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たった三日、されど三日。

当てにならないと思いつつも相手を量る時の目安にする第一印象。その塗り替えや肉づけが進むのには十分な時間だ。

赤薔薇を彷彿とさせる柔らかそうで、それでいて艶やかな赤髪。ぽかぽかとしたお日様を思い起こさせる橙の暖かな色の目。

第一印象で思い浮かべたものが、いまは思い浮かべられない。



意図せずぶつかりしがみつくことになったディルの足から窺い見た彼の悪魔の視線が向かう先、そこにあるのは朗らかな笑顔でも、寝惚けて緩い笑顔でも、困っている笑顔でもない。

普段の表情を一体何処に落としたのかと問いたくなるほどに無表情。表情筋が一切活動していないように見えるなかで唯一目だけが烈火の如く感情を揺らがせる。

だが、そこにあるのはお日様なんて柔らかなものではなく、見据えるものを威圧し焼き尽くさんばかりの激しい怒り。


周囲に余波を感じさせない痛烈な感情は、向けた視線の先、その一点だけに注がれているらしい。

その様子はまるで遠方から精確に狙いを定め、確実に標的を狙い撃つ射手のようだ。

ただ、ピンポイントで狙いを定められている相手は間違いなく生きた心地はしないだろう。

なにせいまのイルファは私が抱いたやさしい笑顔のお兄さんのイメージを木端微塵に打ち砕きそうな凄まじい目をしていらっしゃるのだから。

何が原因かは知らぬが大層ご立腹というかブチ切れ寸前というか…ねえこれ殺気すら滲んでいらっしゃいませんか?

正直まだそんなに知りはしませんが、殺気というのは恐らく大多数は無意識に周囲を威圧してしまう所謂垂れ流し状態になるのではないかと思われます。先程のディルの殺気も周囲に広がっていたタイプで、それ故にボクは自分に向けられたわけでもない殺気の余波でガクブルしていたのだ。


でもイルファのは違う。お前以外に興味はないと言わんばかりに一点集中されているのだ。

つまり、あの圧死せんばかりの圧力が一人にだけ掛かるわけ。

想像するに怖すぎる。そんなの視線だけで殺されそうだ。可哀想過ぎるぞ誰か。

でも、その憐れなたった一人が誰なのか、わかる。

だってイルファの視線はずっとこっち、私がいる方向を向いている。


視線外の相手にそのピンポイント殺気を向けることができるかどうかはさて置き、少なくとも今回はしていないと思う。イルファへと視線を向けると視界に入るカラリナも笑顔を消した引きつった表情で視線をこちらへと向けているから。

カラリナがこっちを見るのは自分がその対象者ではないと示していると同時に可哀想な誰かを確認しているのだと思われる。

二人の視線の向かう先は共に同じ位置、でもその相手はボクではない。

因みにマリエルは休憩室から出ようとは思っていたみたいだが、ボクが亀さん行進していたために距離を空けてくれていたので、現在いるとすればドア付近だ。微妙に視線の位置から外れている。

うん、もうわかりますよね。

ディルです。


イルファの正直御遠慮願いたい視線を独り占めしてしまっているが故に急に歩みを止め、ボクがぶつかりしがみついてから少々経ちましたが未だ微動だにする気配もないのは動くな危険だからなのでしょう。

