表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/47

迷宮潜索入門

 冒険者アドベンチャラーは、その活躍する場で名称を変える。例えは戦場冒険者は傭兵マーセナリーと呼ばれ、魔境冒険者は咒猟士ハンター、そして迷宮冒険者を潜索者ダイバーと呼ぶ。場が違えば、戦う相手も当然変わり、それに合わせてやり方も違ってくる。


 ここでは迷宮潜索ダンジョンダイビングを行う上での必要な知識について見ていくことにしよう。


迷宮潜索ダンジョンダイビングとは


 迷宮潜索ダンジョンダイビングとは文字通り、地下迷宮ダンジョンに潜り、探索活動を行うことである。迷宮とは魔導災害警戒区域及び魔導災害特別警戒区域を指し、魔導災害非常事態宣言特別法いわゆる07に基づいて、国家により指定・公示された区域や地域のことである。


 迷宮自体が地下霊気エネルギーいわゆる地脈レイラインを利用し、魔界アウタープレーンと直結する巨大積層型立体魔封陣とする召喚陣説や迷宮が生きていて、自己防衛本能に基づく免疫機能が魔物とする生命体説など諸説あるが、迷宮ダンジョンの正体は明らかになっていない。


 いずれにせよ、迷宮ダンジョンは元々魔導災害指定された危険区域であり、原則、結界などにより封印処理され、迷宮警備隊により立ち入りは制限されている。


 大冒険時代初期には、国王の認可の下、冒険商人アドベンチャーズマーチャントを出資・後援者として公募冒険隊が立ち入り調査を名目に送り込まれた。公募クエストとは、主に商業目的に、冒険者アドベンチャラーを募り、迷宮ダンジョンへ挑む形式を指す。政府への潜索料、装備や運搬資材など物資の調達はたまた迷宮案内人(ダンジョンガイドの雇用など潜索にかかる必要経費の負担軽減のため、公募主クライアント)が出資者として肩代わりし、代わりに戦利品の独占販売権を得ることができる。


 数々の公募冒険隊が迷宮ダンジョンに挑戦し、その多くは二度と帰って来ることはなかったが、一部の者が迷宮踏破を成し遂げた。彼らは迷宮の深淵に手を届かせた者として到達者リーチャーと呼ばれた。


 到達者リーチャーの成功以降、迷宮ダンジョンが魔鉱石などの鉱物資源、魔獣の部位や薬草などの生物資源、魔宝アーティファクトなど魔法技術の遺物アーティファクトいわゆる魔宝アーティファクトの宝庫と気づいた列強諸国はこぞって迷宮攻略に乗り出した。以来、冒険者アドベンチャラーの育成をはじめ国を挙げて迷宮攻略が推奨され、本来立ち入り禁止の迷宮ダンジョンは、免許ライセンスを持つ潜索者ダイバーに解放され、現在に至る。

 

冒険者組合アドベンチャラーズ・ギルド


 迷宮ダンジョン免許証札ライセンスカードがないと潜れない。この免許ライセンスいわゆるステータスカードを発行しているのが、冒険者組合アドベンチャラーズギルドである。


 冒険者組合アドベンチャラーズギルドの起源は冒険商人組合アドベンチャーズマーチャントギルドにある。大冒険時代、一部の新興冒険商人ニューアドベンチャーズマーチャント)達は、公募冒険隊に出資することで、様々な戦利品例えば魔物アウター・クリーチャーの毛皮や新種の薬草、魔鉱石などの原料を確保・独占した。


 彼らは既存の外国資本商人に対抗して、冒険商人組合アドベンチャーズマーチャントギルドを立ち上げ、重商主義政策を掲げる王権との結びつきを強めた。冒険事業による莫大な富を背景に、賦課金の上納や行政機関への参入を行い、やがて法衣貴族と呼ばれるようになった。富を独占する彼らに対し雇われ冒険者達は、反発を強め、職種クラス別の同職組合クラスギルドを結成した。


