一人増えて
一週間近く間が空きました……。
会話多目の日常回です。
口調だけで伝わるでしょうか?
しかし、こうしてみると、俺ってなかなか幸運なんじゃなかろうか?
最近はそんなことを考えるようになっていた。
何故なら、美少女二人と同棲しているからだ。
ジュラとジュリの二人と。
たとえば、
「……ん、おはよう、セリザワ」
朝起きて、リビングに行くと、ジュラが目を擦りながら、パジャマ姿で出てきた。
「おう、おはようジュラ。ジュリは?」
「まだ寝てる」
「そうか。んじゃ、起きる前に二人で朝御飯の支度するか」
「ん。着替えてくる」
「おう」
短く言葉を交わし、俺はキッチンに立った。
……
「セリザワは、料理が上手」
「そうか? 普通だと思うんだが……」
「いつも、自分で作ってたの?」
「ああ、高校上がってからは独り暮らしだったから、自然と上達してった。自炊ができるように、うちの母さんから基本的なメニューは教わってたし」
「……独り暮らし?」
「基本的には独りで生活してたんだよ」
「……そう」
「にしても、ジュラは料理したことあるのか?」
「? どうして?」
「いや、手際が随分良いから、ルモさんの手伝いでもしてたのかと」
「ん、やってない」
「へえ、それなら、ジュラが器用なのかもな」
「……ん。そんなこと、ない」
「折角だし、今度料理教えようか?」
「良いの?」
「いいもなにも、一緒にご飯作れたら、楽しんじゃないかなーって思ったんだけどさ」
「……!」
急にジュラが俯いてしまった。
「……頑張って覚える」
俯いたまま、ポツリとジュラは呟いた。
「そうだな、二人で美味しいもの作って、ジュリとかルモさんとか、シャラナにでも食わせてやろうぜ」
「ん。楽しみ」
……
ジュラとジュリの寝室にて、
「……お姉ちゃん」
ジュラがゆさゆさと眠っているジュリを揺さぶる。
「……んぅ……」
「……起きて、お姉ちゃん」
ぱちりと目を開け、少しぼんやりした表情でジュリはジュラに挨拶を返した。
「…………ん、ジュラ?」
「おはよう、お姉ちゃん」
「おはよー……、あれ? ジュラ、今何時?」
「大体八時くらい」
「うあー、もうそんな時間かー。寝過ぎちゃったかな?」
「大丈夫。ご飯の準備は、セリザワと一緒にできたから」
「ヨシトと? あっちゃー、起きるの、一番最後だったかー」
「ん、明日はもう少し早く」
「分かったよ。それにしてもジュラ」
「?」
「随分嬉しそうだね。ヨシトと一緒に料理するのは、楽しかったかな?」
「っ!?」
「図星かぁ……。ボクも、負けてられないかな」
「……お姉ちゃん。お姉ちゃんも、セリザワが好き?」
「……そうだね。好きだよ。ヨシトの事は」
「どうして?」
「こんな人に大事にしてもらいたい、とか、ボクの為に、命を賭けてまで頑張ってくれた、とか……そんな理由かな。ジュラはどうなんだい?」
「……わたしは……一緒に居てくれるって、言ってくれたから」
「…………成る程、我が妹ながら、なかなかにちょろかったね。引っ掛かったのがヨシトで良かったよ」
「……う」
「まあ、ボクも人の事はとやかく言えないけど。とにかく、姉妹揃って彼に惚れちゃったわけだ」
「……お姉ちゃん、わたしは――」
「言いたいことは大体分かる。ボクだって、恋人巡ってギクシャクするのはイヤだから。そこでひとつ提案なんだけどね? ……ハーレムって知ってるかな?」
「……男の人一人に、女の人が何人もお嫁さんになること?」
「そうそう! それなら、ケンカになんかならないでしょ? それに、ヨシトの魅力も他の皆に伝わるわけだしさ」
「……ん! 名案」
「でしょ? と言うわけで、ここに芹沢由人ハーレム計画を宣言しちゃったりするよ!」
「……おー。……ところで、わたしたちの告白はどうするの?」
「あー……。じ、自己責任で! あ、でも、先に告白したからーって、独占は無しだからね!」
「ん、了解」
二人が頷きあっていると、
「おーい、二人とも、遅いぞー?」
由人の声がかけられる。
慌てて二人で返事を返す。
「すぐに行く、待ってて」
「ごめんヨシト! 今いくよ!」
「……話の続きは、また今度」
「うん、そうだね――」
賑やかな日々は始まったばかりだ。
次回、人物紹介。
さらに次回。ムフフなイベント(の、予定)。