足元なので例え首を動かして頭上を仰ぎ見てもディルの表情は窺えないだろうが、流石に引きつっているだろう。たぶんこの事態はディルの予想外だと思うから。

そうでなければ動くな危険視線を頂いてもこの御人なら動きそうだもの。

それがどうしたと言わんばかりに。


誰一人として音を立てないしんと重く静まり返った沈黙の中、こくりと誰かが息を呑んだ小さな音がどうしてか耳に届き、凍り付いたかのように固まった時間を動かした。

する、と小さな衣擦れの音を立ててイルファがソファから立ち上がった。

その何でもない動作にしがみついたままのディルの足がびくりと震え、浮いていた踵が床に付けられたかと思うと逆の足が後ろへと下げられた。

もしも、逃走するつもりで足を下げたのであるならば、私は離れた方がよろしいのではないだろうか。

泣いてはいないし大した重みもないだろうが、この子泣き爺的役割を果たしそうな位置は邪魔でしかないはず。


「ちょ、っと待て、おい、何をそんなに殺気立って…」


淡々とした音を刻むディルの声が上擦っているのは間違いなく焦ってだろう。

基本無表情がどんな表情を浮かべているのか非常に気になるし我が身の置き場をどうすべきかも悩むところなのだが、いまイルファから目を離すことは得策ではないと本能が訴えている。

立ち上がったイルファは無表情のまま何処か気怠そうに腕を持ち上げて、首の裏を一撫でした。

その動作には意味があるものなのか、それともないのか。

ふぅと細く息が吐き出されるのが不思議なくらいはっきりと聞こえた。


「ディル」


ぞわりと全身が粟立ったのは抑揚の一切ない声の所為なのか、それとも…。


「離れろ」


「っ!?」


一瞬で、間合いを詰めたイルファの行動になのか。

全く見えなかった。じっと視線を外さずに見ているつもりだったのに、気が付けばイルファはディルの目の前に立っている。ちょっと待ってくれ本当にか…。

ソファからここまでは少なくとも十メートル以上は離れている。それが一瞬、本当に瞬きの間で詰めたのか。

どんな身体能力だよ…。基礎能力値が異なる人間と比べるのは間違っているとわかっていても勝手に比べて驚愕しますからね。


追い付けない状況展開に脳内だけがややずれた方向へ走り出しているところに追撃が投下されて、思考回路が高速回転するハムスターの回し車状態。足が追い付かなくなって回していたはずのハムスター自身が気付けばぐるんぐるんと回転してることがあるんですよ面白いよね、あはははは。

うん、混乱してる。だって目の前に展開されてる光景が恐いんだもの。

トン、と軽い仕草でディルの胸、丁度心臓の位置に人差し指で触れたイルファが。

それが何かと思ったあなた、想像してみよう。


ナイフを持った人がいます。離れた場所からこちらを見ています。気付けばその人が目の前にいます。

急所である私の心臓へ向けてナイフを振り下ろしています。

さあその結末は?

一瞬で間合いを詰めた相手を上回るとんでも身体能力が私にない限り、続く未来は高い確率で心臓串刺しによる死亡だ。


どうしてそんな物騒な想像になったのかって?

イルファはどうしてか怒っているんだよ。殺気すら滲むほどに凄まじく。殺気ってのは殺す気と書く。

そんなものを向けてくる相手が心臓に触れてくるなんてさ、


殺せたのに殺さなかった


って言われているのに等しいじゃないか。

足にしがみついたままなので僅かでも筋肉が動けば触れている私にはすぐにわかるのに、ディルは身動ぎすらしなかった。言い換えれば、身動ぎすることもできなかったということだ。

もしも…イルファが本当に殺す気であったなら、ディルはいま生きていない。

そんなことありえないと断言できるほど彼らのことを知らない私には、この光景は堪らなく恐ろしいものに思えた。


『騒音兵器』


「?!」


震えることもできずに硬直した私の頭に突如として響いた特殊すぎる呼び名。

予期せぬどころかまだまだ馴染みのないその感覚に硬直していた体はびくりと思いっきり跳ねた。

同時に心臓の鼓動も跳ねたので現在私の心臓は、鼠の心臓並みの高速ビートを刻んでいる。


『聞こえているだろう』


頭に直接響く言葉はディルからの心声だ。卵にいた時に聞こえていた大樹の声の聞こえ方に似ていなくもない。そうか、これが正しい心声なのか。

そんな現実逃避を脳の何処かが行いながらもちゃんと現実も処理しようとしている脳が頑張っているのだが、如何せん硬直は解けても竦んだ体は簡単に動くことができないと訴えている。

その為私が起こせた行動はしがみついたままの足、掴まっている服を強く握り締めることだった。

そんなささやか過ぎる動作でも衣服を引かれる感触が伝わったことで返事をしたと捉えてくれたのかディルが言葉を続けた。


『俺から離れろ。可能ならイルファの方へ行け』


…………………は?

