ー自動起動式ー
続いては自動起動式と呼ばれる魔封剣の方式を見てみることにしよう。
1―切っ先を突き出し構える。
切っ先を突き出すように対象へ向けて構える。
人工精霊が呪紋認証、詠唱などを自動代行する自動起動式において術式の発動に詠唱や基本印契形態で印を組み上げる必要はない。
人工精霊とは元々、自らの幽体特に霊気粘性流体から作り出した自己思念投影体いわゆる生霊のことである。念気で自由に動く霊脳空間上の代理人いわゆる使い魔として様々な術式を代行する存在であった。
術式で組まれた半自律型仮想精霊体──人工の霊気生命体である彼らは、精霊などの純エーテル霊気生命体と同じく、人間が術式を発動するのに必要な起動手順が圧倒的に少ない。
2ー魔杖を構え照準を定める
遠隔狙撃の場合、盗視や迫眼視などの千里眼術式により遠隔観測照準を行う。
3ー引き金を引きながら、発動音声を唱える
呪紋認識後、多次元連結式並列処理演算機関<呪珠>が、霊脳空間との次元連結を開始し、意識と無意識間の交神経路が開く。
呪珠を通して人工精霊と繋がるいわゆる呪珠繋ぎにより、人工精霊を魔法使いの代理人として、無意識記憶領域から暗譜された呪文言語の指示書<呪譜>が取り出される。即座に無意識演算領域<術識>へと送られ、スペルコードの指示コマンドが読み込まれる。
スペルコードの指示コマンドに従い、霊脳空間の存在情報が書き換えられる。
書き換えられた存在情報は、無意識演算領域<術識>から交神経路を通じて、意識の表層へと送られ、主人の網膜から物質界へと念射される。
圧縮された存在情報を高速展開しながら、魔力や念力、霊気など流し込まれる。意識が繋がった主人を通じて、限定空間内の存在情報の一時的な変更内容が物質界へと反映され、発動する。




