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デスゲームから異世界へ  作者: ていてい
序章 デスゲームの最後
7/10

序章 エピローグ

魔王は口を大きく開き、白い閃光を放つ。プレイヤー達はそれを避けながら、注意を引いていた。


カズヤは一人、プレイヤー達とは逆側に立ち、魔王の視界からきえていた。




「ソレイユさん提案がある。もしかしたら魔王を倒せるかもしれない」


ソレイユはその言葉に驚く。


「本当か?」

「あぁ。魔王の懐に入りさえすればいける筈だ」

「......出来るのか?」


ソレイユはカズヤの目を見る。嘘を吐いている様には見えない。まぁ、この状況で嘘を吐く意味などないのだが。


「最上級スキルを使う」

「!?......成る程。確かにそれならば魔王の残りの体力も削り切れるかもしれないなだが......」


無茶だ。最上級スキルというのはその分野に於けるスキルのレベルをMAXにてようやく取得可能となる超レアスキルだ。取得条件が難しいスキルを持っている事に驚きを隠せないが、やはり無理だろう。最上級スキルがどれ程の威力を持っているかはソレイユは知らないが、扱いが難しいのは分かる。


スキルには初級、中級、上級、最上級とあり、上位プレイヤーなら上級スキルを一、二個は持っている。ソレイユも上級スキルを持っているが、扱いが非常に難しかった。スキルは等級が上がれば勿論威力が高くなるのだが、手数も多くなる。上級スキルにもなるとソレイユが持っている比較的手数が少ない大剣のスキルでも十連撃にもなる。他の武器のスキルだと、多いのは二十連撃を越すものもあるようだ。


これが欠点なのだが、手数が多いとその分接敵している時間は長くなる。そうすると、敵の攻撃によりスキルがキャンセルさせられる可能性が高くなるのだ。スキルの硬直時間は強力なスキル程長くなる。敵の前で長い時間硬直化するのは殺してくれと言っている様なものだ。だからこそプレイヤーは戦う時、手数が少ないスキルを使い、チェンジを上手く使い敵を倒すことにしている。その方が確実で安全だからだ。


「連撃数は?」

「五十」

「無茶だ!」


ソレイユは声を上げる。五十などスキルが終わる前に殺されてしまう。魔王の攻撃を受けた者は全て一撃で死んでいるのだから。仮に死ななかったとしても、スキルのキャンセルは防げない。


カズヤにもそれは分かっていた。しかし、この状況をl打破しない限りは結局はいつか全滅してしまう。


「やれるさ。アイツの懐に飛び込めれば出来る。信じられないかもしれないが、頼

む、信じくれ」


ソレイユは迷った。この戦闘で分かった事だが、このカズヤという少年のプレイヤースキルは非常に高い。彼が失敗し死ねば、一気に崩れる可能性もあった。だが、もうそれしか方法がないのも事実だ。


「分かった。君を信じよう」

「ありがとう、ソレイユさん」

「もうそれしかないのは事実だ。私達が全力で注意を引き、フォローしよう。だからそのうちに奴の懐に入り込め」




カズヤは双刀を構える。魔王の視界には入っておらず、ソレイユ達のお陰で魔王はカズヤの事に気付いてないようだ。魔王が口を開ける。


「今だ!」


カズヤは走り出す。ソレイユ達は斜線上から外れ閃光を避ける。しかし、魔王は近付いてくるカズヤに気付き、カズヤの方を向き口を開けた。


「マズイ!」


ソレイユが叫ぶ。思っていたより魔王が気が付くにが早かった。このままでは魔王の懐に間に合わない。


「そうはさせねぇ!」


それを見たレインは持っていたハンマーを魔王に向かって投げた。思いっきり投げられたハンマーは回転しながら口を開ける魔王の頭に当たり、衝撃で口が閉じられ魔王の攻撃は中断させられる。


「ナイスだレイン!」


カズヤは一気に魔王との距離を詰める。魔王はそうはさせないと、再び口を開けるがーーーー、


「遅いぜ」


カズヤは魔王の懐に入り込み、《最上級スキル|ギャラクシーバースト》を発動させる。双刀は青く輝き、カズヤは刀を振るった。


「はやい......」


ソレイユはカズヤのスキルを見て思わず声を出す。カズヤの双刀は一瞬で五度振られ、その間魔王は何も出来ずにいた。魔王HPは物凄いスピードでガリガリと削られていく。


カズヤが六度目の刀を振るう時、ようやく魔王が動き出す。魔王は拳を大きく振り上げて、カズヤに目掛けて振り下ろした。カズヤはそれをスキルがキャンセルされない程度の最小限の動きでその拳を避ける。拳がカズヤの頬をチリッと音と共に掠れ、僅かにカズヤのHPが後退した。カズヤは冷や汗をかきながらも、刀を振るうのを止めない。止めたら最後、魔王に殺られて死ぬのは分かっている。だからこそこの刃を最後の一撃まで魔王に当てきらなければならない。


魔王が拳を引き戻す迄に更に攻撃を与え、HPを削っていく。残りはあと一割程になり、カズヤのスキルも残すとこ十回となった。魔王は再び拳を振り下ろす。しかし、それはカズヤが避けきれない絶妙なタイミングで繰り出された。


「くっ!」


カズヤは刀をタイミグ良く合わせ、拳が刀身の上を滑る様にして何とかいなす。しかし、カズヤのHPはゴッソリ削れ、一割を切る。

速く、もっと速く!、カズヤはアシストシステムの加速を限界以上引き出そうとする。その瞬間、カズヤの頭の中を電流が走りスパークした感覚がした。カズヤの刀は更に加速し、アシストシステムの加速を越えた。


「うおぉぉぉぉぉ!!」


声を上げ、最後の一振りを振り下ろす。しかしここで魔王も最後の足掻きを見せた。魔王は強烈な攻撃を受け赤いダメージエフェクトが全身に入っている。HPはもう残り僅かになり、最後の一撃で倒せる範囲だ。


「ガアァッ!」


魔王は体勢を崩しながらも、拳を横に振るう。カズヤの刀と魔王の拳は同時に両者に当たり、カズヤも魔王も動きを止めた。静かな沈黙が起きる。誰もが息を呑み勝敗を見守った。やがて、魔王の身体が突然ブレる。そして、ガラスが割れる様な音を響かせながら、光の粒となって空気中を舞った。


「「「「うおぉぉぉ!!」」」」


それを合図にプレイヤー達は歓喜の声を上げる。直後空中に《Clear》の文字が浮き上がる。


「ハァ、ハァ、ハァ、」


カズヤはそれを見て、地面に転がる様に倒れた。


ついに四年の月日を経て、ディヤヴォルオンラインはクリアした。これでカナデを元の現実世界に還す事が出来る。


(けど、一緒に帰るっていう約束は守れそうにないな......ごめんな、カナデ)


カズヤは全損した自分のHPと視界には移る《You dead》の文字を見てそっと目を閉じた。




次回からようやく異世界です。

ストーリーが進んだ為、あらすじを変更しました。


あと、作者にはネーミングセンスが皆無な為、今回のカズヤの最上級スキルの名前を募集します(笑)

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