おかえりなさい!
えー、更新が1ヶ月以上間隔が空いてしまいました。
待ってくださったかた、本当に申し訳ありません。
「初めまして! ルモから話は聞いたよー! ジュラちゃんと一緒に暮らしてるんでしょ? あ、あたしはドアって言うんだ! 一応この町で、食材屋をやってるから、今後とも、ご贔屓に頼むよ!」
なんとも元気な挨拶と共に、優しい茶髪の少女が笑いかけてきた。
「ふっふ~、それで、今日はどんな食材をお探しかな?」
「ジュリの復活祝いなんだ。パーティーに出す為の料理の材料を――」
「そう言うことなら任せてよ!」
「わたし達にも、お手伝いさせてもらいます」
唐突に声がかけられる。
振り向けば、そこには二人が居た。
「フェル! それに、バルハさんも……!」
「ふっふっふ、手伝いにきたよ!」
「芹沢さんは休んでいてください。後は、わたしたちが」
「いや、でも」
「……セリザワ、休んだ方がいい」
「ジュラまで……」
「今はセリザワは大丈夫みたいに見える。……けど、かわりに準備してくれる人が居るなら、セリザワは休むべき」
「そうそう。今はあたし達に任せてさ」
「わたし達のお礼も込みですから、お気になさらずに」
「……なんか、すいません」
「良いって良いって!」
「わたし達もわたし達なりにお手伝いしたかったですし」
「……フェル、バルハ。わたしも手伝う」
「お、ありがたいね~」
「助かります、ジュラ」
「……ん、頑張る」
俺の見てる間に、少女達は、それぞれの作業をテキパキとこなしていく。
「出る幕なしか。大人しく休むか……」
実際、俺自身は疲れてると感じていないが、人一人分の肉体を細胞分裂で作り上げたのだ。
疲れてないと思い込んでいるだけで、物凄く疲労している可能性も否めない。
折角のジュリの復活祝いなのに、俺だけダウンしてるのも嫌だしな……。
ここは大人しく、荷物持ちくらいで……。
「……セリザワは、家で休んだ方がいい」
「え? いや、帰りの荷物持ちくらい――」
「わたし達で十分」
「そ、そうか。……じゃあ、家で少し休んでくる」
「ん。後は任せて」
うーん、俺だけ休むのか。
なんか申し訳ねえな。
まあ、ぶっ倒れた方がいい迷惑だろうけどさ。
結局、俺一人でとぼとぼ家路につくことになった。
「ただいまー」
「おや、早かったね。あれ? ジュラは?」
帰ると、ソファーでぐでーっとしているジュリが出迎えてくれた。
「俺は疲れてるだろうから休んでろって言われたんだよ。フェルとかバルハさんも居るから、大丈夫だってさ」
「んー、確かにヨシトは頑張りすぎだね。ボクの身体を作ったばかりなんだし、休んだ方がいいって言うのは、同意見だね」
「……ま、考えてもみりゃ、とんでもねえことしたんだよな、俺」
「全く、無茶するんだもんねー」
「うるせ。復活出来たんだし、文句言うなよ」
「……そうだね。ほんと、ありがとうだ」
「うん?」
「ありがとう、ヨシト。お礼、楽しみにしててね」
「おうよ。楽しみにしといてやる」
……
それからしばらく。
気付けば、俺は眠ってしまったらしい。
机に突っ伏していた顔をあげると、
「……おはよう、セリザワ」
「うおっ! ……って、ジュラか。ああ、おはよう。帰ってたのか。あれ? 俺、寝ちまってたのか?」
「ん。疲れてるから、しょうがない」
「……よし、起きたし、何か手伝いを――」
「大丈夫、もう終わったから」
「へ?」
ジュラが見ている方を向くと、
「おや、芹沢君が起きたみたいだね」
「おはようございます、芹沢さん」
フェルとバルハさんが、ニコニコと料理の乗った皿を両手に持ち、キッチンから出てくるところだった。
あれ、本当に俺の出番……。
「……俺、役に立たずだなー」
「セリザワ……」
ぺしっ、とチョップを貰ってしまった。
「……いきなりどうした」
「セリザワはちゃんと頑張った。休むのが今の仕事」
ムッとした表情でそう言った後、ふっと表情を緩め、いつも俺がしているみたいに、俺の頭を撫でてくれた。
精一杯背伸びをして、俺がするよりも優しく撫でる様子は、素直に可愛いと思えるものだった。
「……いつもありがとう、セリザワ」
「これからも頑張るよ」
俺にとって、とんでもなく元気にしてくれる言葉だったことは、言うまでもない。
……
「……セリザワ、準備できたから、お姉ちゃんを呼んできて」
「ん? 良いのか? まだ、シャラナとかクインが居ないけど――」
「……大丈夫だから」
「そうか。まあそこまで言うなら……」
引っ掛かるものをおぼえつつ、俺はジュラを呼びにいった。
今は俺の部屋の布団に寝かせている。
なんだかんだで、ジュリはしばらくは大人しくしてないと、体力が速効で尽きて、そのまま体調を崩しかねないらしい。
「うー、眠いよヨシトー」
「ええい、諦めろ! つかお前のためのパーティーだろうが!」
目を擦るジュリの手を引っ張り、皆の待つリビングへ入る。
「ジュリ、連れてきた――」
「「「ジュリ、芹沢、二人とも生還おめでとーっ!」」」
パパパンッ!
入ると同時に、盛大なおめでとうと同時に、クラッカーが鳴らされた。
「うわっ!」
「ひゃっ!」
それをやったのは、ジュラ、ルモさん、フェル、バルハさん、クイン、シャラナ、ドア、その他のなも知らぬ少女型巨大怪獣たちだ。
「ジュラの意見で、芹沢さんも一緒にお祝いすることになったんですよ」
「へぇ……。ジュラ、ありがとうな」
「ん」
結局、その日は日がくれるまで、皆と楽しい時間を過ごせた。
……明日から、ジュリは、ここ町の日常の一部なるんだよば――




