと!? く……っ! リアルでやってもらえるとは思っていなかった……! 恥ずかしいけど、でもジュリめっちゃかわいい笑顔だしなんか嬉しいぞこれ!
俺はおずおずと口を開けた。
「あ、あーん」
「は~い♪」
ぱく。
「おいしい?」
「う、うん……」
正直、口のなか意識する前に、いろいろな感情で頭のほうがなにがなんだか……。
「あっ、ヨシト、口の脇にケチャップついてるよ?」
ジュリがそう言って、俺の口元を指す。
「え、まじ?」
「ヨシト、動かないで」
「は?」
「ん、ぺろ」
「っっっ!?」
「んふ、おいし……♪」
な、舐められただとっ!? てか、その後の台詞と表情がなんかめっちゃエロい!
っつーか、こんなんジュラに見せるのどうなんですかっ!?
そんな感じで隣に座る(最近は膝に乗らない。ちょっと寂しい)ジュラを見ると、
「……………………」
ものっそい羨ましそうな表情でジュリを見ている。
やっぱ仲間外れっぽくなって寂しいか?
……ところでお姉さん? なんで妹さんにそんな応援してるよ!的な表情をしてるんですか? 俺には理解できないのですが!
「セリザワ……」
「うん、どうした?」
「……っ、……わ、わたしも、して、ほしい……」
顔を真っ赤にし、もじもじしながらジュラがそう言った。
「へ?」
「…………その、………………あーんって、して、ほしい……」
「…………」
絶句。
二重の意味で絶句。
まさかのジュラの台詞と、恥じらいながらのおねだりの破壊力に。
勿論、嫌だなんて選択はなかった。
「……ほ、ほら、あーん」
「…………あーん」
ジュラも恥ずかしいらしい。
真っ赤な顔で、パクリとスプーンをくわえた。
「あー……、うまいか?」
「……………………ん。すごく、おいしい」
真っ赤な顔。それでもこくりと頷いて、ジュラは微笑んだ。
…………なにこの高火力姉妹。
一度意識しだすとヤバいってのは判っていた。
ただ……
「んーっ! やっぱりボクはヨシトの料理が好きだよ!」
オムライスを口に運び、笑顔をこぼすジュリ。
「…………セリザワが作ってくれるのも、嬉しい……」
そう言って、しっとりと微笑むジュラ。
…………ここまで可愛いのは、ちょっと反則じゃないか?
この間学校の友人に、「これの主人公、まんまお前の喋り方じゃね?」と言われて、かなりショックでした……。
元が作者の妄想だからって……なにも主人公の口調まで似ることはないじゃない……。