 職種クラスはそれぞれの技能スキルに合わせて戦闘時の役割を分担し、分業化することで、効率や生存率を高める徒党パーティ制度に由来する。盗賊組合シーフギルド)剣士組合ソードマンギルドという風に、戦闘に携わる戦闘職バトルクラス以外にも迷宮ダンジョンで確保した原料を製造販売する手工業いわゆる生産職も同職組合クラスギルドに含まれる。


 こうした同職組合クラスギルド間の対立を調停するため各職種組合クラスギルドの代表者により、議決機関<参事会>が立ち上げられ、冒険者組合長アドベンチャラーギルドマスター)が議長を務めた。


 冒険者組合アドベンチャラーズギルドは、冒険商人組合アドベンチャーズマーチャントギルドに対抗するため、冒険者アドベンチャラーズから直接迷宮産原料の買取いわゆる換金業務や買取原料の生産系の同職クラスギルドへ販売業務の他、免許証札ライセンスカードの発行や冒険者養成所の指定などの免許ライセンス業務や参事会の運営業務そして本業とも言える公募クエストに基づく仕事斡旋業務などその仕事は多岐に渡る。


□冒険免許の取得


 魔導災害非常事態宣言特別法いわゆる07に基づき、迷宮ダンジョンや魔境などは、立ち入りは制限されており、冒険免許取得者は、立ち入り調査を特別に認可された者を指す。原則、国王の認可なしに魔境や迷宮ダンジョンに入った者は逮捕される。


 免許証札別名ステータスカードを取得するには、直接、冒険者組合会館アドベンチャラーズギルドハウスに隣接する冒険者免許試験場(免許センター)に行き、適性・技能・学科の三つの試験の仮免許試験、本免許試験を受けて合格し、取得する方法いわゆる飛び込みと冒険者組合が指定する公認の指定冒険者養成所へ入所し、卒業検定に合格する方法がある。


 冒険者免許試験場で、技能や学科の試験を受ける方法は難関だが、費用は指定冒険者養成所ほど、かからない。ほとんど新規冒険者は、指定冒険者養成所と言われるが、入所費用が高いという難点がある。


 受験資格年齢は、国や冒険免許の区分や種類によって異なる。


◆第一種魔境冒険免許


 一部、魔界(アウタープレーンゲートが開き、魔界(アウタープレーンとの境界を形成する地域いわゆる魔境において魔法の矢マジック・ミサイルを駆使した狩猟いわゆる咒猟免許マジックハンティングライセンスである。禁猟区域である魔境への立ち入り認可及び魔導災害獣いわゆる魔獣の駆除等を認める許可を指す。


 冒険者アドベンチャラー)は地域によってその役割に偏りがある。例えば魔境近くの冒険者ギルドには、咒猟ハンター免許資格者が集まり、実質、咒猟士組合ハンターギルドと化している。

 主に四つの種類がある。


・小型咒猟免許

 組合等級ギルドランクが二級から五級に相当し、小型魔獣の咒猟が可能となる。


・中型咒猟免許

 組合等級ギルドランクが、六級から九級に相当し、中型魔獣の咒猟が可能となる。


・大型咒猟免許

 組合等級ギルドランクが十級、J(臣下ジャック)級、Q(女王クイーン)級、K(キング)級が必要とされ、大型魔獣の咒猟が可能となる。


・特殊咒猟免許

 組合等級ギルドランクがA(最高エース)級にのみ与えられる。特殊魔導災害獣を狩る。


◆第二種迷宮冒険免許


 迷宮潜索ダンジョンダイビング免許ライセンスを指す。基本的に第一種と同じであるが、


・上層潜索免許

 組合等級ギルドランクが二級から五級に相当し、迷宮の浅い階層への潜索が可能となる。


・中層潜索免許

 組合等級ギルドランク六級から九級に相当し、中層への潜索が可能となる。


・下層潜索免許

 組合等級ギルドランクが十級、J(臣下ジャック)級、Q(女王クイーン)級、K(キング)級が必要とされ、下層への潜索ダイビング)が可能となる。


・特殊(深層)潜索免許

 組合等級ギルドランクが、A(最高エース)級で最下層いわゆる深層に到達した到達者リーチャーに与えられる。


 という風に名称は変わる。


◆第三種戦場冒険免許


 戦場冒険者いわゆる傭兵マーセナリーの冒険免許である。他の二種と違い、その活躍の場たる戦場に立ち入るのは自由であり、技能も他の二種に比べ必要でないため、最も敷居が低い免許である。 


