対話
さて、レッツ超展開☆
それは夢だ。
よくわからないけど。
確かに夢だ。
微睡みのなか、彼とボクは言葉を交わした。
いや、正確には、ボクから話しかけた。
……んー、まあ、話してみたかった、というのもあったけど、今は妹のことだ。
ジュラがまた、塞ぎこんでしまいそうだった。
いつまでも甘えん坊な我が妹のことだ。
どうも不安で不安でしょうがなくなってしまったようだけど、甘やかし過ぎただろうか?
うーん、世間の怖さを教えて来なかったわたしの失敗か?
裏切られることを極端に怖がってるようだけど、まあ人生、裏切られないことの方が少ないだろうし、裏切られたとして、それをいつまでも気にしてたってどうしようもない。
怪獣のボクが言うのもあれだけど、まあ、出来れば裏切られても仲直りして、肩組んで美味しいお酒でも飲めるような、そんな割りきりが出来ても、いい気はするんだよね。
「ま、しょうがないか。ジュラはまだまだ小さいもんね。君みたいな男の人にあえて、幸運だったろうね」
「……どうだろうな。因縁の関係だし。ああも嫌われたっぽいと、腹括ってても話しかけるの怖いし」
「そうかな? 君なら、安心して妹を任せられるよ。むしろ、生きていたらボクが付き合って欲しいくらいだな」
「冗談はやめてくれ。つか、俺にモテる要素が見つからねえし」
「君の中に居たから分かることだけどさ。君は大事だと思った人をとことん大事にできる人なんだよ。そこが、個人的に良いなーって思ったポイントかな?」
実際、酷いことをしていた父親を、自分の思い出から、きっちりと信じてみせたのはすごいことだと思う。
まあ、ボクがその被害者である手前、彼は微妙な表情をしているけど。
「それじゃ、例の件、頼むよ」
「……体を貸せ、なんて、言われると思わなかったけどよ」
「人生、色々有るもんだよ」
「まあ、お前のお陰で俺は生きてるんだろ? ジュリ」
ボクは頬を赤くした。
「そう言われると照れるね」
「こっちとしては、お前の細胞が俺の体を構成しているとか、衝撃的すぎるけどな!」
「お陰で物理法則無視出来るんだし、良いことじゃない? ま、妹を立ち直らせるだけだからさ。ちょっとの間、体を借りたいんだよ」
「……ジュリと話せたほうが、良いのか悪いかは知らないけど、分かった」
「ん、ありがとう。まあ、お別れも込みだけどさ。こういう機会は大事にしないと」
「お別れ、か。俺の中に居るっていうのは隠すのか?」
「ああ。依存させとくよりは、ヨシトと一緒に頑張ったほうが、あの子にとっても良いだろうし」
「……そうか。分かった。後、改めて謝る。すまなかった」
「良いよ、もう十分に君は償った。それこそ広明の分もね。だから……ボクは君に感謝している。父親の代わりに妹の面倒を見てくれて、妹にさよならを言いたいと言ったボクに、自分の体を貸してくれてる。そんなお人好しな君にね」
「誉められてんだか、貶されてるんだか……」
「誉めてるよ。ありがとう、ヨシト」
そう言って、微笑む。
本心からの笑みだ。
まあ、あの親にして、この息子ありき、なんだろうな。
彼は優しかったし、ヨシトもそう言うところはよく似てるよ。
「それじゃ、体を借りるよ」
「ああ、元々お前のなんだし、大事に使えよ」
笑ってボクは目を閉じた。
短めです。
まあ、プロローグみたいなモノなので。
次もプロローグっぽくなる……かも?




