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怪獣少女のいるところ  作者: 七志野代人
第二章 決意と絆
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結局の日々。

 さて、砂糖生産会話回、はーじまーるよー!

 どうやら俺も怪獣……つか、少なくとも人間ではないようだ。

 うーん、うすうすそんな気はしてたんだけどな。

 ……いやはや、世の中わからないもんだ。

「……セリザワ」

 ジュラが話しかけてきた。

「ん? どうした?」

「…………クインは脱がせるのに、わたしは脱がさない」

「へ?」

 いきなりどうした!?

「わたしより……クインの方が、好き……?」

「はい?」

 さらに意味わからん!

「…………わたしは、セリザワにとって大事じゃない?」

「いやいやいやいやいや! んなわけあるかよ! 大事に決まってるだろ」

「じゃあっ……」

 涙目になっている。本当にどうしたんだ?

「なんでクインが出てきたんだか知らないけどさ、俺、お前の側にずっといるっつったろ? そんなこと言ってやった相手が、大事じゃないわけあるかよ」

 ぽん、と頭に手をおいてやる。

「……ん」

「だからほら、泣きそうな顔すんなよ。……今日はうち帰って、ゆっくりしようぜ」

「ん……、セリザワ」

「なんだ?」

「ごめんなさい……疑って。……それと、ありがとう」

 目を伏せ、ジュラは呟いた。

 ふむ。なんか申し訳なさそうだ。

 ま、そういうんなら、

「ほら」

 きゅっ、と手を握る。

「っ!」

「申し訳なさそうにしないの。別に悪いことしたワケでもあるまいし」

 ジュラが泣きそうになっていたのは、多分、不安だったんだろう。

 俺がクインに盗られないか。

 俺がジュラから離れていかないか。

 ……ったく、自分を、家族みたいに慕ってくれてる女の子を、見捨てて別の女の子の所に行くとか、ただの最低野郎だろ。それ。

 勿論そんなことはしない。

 ジュラ放っておくなんて、考えたことすらなかった。

 しばらく歩くと、家につく。

「ただいま」

「……ただいま」

 そう言えば、この家に帰ってきたの、今日が初めてだ。

 ああ、ここ二日間、全然言ってない。

 普通に高校生やってたときは、親なんて二人ともいなかったから、家に帰って、誰もいないけどこの挨拶は続けていた。

 でも、これからは違う。

 一緒にただいまって言ってくれる女の子がいる。

 家に居ても、俺は一人じゃない。

 嬉しいもんだな。

「……セリザワ」

「うん?」

 家に入り、靴を脱いでると、ジュラが話しかけてきた。

「……セリザワは、わたしにとって……大事」

「ああ」

 家族が大事じゃない人なんて、居るわけない。

 少なくとも、俺は家族は大事だ。

 とても短い時間の中でしか、一緒に過ごしていないとしても。

「だから、セリザワも、一人じゃない。…………わたしがいる」

「……そうだな。ありがとう、ジュラ」

「……ん、セリザワ。ちょっと」

「ん?」

 くんくんと、ジュラが俺の臭いを嗅ぐ。

「…………さっきの戦いで、服に臭いついてる」

「うそ、マジで?」

「……セリザワ。洗ってあげる?」

「……………………っ、ああ、頼む」

 ……その事を覚悟するのに、まるまる一分くらい時間を要したのは、言うまでもない。 

 芹沢が家族に拘るのは、こういうわけだったんです。

 あ、次回は人物紹介です。

 お風呂でイチャイチャ? はて、なんのことやら……。

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