すみません、受信し損ねたのでしょうか私。とんでもない言葉が聞こえた気がするんです。

気の所為ですよね、気の所為だと言ってください。

離れろはまだいい。我がお耳様が聞き逃していないのならばイルファも何となのかわからなかったけれど離れろって言ってたもん。ねえでもその次が問題しかないですよ。


このすんげぇお恐い状態のイルファに向かって逝けって言いまして?

それは一体全体何の死亡フラグでございますかディルさんや。

生贄ってか?尊い犠牲になれってことですかいっ!?嫌でやんすよお師匠さんっ!恐らく数時間前まであんなに厳しくあっしに歩けとご指導くださっていたじゃあねえですかっ一時とはいえ弟子入りしやしたあっしを、お見捨てになるんですかいっ?!


『さっさとしろ最低でも俺から離れろ最高ならイルファの機嫌を取りなせっ』


おかしなキャラ設定が出てくる言語崩壊状態に更なる無理難題を爆撃なさるか殺生過ぎるよ涙が出ちゃう。

だって死にたくないんだもん!

いいいいいいいいいいい嫌だ嫌だ嫌だ無理無理理無理無理無理無理ですっ死んじゃうっ死んじゃうから!!

むしろどうしてそんな発想出て来たっ?!最低と最高のその落差は一体何なんですか!?

無茶ぶりにも程がありますよ隊長ぉおっ!!


『離れろ!』


さぁーいえっさあぁーっ!!

心声を使えない私の心の叫びなど聞こえるわけがないのに絶妙なタイミングで続いた厳しい心声に、脳内で必死に助命を請うていた己の言をあっさり放棄した。待ち受ける恐怖よりいまこの瞬間からの逃避ですね。

考えないことがいまの私にできる最大の防御だと信じてます。


死んでも離さないんだから、の心境で握り締めていた掌を開けば、体全体で足にしがみついていたわけではない私の体はすぐにふらふらと重心を保てなくなり揺れた。

離れろと言われた命令とも取れる厳しいお言葉故に一度手離した服に縋ることは許されず、竦みっ放しの体は倒れないように体勢を整えることを良しとしない。

これは詰んだ。倒れて後頭部強打の一択ならばそのまま気絶させてはくれまいか。

続く未来を予想したくない。いっそ目をつぶろうか、見えないって素敵だね。

なす術なく後ろへと倒れていく短い時間にまで逃げを打つ思考を走らせている自分にちょっとだけ感心する。

どれだけ必死なんだこのチキン。

だがしかし、ゴンッと鈍い音する未来は訪れなかった。


「リトッ!!」


悲鳴にも聞こえたその声に、私を呼んだ声の持ち主に、ぱちりと瞬いた私の視界は一瞬前とは別物でした。

え、何事?

視界が狭い。温かい。ちょっと圧迫感。あと…あ~どこか懐かしい乳の匂い?

ゆっくりと現状把握に努めようとしているところに肺の中の空気全てを吐き出したんですかと問いたくなる量の息が随分と近くで吐き出されて思考が一時停止する。

いや、本当に何事?


「抵抗とか悪足掻きでもいいからする素振りくらいしてくれよ……無抵抗で倒れるとか心臓に悪い」


心の底から思っているらしいことが窺い知れる微かに震える呼気が耳を掠め、バクバクと激しく打ち鳴らされている己のものではない鼓動が伝わる。


「はぁああぁ~~、焦った…」


副音声でよかったと聞こえる声と同時にぎゅうっと体にかかる圧力。頭の位置がその圧力で少しずれて視界が開け、見えたのは青銀色の二等辺三角形のプレートが下がるピアスをつけた耳と、真っ赤な髪の毛。

