結局の日々。
さて、砂糖生産会話回、はーじまーるよー!
どうやら俺も怪獣……つか、少なくとも人間ではないようだ。
うーん、うすうすそんな気はしてたんだけどな。
……いやはや、世の中わからないもんだ。
「……セリザワ」
ジュラが話しかけてきた。
「ん? どうした?」
「…………クインは脱がせるのに、わたしは脱がさない」
「へ?」
いきなりどうした!?
「わたしより……クインの方が、好き……?」
「はい?」
さらに意味わからん!
「…………わたしは、セリザワにとって大事じゃない?」
「いやいやいやいやいや! んなわけあるかよ! 大事に決まってるだろ」
「じゃあっ……」
涙目になっている。本当にどうしたんだ?
「なんでクインが出てきたんだか知らないけどさ、俺、お前の側にずっといるっつったろ? そんなこと言ってやった相手が、大事じゃないわけあるかよ」
ぽん、と頭に手をおいてやる。
「……ん」
「だからほら、泣きそうな顔すんなよ。……今日はうち帰って、ゆっくりしようぜ」
「ん……、セリザワ」
「なんだ?」
「ごめんなさい……疑って。……それと、ありがとう」
目を伏せ、ジュラは呟いた。
ふむ。なんか申し訳なさそうだ。
ま、そういうんなら、
「ほら」
きゅっ、と手を握る。
「っ!」
「申し訳なさそうにしないの。別に悪いことしたワケでもあるまいし」
ジュラが泣きそうになっていたのは、多分、不安だったんだろう。
俺がクインに盗られないか。
俺がジュラから離れていかないか。
……ったく、自分を、家族みたいに慕ってくれてる女の子を、見捨てて別の女の子の所に行くとか、ただの最低野郎だろ。それ。
勿論そんなことはしない。
ジュラ放っておくなんて、考えたことすらなかった。
しばらく歩くと、家につく。
「ただいま」
「……ただいま」
そう言えば、この家に帰ってきたの、今日が初めてだ。
ああ、ここ二日間、全然言ってない。
普通に高校生やってたときは、親なんて二人ともいなかったから、家に帰って、誰もいないけどこの挨拶は続けていた。
でも、これからは違う。
一緒にただいまって言ってくれる女の子がいる。
家に居ても、俺は一人じゃない。
嬉しいもんだな。
「……セリザワ」
「うん?」
家に入り、靴を脱いでると、ジュラが話しかけてきた。
「……セリザワは、わたしにとって……大事」
「ああ」
家族が大事じゃない人なんて、居るわけない。
少なくとも、俺は家族は大事だ。
とても短い時間の中でしか、一緒に過ごしていないとしても。
「だから、セリザワも、一人じゃない。…………わたしがいる」
「……そうだな。ありがとう、ジュラ」
「……ん、セリザワ。ちょっと」
「ん?」
くんくんと、ジュラが俺の臭いを嗅ぐ。
「…………さっきの戦いで、服に臭いついてる」
「うそ、マジで?」
「……セリザワ。洗ってあげる?」
「……………………っ、ああ、頼む」
……その事を覚悟するのに、まるまる一分くらい時間を要したのは、言うまでもない。
芹沢が家族に拘るのは、こういうわけだったんです。
あ、次回は人物紹介です。
お風呂でイチャイチャ? はて、なんのことやら……。




