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怪獣少女のいるところ  作者: 七志野代人
第三章 動き出す過去
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おかえりなさい!

 えー、更新が1ヶ月以上間隔が空いてしまいました。

 待ってくださったかた、本当に申し訳ありません。

「初めまして! ルモから話は聞いたよー! ジュラちゃんと一緒に暮らしてるんでしょ? あ、あたしはドアって言うんだ! 一応この町で、食材屋をやってるから、今後とも、ご贔屓に頼むよ!」

 なんとも元気な挨拶と共に、優しい茶髪の少女が笑いかけてきた。

「ふっふ~、それで、今日はどんな食材をお探しかな?」

「ジュリの復活祝いなんだ。パーティーに出す為の料理の材料を――」

「そう言うことなら任せてよ!」

「わたし達にも、お手伝いさせてもらいます」

 唐突に声がかけられる。

 振り向けば、そこには二人が居た。

「フェル! それに、バルハさんも……!」

「ふっふっふ、手伝いにきたよ!」

「芹沢さんは休んでいてください。後は、わたしたちが」

「いや、でも」

「……セリザワ、休んだ方がいい」

「ジュラまで……」

「今はセリザワは大丈夫みたいに見える。……けど、かわりに準備してくれる人が居るなら、セリザワは休むべき」

「そうそう。今はあたし達に任せてさ」

「わたし達のお礼も込みですから、お気になさらずに」

「……なんか、すいません」

「良いって良いって!」

「わたし達もわたし達なりにお手伝いしたかったですし」

「……フェル、バルハ。わたしも手伝う」

「お、ありがたいね~」

「助かります、ジュラ」

「……ん、頑張る」

 俺の見てる間に、少女達は、それぞれの作業をテキパキとこなしていく。

「出る幕なしか。大人しく休むか……」

 実際、俺自身は疲れてると感じていないが、人一人分の肉体を細胞分裂で作り上げたのだ。

 疲れてないと思い込んでいるだけで、物凄く疲労している可能性も否めない。

 折角のジュリの復活祝いなのに、俺だけダウンしてるのも嫌だしな……。

 ここは大人しく、荷物持ちくらいで……。

「……セリザワは、家で休んだ方がいい」

「え? いや、帰りの荷物持ちくらい――」

「わたし達で十分」

「そ、そうか。……じゃあ、家で少し休んでくる」

「ん。後は任せて」

 うーん、俺だけ休むのか。

 なんか申し訳ねえな。

 まあ、ぶっ倒れた方がいい迷惑だろうけどさ。

 結局、俺一人でとぼとぼ家路につくことになった。

「ただいまー」

「おや、早かったね。あれ? ジュラは?」

 帰ると、ソファーでぐでーっとしているジュリが出迎えてくれた。

「俺は疲れてるだろうから休んでろって言われたんだよ。フェルとかバルハさんも居るから、大丈夫だってさ」

「んー、確かにヨシトは頑張りすぎだね。ボクの身体を作ったばかりなんだし、休んだ方がいいって言うのは、同意見だね」

「……ま、考えてもみりゃ、とんでもねえことしたんだよな、俺」

「全く、無茶するんだもんねー」

「うるせ。復活出来たんだし、文句言うなよ」

「……そうだね。ほんと、ありがとうだ」

「うん?」

「ありがとう、ヨシト。お礼、楽しみにしててね」

「おうよ。楽しみにしといてやる」

 

 ……


 それからしばらく。

 気付けば、俺は眠ってしまったらしい。

 机に突っ伏していた顔をあげると、

「……おはよう、セリザワ」

「うおっ! ……って、ジュラか。ああ、おはよう。帰ってたのか。あれ? 俺、寝ちまってたのか?」

「ん。疲れてるから、しょうがない」

「……よし、起きたし、何か手伝いを――」

「大丈夫、もう終わったから」

「へ?」

 ジュラが見ている方を向くと、

「おや、芹沢君が起きたみたいだね」

「おはようございます、芹沢さん」

 フェルとバルハさんが、ニコニコと料理の乗った皿を両手に持ち、キッチンから出てくるところだった。

 あれ、本当に俺の出番……。

「……俺、役に立たずだなー」

「セリザワ……」

 ぺしっ、とチョップを貰ってしまった。

「……いきなりどうした」

「セリザワはちゃんと頑張った。休むのが今の仕事」

 ムッとした表情でそう言った後、ふっと表情を緩め、いつも俺がしているみたいに、俺の頭を撫でてくれた。

 精一杯背伸びをして、俺がするよりも優しく撫でる様子は、素直に可愛いと思えるものだった。

「……いつもありがとう、セリザワ」

「これからも頑張るよ」

 俺にとって、とんでもなく元気にしてくれる言葉だったことは、言うまでもない。


 ……


「……セリザワ、準備できたから、お姉ちゃんを呼んできて」

「ん? 良いのか? まだ、シャラナとかクインが居ないけど――」

「……大丈夫だから」

「そうか。まあそこまで言うなら……」

 引っ掛かるものをおぼえつつ、俺はジュラを呼びにいった。

 今は俺の部屋の布団に寝かせている。

 なんだかんだで、ジュリはしばらくは大人しくしてないと、体力が速効で尽きて、そのまま体調を崩しかねないらしい。

「うー、眠いよヨシトー」

「ええい、諦めろ! つかお前のためのパーティーだろうが!」

 目を擦るジュリの手を引っ張り、皆の待つリビングへ入る。

「ジュリ、連れてきた――」

「「「ジュリ、芹沢、二人とも生還おめでとーっ!」」」

 

 パパパンッ!


 入ると同時に、盛大なおめでとうと同時に、クラッカーが鳴らされた。

「うわっ!」

「ひゃっ!」

 それをやったのは、ジュラ、ルモさん、フェル、バルハさん、クイン、シャラナ、ドア、その他のなも知らぬ少女型巨大怪獣たちだ。

「ジュラの意見で、芹沢さんも一緒にお祝いすることになったんですよ」

「へぇ……。ジュラ、ありがとうな」

「ん」

 結局、その日は日がくれるまで、皆と楽しい時間を過ごせた。

 ……明日から、ジュリは、ここ町の日常の一部なるんだよば――


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