ほんの少し視線を左へとずらせば、ぐったりした表情を浮かべる端正な横顔が映る。

ふむ、げっそりでもいいかもしれないね。


「怪我とかしてないよな?倒れる前にちゃんと掴まえられたはずだけれど…」


ぺたぺたぺたと後頭部から背中、腰、足と大きな掌が触れていくのがちょっとだけくすぐったい。

そう思っていたら両脇の下に手を入れられてひょいっと持ち上げられ、かと思えば床に足が付けられる。

しかしこれは自分で立っているのではなくて立たされている状態だ。足に力は全く入ってませんもの。

掴まり立ちが可能になったいま持ち上げられている状態なのは微妙だと思いはするが、感情の整理よりも視界がより広がったことで可能になった状況把握を優先している自分もちょっと微妙だ。


「見た目でわかる怪我はない、か。何処か痛いところとかないか、リト?」


だがしかし、見事な片仮名ハの字眉で心配だと顔全体で表し、橙の眼差しを不安に揺らしている目の前の天使の変わり様が一番微妙だ。

ねえ、あなたさっきまでのマネキン並みの無表情で射殺すと訴えていらっしゃった凶悪極まりない視線を何処に放り捨てましたの保護者殿。


「…リト?大丈夫か?俺の声聞こえてる、よな?」


どういう動き方をしたのかはわからないけれど、倒れていこうとしたボクを抱き込んで助けてくれたらしいイルファは、現在床に片膝をつけて自力で踏み込むことが不可能な接触しかできていない立たせ方をしているボクの様子を窺おうと顔を覗きこんでくる。

一瞬前までの雰囲気も表情も夢幻かと思うほどに影も形もないこの三日で見慣れた印象のイルファがそこにいて、ボクは手を伸ばした。


「ぇ、ん?リト、な、なに?」


ぺた、とイルファの頬に小さな両手で触れる。しっとりつるんな滑らかなお肌の感触にちょっとだけもやっとしながら、困惑してぱちぱちと瞬いているイルファを完全に無視してぺたぺたと顔中に触れていく。

頬から始まり口角、頬骨、高い鼻にいつもにこやかにしているから緩く弧を描いた印象を持っているけれど実は切れ長な目元、整った眉と次々に触れていき、顔の輪郭をなぞってまた頬に手を触れて一時停止。


「………えっと、もういいのか?」


何が何やらわからないと見事に表されている表情を見ながら世の女性が目を吊り上げて羨む滑らかお肌をぷみ、と摘んだ。

私が何をしているのか、何をしたいのかが全くわからないイルファが困惑にどうしようと眉を下げているのを見ながら、ようやく納得する。

仮面が付いてるわけでも特殊メイクでもない素肌で本物のお顔ですね、と。

ボクの幼児特有のもち肌みたく伸びる様子はなさそうな、けれど触り心地のよろしい頬は、全力で抓れば多少は痛みを与えられるのだろうか、なんて考えるが実行はしなかった。


「リト?」


どうした?って窺ってくれる表情も、目も、耳にやわらかく響く声も私の知っているものだったから、

ほっとした。


「……、っ」

「えっ?!」


したら急に涙腺が決壊した。ぼろぼろとかじゃなくてだばーーって感じに。

そう、それは正しく壊れた水道の蛇口。


「え、ええぇっ!?ちょ、ちょっと、ちょっと待った!嘘っうわあぁっ!!待って待って頼むから待ってっ!!」


急に泣き出されてイルファも焦ったのかぎょっとなって、でもすぐにボクを抱き上げてあやすように抱き寄せてくれる。何を待って欲しいのかわかりませんが、泣くのをというのならば無理ですな。

だってもう出ちゃってますので。涙は急には止まらないんですよ、あっはっはー。


「わわわっ、灯せし(かがり)よ我が呼び声は焔の息吹っ集い寄りて壁を成せ!」


うん?