 大冒険時代、冒険商人アドベンチャーマーチャントと結び、王権を強めた国王は、軍隊の維持いわゆる常備軍を冒険商人アドベンチャーマーチャントお抱えの冒険傭兵旅団クランから起用した。中でも故国の魔法を巡る政争から逃れ移民したカムト神武皇国人は、その勇猛さと忠誠心で名を馳せた。


 武技保持者アーツホルダーである彼らは、武のみを頼りに生きる武頼漢サムライとして、ド派手な武装で戦場を駆ける華武鬼者レブル武刀士サムライブレーダーと呼ばれた。


・人級

 組合等級ギルドランクが二級から五級に相当。


・地級

 組合等級ギルドランクが、六級から九級に相当。


・天級

 組合等級ギルドランクが、十級、J(臣下ジャック)級、Q(女王クイーン)級、K(キング)級に相当。


・天元級

 組合等級ギルドランクが、A(最高エース)級で天級の元になるという意味。


組合等級ギルドランク

 組合等級ギルドランクは十三階級に分かれ以外の通りである。


Aエース

ーーーー

キング

クイーン

Jジャック

十級

ーーーー

九級

八級

七級

六級

ーーーー

五級

四級

三級

二級


□迷宮遭難対策


 迷宮ダンジョンは年間三万を超える帰還困難者いわゆる遭難者を出す。迷宮に潜る前の事前対策としては、潜索経験者例えば迷宮案内人ダンジョンガイドを最低一人は確保し、初心者が潜るにしても、事前調査や武装など装備品の充実、そして十分な訓練を行い、迷宮を侮らないことが重要である。


 党主パーティリーダーは率先して事前調査や党員パーティメンバーとの情報の共有化を行い、自分の組合等級ギルドランクに合った公募クエストや迷宮選びが重要となる。迷宮ダンジョンは魔導災害警戒レベルに従って七つのレベルに分けられる。


・レベル1

 精神ウイルスレベル1幽霊ファントムなど個体及び地域社会に対する低危険度。


・レベル2

 精神ウイルスレベル2亡霊ゴーストなど個体に対する中危険度、地域社会に対する軽危険度。


・レベル3

 精神ウイルスレベル3死霊ガストなど個体に対する高い危険度、地域社会に対する低い危険度。


・レベル4

 精神ウイルスレベル4邪霊レイスなど個体、地域社会とも高い危険度を指す。


・レベル5

 精神ウイルスレベルレベル5妖霊スペクターや災害指定された伝承級の呪物など人類社会に対する高い危険度。


・レベル6

 伝説級の魔装武器マジカルウェポンいわゆる魔宝アーティファクトなど人類社会全体に対する脅威。


・レベル7

 神話級即ち魔神デビル古巨神族エンシェント・ジャイアント古竜族エンシェント・ドラゴンなどを想定したものとなっている。 


 各党員パーティメンバーは地図の読み方や手信号ハンドサインなどの基本知識及び非常食や飲用霊薬ポーションの携帯など基本となる迷宮対策を行う必要がある。


 魔界アウタープレーンとの境目いわゆる魔境ボーダーから魔界アウタープレーンへと至る場合もあるので、暑さ寒さ対策は勿論、悪性の怨霧質アストロゾルいわゆる瘴気ミアズム対策として、防呪覆面など持参した方がいい。深く潜れば潜る程、脳機能が低下し、判断力の低下や幻覚症状を起こすいわゆる潜脳病対策として訓練や魔境性人格障害にも気をつけたい。


