死へのいざない
序章
「では、あなたが唯一の生き残りなのですか。」
「はい、でも、あと…」
それ以降その会話は途絶えた。電話の向こう側で起こっていることなど知らなかった。
彼が連絡を絶って三日経った今日彼からメールが届いた。内容は前に彼から聞いたものと全く同じものだった。そして自分も選択をしなければならない。生か死か。どちらを選んだとしてもこのゲームは終わらない。そして終わらせる方法などありもしないのだ。
第一章〈死に神の声〉
何でもないちっぽけな俺の人生。何か特別にしたいこともなく目的もない。ただ波風を立てないように過ごしてきた。そんな俺は集団の中で一際目立たないようにしてきた。そのため友達もあまり居ない。しかし、人の言葉には敏感でいつも聞き耳を立てていた。
貞子、学校の怪談、着信アリ、その全てに恐怖を感じるがあまり現実に起きていると、思い聞いたことがない。その代表例が「チェーンメール」だ。今時そんなものを信じている人などはいないだろう。
今日もクラスの中ではチェンメの話で盛り上がっている。森下だ。彼はクラスでも、人気者だった。その森下に他校の彼女からチェンメがきたんだ。注目しないわけがない。
「はーいちゅーもーく。これ物本らしいんだよ。だから今からこのクソ豚太郎で実験しまーす。」
明らかな虐めだ。ただ皆、次の標的になるのが嫌で注意できないでいた。いつの時代も光があれば闇があるとはよく言ったものだ。
「ちょ、ちょっとやめてくれよ。」
「俺に逆らってんのかよ。何で豚が人間様にタメ語使ってんの。てゆーか、それ俺に死ねって言ってんだよね。ということで三日後にこいつ死ぬからみんなで送別会しよーぜっ」
彼に有無を言わせず勝手にメールを送った。森下のこの軽はずみな行動こそが彼を殺すことになるとは誰も知らないのであった…。
ついに三日の日が経った。学校では、そんな話しのはの字も出てこない。
「そーいや、今日クソ豚きてねーな。」
ある男子が気付いた。しかし冷たくあしらわれた。
「おい、来たぞ!!!」
「クソ豚!誰にも回してねーだろーな?」
「う、うん、」
そして事件は起きるのであった。