「紬の糸よ緋色を纏いて衣を成し、我が意を酌みて静寂を(もたら)せっ」


んん?ぽーんと音叉を叩くように響いた(ゲー)の音と法の詠唱らしき言葉が聞こえた気がするのだが、何かあったのだろうか。

ああ、でもちょっと今忙しいですので理解と状況把握は後にしたい。


ねえだってもう本気でほっとしましたもの。恐い怖いちょーこわいですよとか誰これ何それどうしてそーなったとかぐるぐるわかるわけのない事柄が無限ループしていらっしゃったんですよ。

聞くことができないし、例え聞くことができたとしてもわかるわけないだろう的なお答えしか返ってこない事象だと思って余計にぐるぐるして最終的に訳が分からなくなってあはははははと思考放棄に至ったのだけれど、思考を放棄すると今度は考えることをしなくなった分だけ意識しなくても体感摂取されて入ってくる雰囲気を始めとした周囲の情報に脳内が埋め尽くされて、パンクする前に情報処理しようと自動的に再起動した思考が疑問に答え始めてどうしたものか状態に。


空気が?重いです。何で?怒ってるからだね。誰が?イルファですね。どうして?知るわけないじゃん。

どうにか?ならないですよ。どうして?だから知らないですって。何とか?して欲しいです。

正直?逃げたいです。でも?無理ですね。どんまい!ありがとう。

仮にこの思考が誰かに読まれていたならばすんげー真顔で大丈夫かを問われそうだね。

これ以上ないほど輝いた笑顔の即答でそう見えるかと問い直すだろうが。


これが正真正銘のおちびさんだったならいまの状態もさもありなんなので簡単にそれっぽく説明できるのだろうけれど、中身が複雑怪奇なボクですからね。

因みに多少は見慣れた聞き慣れた相手の豹変ぶりに頭がついて行かずに混乱、驚愕、思考停止して現実逃避をなしていたけれど、ふとスイッチが切れたみたいに見慣れて聞き慣れた様子に戻ったからその差にびっくらこいた。見知った相手の様子とあまりの差に混乱驚愕の中に埋もれてしまっていた恐怖が顔を覗かせて思い出し号泣、といった感じでしょうかね。


もしもいまの私にこれが適用されているのだとすれば、泣き止むのには少々お時間頂きますよ。

何せちょーこわいですを混乱驚愕時に泣くに泣けんと保留蓄積してしまったので、それを全て涙として吐き出し切らない限り平常の能天気が作動しないですからね。あー大変だ大変だ。息と体力とか大丈夫かねぇ。

おちびさん体力が少ないし活動持続時間も長くはないですから泣き止むというより寝落ちに繋がりそうだよね。でもRPGみたく寝て起きたら全快です!らしきものをついさっき体感したばかりだから何とかなるのかな?

なるといいんだけどな~。


一日の活動時間が短い気がするんですよ。そこもおちびさん仕様なのだから仕方がないとは言ってもちょっとは不満なんですよね。

前世で節操ないほど多趣味だった故に積み上げて保留にしていたアレやソレ、休日だけでもいいから一日の時間を二倍にしてくれ時間が足りないと勝手なことを考えたりもしました。

現在は調べたい知りたいことが山のようにあるのだからまず調べるための必須ツールを学ぶための時間を捻出したいところなのに言うこと聞かないおちびボディ。

長く生きても百余年な人間と比べれば長大な寿命をお持ちの天魔ですから焦らずいけよと言われるのでしょうけれど、色々と問題しかないボクが長く生きられるか否かはこの身の振り方にかかってくるので必死になる必要があるんですよと言っても現実が頷いてはくれないのならばどうしようもない。

精々無理限界と悲鳴を上げて倒れない程度の無理無茶無謀をなそうではないか。

ま、取りあえずは…。


「リト、大丈夫。俺がいる、傍にいるから。ここに恐いものはないよ」


何で泣いているのかもわからないだろうに大きな手でやさしく背を撫で、安心をくれようとしているイルファの為にも泣き止むところから開始するとしよう。


ただ、一つだけ言わせてくれイルファ。

恐かったのはキミだ。

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