 また潜索前に、潜索計画書を提出するのも遭難対策の一環である。


徒党パーティシステム


 遭難対策の一環として徒党パーティシステムを多くの冒険者アドベンチャラーが採用している。徒党パーティとは公募クエストに則り迷宮潜索ダンジョンダイビングという共通の目的のため、複数の仲間や一味と組み、戦闘においては互いが決められた役割を果たし連携することで、戦術の幅を広げ生存率を高める基本システムである。


 経験豊富な党主パーティリーダーと非常時には党主パーティリーダーとなる副党主サブリーダーを選任し、党主パーティリーダーは、判断・決断内容を党員パーティメンバーと協議共有しながら、決断する責任を負う。徒党パーティ間の不和や迷宮の気候変化には細心の注意を払いつつ人命を最優先に時には撤退の判断を下すのもいい党主パーティリーダーの素質である。これに対して単独で潜ること単独潜索ソロダイビング)と呼ぶ。


 徒党パーティでは戦闘配置バトルポジションごとに役割があり、大冒険時代初期には五つの戦闘職種バトルクラスが戦闘配置につくことを役職クラスポジションと呼んだ。役職クラスポジションは、数々の迷宮の深層に到達した到達者一党リーチャーズパーティ五防星ペンタゴン>を元に、絵札トランプのスートとジョーカーに擬えて五つに分けられる。これを基礎五役職原型理論アーキタイプと呼び、これに基づく徒党制度を五人制と呼ぶ。※六人制度を採用する場合もある。


近接┳攻撃型➡︎剣役職

物理┣防御型➡︎盾役職

  ┗支援型➡︎補完役職


遠隔┳攻撃型➡︎杖役職

魔導┣防御型➡︎杖と杯兼務

  ┗支援型➡︎杯役職


・剣役型(スペード(♤ ))


 軽装戦士を原型とする。接近戦インファイトにおいて物理攻撃役メイレーアタッカーを務める役職。徒党パーティのエースアタッカーが多い。物理攻撃で敵を倒す力や継戦能力が求められる。スペードを象徴シンボルとする。<五防星ペンタゴン>で疾きこと風の如しと言われた風刃の剣士に由来する。剣役職ソードポジション


・盾役型(ダイヤ(♢ ))


 重装戦士を原型とする。金剛石ダイヤモンドのように、重装備による堅い防御力を誇り、囮として敵を引き付け、剣役や杖役の攻撃時間を稼ぐ。通常、杯役の後方支援を受ける。ダイヤを象徴シンボルとする。敵を近づけない様に、或いは敵の進路を妨害するため長柄武器を装備することが多い。<五防星ペンタゴン>で動かざること山の如しと謳われた不動の重騎士に由来する。盾役職シールドポジション。また剣士ソードマンなどが、攻撃を回避することで敵を引き付け、剣と盾役を兼ねる剣盾役ソードアンドシールドもある。


・杖役型(クローバー(♧ ))


 いわゆる魔術師メイジを原型とする。攻撃役アタッカーの中でも後衛バックアップを務める。その役割は後方火力支援にある。弓矢や魔法の矢いわゆる魔砲マジックミサイルによる射撃シューティングに特化し、シューティングアタッカーと呼ばれる。魔術射撃は術式次第で、範囲攻撃を行うことも可能な点は弓矢より優れるが、その反面詠唱などに時間がかかる。クローバーを象徴シンボルとする。杖役職ワンドポジション。侵掠すること火の如しと謳われた火奏の魔砲手に由来する。


・杯役型(ハート(♡ ))


 僧侶クレリックを原型とし、輸氣治療の氣療士ヒーラー、除霊治療の退魔士エクソシスト、結界による防呪を扱う護法士ホワイトウィザードの僧侶三職種が、それぞれの専門性を生かし、役割・業務を分担しながら、命の番人ライフキーパーとして徒党パーティ全体の生存状態を管理し、後方支援を行う役。徒党パーティの心臓である。ハートを象徴シンボルとする。静かなること凪の如しと謳われた天才的な気療士ヒーラー)にして冷静な指揮官である神凪の気療士ヒーラー)に由来する。杯役職カップポジション)


