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ジュラの悩み

　投稿が遅れました。

　さて、どんちゃん騒ぎの前に、ちょっとした会話回です。

「……うぅ、恥ずかしい……」

「ま、まあ、寝惚けてただけだし、気にするなよ」

「……それでも充分に恥ずかしいよ」

　俺とジュリは、服を着て座っていた。

　……いやー、俺も恥ずかしかったわ、マジで。

「ジュラは、部屋の前にいるんだよね？」

「どうだろうな。布団に入って寝てると思うけど」

　さすがに部屋の前でずっと待機ってことは……

　ガチャリと扉を開ける。

　すぅすぅと寝息をたて、ジュラが眠っていた。

「……寝ちゃってるね」

「……ずっと居てくれたのな。ジュリ、起こしてやってくれないか？」

「うん、分かった」

　ジュリは、少し屈むと、ポンポンとジュラの肩を叩いた。

「こら、ジュラ。こんなとこで寝てたら、風邪引いちゃうぞ」

「……ん、……ぅん……」

　ジュラが体を起こし、眠そうに目を擦りながら、ジュリを見る。

　そして、大きく目を見開いた。

　視線をずらし、俺がジュリの後ろに立っているのを見て、さらに大きく見開く。

「……お姉ちゃん？　……セリザワ？」

「うん、そうだよ、ジュラ」

「ジュリも合わせて、これからは三人で生活か？　ああ、俺は邪魔だってんなら、潔く退くぞ」

「……っ！」

　二人でそれぞれに応える。

　ジュラは一瞬だけ、目に涙を貯め、

「……良かった。ありがとう、セリザワ。改めて、おかえり、お姉ちゃん！」

　にっこりと、笑った。

　それを見て、俺とジュリは……

「……お姉ちゃん？　セリザワ？」

「……ヨシト、うちの妹は最高だったよ」

「……ああ、俺も前言撤回だ。是が非でも一緒にいて、この顔をもう一度拝まなければ」

　二人とも同じ結論を出す。

　最高に可愛い笑顔だった、と。

　……

　結局、俺、ジュラ、ジュリの三人で一緒に住むことになった。

「それで構わないんだよな？」

「……セリザワとは、一緒にいたいから」

「ボクも同意見だよ。ヨシトが頑張ってくれたから、こうしていられるんだから、一緒にすむくらい当然だし、ボクも住んでいて貰いたいしね」

「二人が良いって言ってくれるし、ありがたく一緒に住まわせてもらうことに決定だな。よろしく頼むよ」

「あはは、元はと言えば、ボクが新参者なんだけどね」

「んー、いや、姉妹水入らずっていう方が、良いかもしれないなー、と」

「……セリザワは、一緒に住みたくなかった？」

「いやいや、ジュラとかに、迷惑かなーって思っただけだよ」

「……ん、迷惑なんかじゃない」

　ジュラはそう言って、俺のシャツの裾をつかんだ。

「……だから、一緒に居たい」

　健気だ。

　そう思い、ジュラの頭を撫でる。

「そう言えばだけどさ、みんなにちゃんと挨拶しないと」

　ふと、思い出したように、ジュリは提案した。

「……挨拶、大事」

　俺の手のひらにすりすりしたまま、ジュラは呟く。

「そーだな。うん、一層のこと、みんなを呼んで、挨拶兼ねた、ジュリのおかえりなさいパーティーでもやろうか？」

　俺の提案に、ジュリは頷く。

「それは良いね。早速計画立てる？　それとも、今すぐ必要なもの調達して、みんなを呼ぶ？」

「思い立ったが吉日とか言うし、さっさとやろーぜ」

　俺は立ち上がり、スマホを取り出す。

　皆のスマホの番号も、既に知っていたりする。

　手早く俺の声がかけられるメンバーに連絡をいれ、さっさと動き出す。

「二人とも、一緒にいくか？」

「……お姉ちゃんは主賓だから、待ってた方がいい。わたしがセリザワと行くから、お留守番をお願い」

「ん、わかったよ。ありがとね、ジュラ」

　そんなわけで、俺とジュラ、二人で買い出しにいくことになった。

　……　

　二人で買い出し、か。

　今度からは、ジュリも着いてくるのかな。

「……ねえ、セリザワ」

「ん、どうした？」

　ジュラが話しかけてくる。

　なんか、少しだけ不安そうな声音だ。

「……実は、お姉ちゃんが戻って、少し不安」

「何でだ？」

「……お姉ちゃん、綺麗だから。……セリザワも、お姉ちゃんと一緒の方が、嬉しいだろうし……。……わたしには、あんまり、構ってくれなくなりそうだったから……」

「おいおい、んなことするわけないだろ」

「……セリザワは、これからもわたしに構ってくれるの？」

「当たり前だ。つーか、いきなり構ってこなくなったら、俺も寂しいわ。とにかく、お前を無視するような真似、絶対にしねーよ。前にもいったけどさ。一人になんか、絶対しない」

「……ん」

　俺の手を握り、ジュラはこちらを真っ直ぐに見詰めてきた。

「……ありがとう、セリザワ」

「うーん、いつも思うんだけどさ、ジュラ、お前、自分にもっと自信持てよ。俺が早々お前を置いてどこにもいけないくらい、お前は可愛いんだぞ？」

「っ!?」

　一気にジュラが赤くなった。

「いや、ジュリも美人だけど、ジュラも負けず劣らず可愛いしさ、そんなひょいひょい見捨てられたもんじゃないしな。まあ、そんなわけだから、お前は自分に自信をもって良いぞ」

「……でも、……お姉ちゃんみたいに、わたしは出来ないし……」

「あーもう、ジュラ、お前はほんと、最高の女の子だよ」

　そう言って、耳まで真っ赤にしつつも、俯いているジュラの頭を撫でてやる。

「ったく、こんな健気な女の子、可愛くないわけがねえし、それは、役に立つ立たないじゃねーんだよ。いいか？　お前は滅茶苦茶優しい女の子だ。お前以下の容姿で図に乗る女子なんて幾らでもいるけど、お前はそうじゃない。それだけお前が真っ直ぐで綺麗なんだよ。俺は、お前のそーいう真っ直ぐなところが好きなんだよ。それは比べるものじゃねーし、比べられるものでもない。だから、お前はお前で、ジュリなんかと比べずに、自分をしっかり見て、自信を持て。ジュリだって、その方が喜ぶぞ」

　ここまで言って、俺はやっと口を閉じた。

　喋りすぎて喉がいてぇ。

「……ん、わかった。ありがとう」

「わかればよしだ」

　喉を枯らした成果はあったみたいだな。　

　ジュラも色々悩むんです。

　主にお姉ちゃんのせいで。