第六話
体勢を建て直したプレイヤー達は一心に武器を魔王へと振るった。
メンバーは半分以上が死に、中には親しい仲間もいただろう。しかし、彼らはもう止まらない。ここにいる上位プレイヤーは少なからず仲間の死をこの四年間で見てきた。今は嘆いている場合ではない。ただ、残された者達、死んでいってしまった者達の為にも何としても魔王を倒し、クリアしなければならない。
プレイヤー達は連携を駆使しながら魔王にダメージを与える。戦っていく内に行動パターンも見え始め、魔王の攻撃に当たらずに済む様になってきていた。
カズヤは二振りの刀《双刀》を振る。魔王に赤色のダメージエフェクトが走り、魔王は絶叫する。カズヤは切り返し、《スキル|オーバードライブ》を発動させる。青い光が刀身を包み、その瞬間カズヤの身体が加速する。凄まじいスピードで一直線に向かってくるカズヤに体勢を崩したままの魔王は対処出来ず、大きくダメージをくらう。
「チェンジ!」
カズヤがそう叫ぶと、カズヤの後ろからレインが飛び出し手に持つ巨大ハンマーを振りかぶる。
「オォッラァッ!」
勢い良く振られたハンマーは五メートル程の巨体である魔王を押し、たたらを踏ませる。その隙にカナデや他のプレイヤー達は一斉に攻撃する。ソレイユは大剣を振りおろし、魔王の横腹を凪ぎ払った。
「グルゥアァ!!」
魔王は太い腕を振るうが、既に全員がその場から離れている。
「エクスプロージョン!!」
ソレイユが叫び、《スキル|エクスプロージョン》を発動させる。すると、魔王の身体が青く光り、爆発する。魔王のHPは大きく削れ、絶叫上げた。
このエクスプロージョンは発動者が対象を一定回数攻撃する事で大爆発を起こさせる強力なスキルであり、ソレイユが《爆炎剣》と呼ばれる由縁でもあった。連発する事は出来ないが、非常に大きな威力を持っている。それは相手が例え魔王で有ろうとも、かなりのダメージを与えていた。
「エクスプロージョン!!」
しばらく攻撃して再び発動させる。魔王のHPはまた大きく削れて、半分をきった。その時、魔王は口を大きく開けこちらを向く。
「っ!?散開しろ!」
ソレイユがそれに気付き、声を上げる。
カズヤ達は横に飛び、魔王の正面から消える。その瞬間、あの悪魔の白い閃光が魔王の口から放たれた。しかし、ソレイユの指示により斜線上には既に誰も居らず、地面を焼いた。
戦闘開始直後に浴びた白い閃光の攻撃。この厄介な攻撃を受ける訳にはいかない。
ソレイユは最大限の警戒を行いーーーー、
魔王は直ぐにカズヤ達の方を向き口を開ける。
「な!?避けろ!」
あれが連発なんて出来るのか、カズヤは苦しい表情で斜線上から逃げる。カナデ、レインも続いて逃げるが、魔王は口から撃ち終わった後、また口を開ける。プレイヤー達はそのたび斜線上から逃げるが、これでは一向に魔王に近づく事が出来ない。ただ、逃げることにプレイヤー達に焦りが生まれる。
「チッ、糞が!」
「おい!やめろ!」
焦ったプレイヤーが一人魔王に突っ込む。しかし、直ぐに魔王の閃光が襲い、光の粒となった。
「馬鹿野郎っ......」
このまま逃げるだけではいつか全滅だ。
どうする事も出来ない状態にソレイユは歯を噛み締めた。どうにか打破出来ないものかと考えるソレイユにカズヤが声をかける。
「ソレイユさん提案がある。うまくいけば魔王を倒せるかもしれない」
次回で序章は終了です
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