補完役型ジョーカー


 ジョーカーを象徴シンボルとし、その絵柄<宮廷道化>のイメージから大道芸人や吟遊詩人或いはそれを隠れ蓑とする盗賊シーフが原型とされる。基本四職種に足りない部分をその特殊技能で補い、役割を補完する特殊技能職種スペシャリスト。例えば盗賊シーフは、罠解除の特殊な技能で徒党に足りない部分を補う。また隠微能力を生かした奇襲が、徒党パーティを救う切り札となることもある。知られざること影の如しと謳われた影打の盗賊シーフに由来する。


□徒党の戦闘配置ポジション


 徒党パーティ戦闘配置バトルポジションは大まかに、前衛フォワード中衛ハーフバック後衛バックアップの三つの戦闘配置(バトルポジション)に分かれる。大冒険時代初期には中衛ハーフバックはなく、前衛フォワード後衛バックアップのみだった。現在でも少人数の徒党パーティいわゆる五人組制度は省く場合がある。


前衛フォワード

 

 前衛フォワードは最前線に位置し、索敵、攻撃と共に後衛を守る役割を持つ。三名から五名が務め、主に三(四)つのポジションがある。


最前衛トップフォワード


 徒党パーティ先頭トップに立ち、索敵や罠の処理などを行う暫定戦闘配置。先頭トップに立ち、敵の発見と同時に速やかに中央前衛センターフォワード交代スイッチする。交代後は遊撃前衛フリーフォワード)を務める。


中央前衛センターフォワード


 いわゆる盾役型の戦闘配置バトルポジション。トップの後ろに位置するため、セカンドトップとも呼ばれる。戦闘前こそ先頭トップの座を最前衛トップフォワードに譲るものの、敵の発見と同時に速やかに交代スイッチし、戦闘時には率先して先頭トップに立つ。事実上の最前衛トップフォワードである。


 文字通り、徒党パーティセンターで、最前線のセンターで敵を引きつけ、味方が攻撃するチャンスを作る役目を負う。その立ち位置により、自ずと敵の攻撃を受ける危険が高くなる。そのため高い防御力、それを可能とする強靭な身体能力そして徒党パーティを支えるという強い精神力が求められる。


 自分の体を壁にして敵の進路をブロックすることで、味方の強襲前衛(アサルトフォワード)遊撃前衛フリーフォワード)いわゆる猟兵(イェーガー)をフリーにするいわゆるスクリーンの習得は必須である。


強襲前衛アサルトフォワード


 いわゆる剣役型の戦闘配置バトルポジション接近戦インファイトの攻撃に特化した前衛フォワードである。中央前衛センターフォワードのやや後方に位置し、サードトップやサードアタッカーとも呼ばれる。中央前衛センターフォワード(セカンドトップ)の背後いわゆるスクリーンのシャドーから飛び出し、速攻(ファーストブレイク)を仕掛ける。


 敵がこちらの存在に気づいていない場合には切り込み隊長として、先制攻撃を仕掛け、また敵の包囲を突破し、敵陣深く切り込む機動力と打撃力が、戦況を決定づけることからエースアタッカーと呼ばれる。攻撃力の高さは遠距離、近距離の違いはあれど後述するシューティングバックの戦闘配置(バトルポジション)と双璧を成す。


 遠距離攻撃ロングレンジに優れた後衛のシューティングアタッカー(魔砲や弓矢など射撃シューティングを武器とするポジション)と比べスピード、身体能力共に優れ、魔物アウタークリーチャーとの接近戦インファイトを物ともしない胆力が求められる。


遊撃前衛(フリーフォワード)


 猟兵イェーガー)とも呼ばれる。前衛(フォワード)の名を冠するものの、状況を見て柔軟に敵陣の内側インサイド外側アウトサイドを行き来する中衛ハーフバックに近い役割を持つ。暫定的な戦闘配置バトルポジションである最前衛トップフォワードで、敵の発見後、強襲前衛アサルトフォワード)のすぐ後ろあたりにまで下がる戦闘配置(バトルポジションで基本的には、強襲前衛アサルトフォワード)の側面支援などサブアタッカーとしての役割を担う。中央前衛センターフォワード(セカンドトップ)の背後から強襲前衛アサルトフォワードと共に飛び出し、連携突破ツーメンブレイク)を仕掛けるなど戦闘バトルにおいては投擲狙撃による奇襲や撹乱など遊撃フリーを務める。索敵能力や身を隠す隠微能力、罠を見破る洞察力、俊敏性及び手先の器用さなど求められる能力は多岐に渡り、器用貧乏とも呼ばれる。


 攻撃だけでなく、時には後方からの奇襲に備え、最後尾テイルエンド)まで下がり、後方哨戒に当たるなど最前衛トップフォワードから最後尾テイルエンド遊撃フリー)をこなし、俊敏さや索敵能力は勿論、体力も要求される戦闘配置(バトルポジションである。


中衛ハーフバック


 戦闘領域バトルフィールド)の中央に位置し、前衛フォワード後衛バックアップの間にあって、両者を取り持つ戦闘配置バトルポジション。当初、徒党パーティの指揮は、命の番人ライフキーパー中央前衛センターフォワードが兼任することが多かった。


 しかし連携ミスによる誤射事故フレンドリーファイアー氣療士ヒーラーの負担による成り手不足から各自の役割分担を徹底化し、戦闘行動を細分化することで、各自の負担を減らした。同時に指揮専任の戦闘配置(バトルポジション)を創設し、彼らが全体を俯瞰することで、細分化した役割を連携させた。


 こうして生まれたのが中衛ハーフバックである。近接戦闘・長距離攻撃を可能とした魔封剣の普及と共に、中衛ハーフバックは一躍花形役に躍り出る。隙を見て前衛フォワード交代スイッチする中距離突撃オーバーチャージなどの攻撃補佐、また後衛バックアップの護衛を兼ねた中衛ハーフバックは、指揮官として多くの名のある潜索士(ダイバーを輩出した。


中央中衛センターハーフ


 前衛と後衛を連動リンクさせる戦闘配置バトルポジション。五人組制度で、狭い通路など一列縦隊(1─2─1─1)で進む場合は、最前衛トップフォワードを盗賊系が務め、その次に中央前衛センターフォワードである重騎士系、強襲前衛アサルトフォワード)である剣士系そして中央中衛センターハーフ中央中衛センターハーフには命の番人ライフキーパーを置き、後衛バックアップには魔砲手マジックシューター)などを置く。前方で敵が発見された場合、最前衛トップフォワード中央前衛センターフォワードである重騎士系と盗賊系が交代し、命の番人ライフキーパー後衛バックアップへ下がる(1─2─2)。


 徒党パーティの司令塔として機能し、敵性魔物の布陣や味方の状況など全体を俯瞰して見る広い視野とリーダーシップが要求される。


 通常、党主パーティリーダー血盟団クラン)団長リーダーが務めることが多い。元々、指揮兼任の負担を減らすために生まれた戦闘配置(バトルポジション)だが、裏腹に複数の職種クラスを兼任する高位の複職種マルチクラスが就くことが多い。指揮だけではなく、時には中距離ミドルレンジから魔術射撃マジックシューティングを仕掛け敵を牽制したり、自ら中距離突進オーバーチャージで、前線を押し上げたり味方の補佐を行う。状況に応じて臨機応変に対応するオールラウンドな能力が求められるが、攻撃的と守備的の二つの型がある。


後衛バックアップ

 

 徒党パーティ)の後方から前衛や中衛の支援を行う戦闘配置バトルポジション命の番人ライフキーパーやシューティングアタッカーで構成される。ツーバック制やスリーバック制など戦闘隊形フォーメーションによりその数は変わる。


中央後衛センターバック


 シューティングアタッカーいわゆる杖役が就く戦闘配置バトルポジション。シューティングアタッカーとは、職種クラスで言えば弓撃士アーチャー魔砲手マジックシューターが担当し、遠距離ロングレンジ射撃シューティングによる後方火力支援を行う。


 遠距離射撃ロングレンジシューティングを専門とする純粋なシューターが多くを占め、党員パーティメンバーに射撃機会を作ってもらう代わりに確実に敵を射抜く力が求められる。特に魔術射撃マジックシューティングによる範囲攻撃は火力の高さで言えば、徒党パーティ随一であり、戦局を一変させる力を持つ。中衛ハーフバックがなかった時代にはセンターバックはセンターフォワードの後ろに位置し一人だった。


 しかし中央前衛センターフォワードとの連携ミスによる誤射事故フレンドリーファイヤーを防ぐため、左右の端いわゆるウイングに配置するツーバック制が、生まれセンターバックは廃止された。そのままセンターバックを残すスリーバック制など戦闘隊形フォーメーションにより中央後衛センターバックはいたりいなかったりする。


右後翼ライトウイングバック


 ツーバック制ではシューティングアタッカーを命の番人ライフキーパー

の右に配置し、右後翼ライトウイングバックと呼ぶ。スリーバック制では中央後衛センターバックの右となる。いわゆる右後翼ライトウイングバックで遠距離射撃を担当する。前方は勿論真ん中辺りの敵を射撃するには、斜めから角度をつけて狙うため、中央前衛センターフォワードに引きつけられた敵の死角となりやすい。


 時に左後翼レフトウイングバックと協力して、十字に交差するように、左右の斜めから同時に射撃する。いわゆる十字射撃(クロスファイア)により、中央前衛センターフォワードを屈ませたり、下がらせたりせずに援護でき、防御にも活用できる。


左後翼レフトウイングバック


 ツーバック制ではシューティングアタッカーを命の番人ライフキーパーのやや左斜め前に配置し、左後翼レフトウイングバックと呼ぶ。スリーバック制では中央後衛センターバックの左となる。いわゆる左後翼レフトウイングバックで遠距離射撃を担当する。

 

最後尾テイルエンド


 徒党パーティ最後尾テイルエンド)いわゆる杯役の戦闘配置バトルポジション)。戦闘時は主に命の番人ライフキーパーが務め、党員パーティメンバーの命即ち生存と活動状況を維持或いは強化し、生命力いわゆる霊気オーラなどを後方から遠隔治療を行なうことで一括管理する。ツーバック制では最後尾テイルエンドの左右斜め前に左右の後翼ウイングバックが配置される。


 最も危険な盾役職シールドポジションいわゆる中央前衛センターフォワードとを繋ぐ生命力補給線(ライフライン)は文字通り徒党パーティ)の生命線となる。そのため回復術式の効果範囲は、時に生死を分ける重要な要素となる。危険だからといってあまり下がり過ぎると救えるものも救えない。最も運動量が少なく、かつ常に全体を見渡せる戦闘配置(バトルポジション)であるため、初期には戦手(バトルプレーヤー)全体に指示を行う重要な役割も担っていた。


血盟集団クラン


 徒党パーティは、公募クエストに則り、主催者の下、一時的に集った集団としての側面が強い。これに対し血縁ではなく、血の盟約に従い、共通の目的を持つ集団を血盟集団クランと呼ぶ。


 元々は古エル=フの森林盟約者団に起源する。エレメン精霊連合王国は魔法の火を巡る拝火百年戦争により、栄光のエル=フ率いる光朝と闇エル=フ率い闇朝に分裂した。光朝の滅亡後、難民の一派、森林七枝族は森を森殿とする大森官の下に集い、森林盟約者団を結成した。王の系譜に連なる七つの血縁団クラン血盟団クランは模倣している。


 血盟団クラン公募クエストごとにそれぞれ違うメンバーが召集される徒党パーティ形式と違い、 メンバーが固定化された徒党単位で、公募クエストに臨む。徒党パーティと違い、慣れ親しんだメンバー間の練度は高く、いちいち連携訓練の必要もない。


 また戦場冒険者の血盟団クランを傭兵団と呼び、魔境冒険者の血盟団クラン猟兵団イェーガーと呼ぶ。指導者の下で二十から三十人規模で形成され、百人から千人規模の大型血盟団もある。五人から十人程度の徒党単位でチームが、形成され、基本班チーム単位で活動する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