メイド?なにそれ?最強種?
・・・もしかしたら、彼は・・・
コニーは風呂上り、窓辺の椅子に座り物思いにふけっていた・・・
ケンは、けろっとした顔で戻り「ちょっと散歩に行く」といって今はいない。
納戸から出てきた石版より出現した。あのおかしなほど強いモンスター。
あれは父の研究の成果なのかもしれない。あのモンスターについて具体的な記述を資料から見たことはない。
しかし・・・
「あれはもしかしたら、最初の竜神族なのかもしれない・・・」
そう考えれば辻褄が合う・・ような気がする。
「考えてもわかんないんだし、ここに資料は無いし、寝よ寝よ」
そう頭を切り替え、さっさと寝ようとしたとき・・・
ドゴン!!!・・・ゴゴゴゴ・・・
ものすごい揺れを感じた。
「なに?地震?」
ゆれはすぐに収まり、部屋は落ち着きを取り戻した。
「大きかったわね。ま、何事もなくてよかったわ。」
そう言ってから・・・まさか・・・ね。
と考えて、そこまで強くはないでしょ。と考え直し、自分のモンスターが帰ってくる前にコニーは眠りについた・・・
ぐおおおおーーー
朝一番のドラゴンの咆哮でコニーは起きる。外は快晴だった。
「今日もいい天気ね」
そう言ってキッチンに行くと、ケンが料理をしていた。
「おはよう、今日家に行くんだろ?朝飯用意したから、早く行こうぜ」
「・・・えらく積極的ね、何かあった?」
そう聞くとあさってのほうを向きながら「なにもないよ」と答える。
・・・あやしい・・・少し探るか・・
「昨日地震があったんだけど、知ってる?」
すると ビクッ っとなったあとに「し、しらないなぁ」と返してきた。
「はぁ、ばれないようにやってきたんでしょうね?」
「そこは抜かりないぜ!!・・・あ」
「・・・馬鹿ね・・・」
呆れつつ、食事を始める。しばらくすると コンコン と部屋をノックされた。
「はーい、どちらさんですかー」と言いつつドアを開ける。
モンスター協会の腕章をつけた女性が立っていた。
「昨日の夜、どこかのモンスターにより、草原に大きなクレーターが作られていました。まだ、そのモンスターは特定できていませんので、十分注意して行動してください。」
「・・・は、はい」
青ざめてうつむいた私を見て、協会の人は怖がっていると感じたようで・・・
「大丈夫です。今ギルドを通して、ランク3以上の方に調査依頼がかかっています。すぐにでも、発見してくれるでしょう。」
そう、笑顔で答えてくれた。
私は後ろを一瞥する・・・口笛吹きながら窓の外を見てやがる・・・
「わかりました、私はまだランク8なのでお手伝いできませんが、頑張ってください」
そう言って協会員の女性を押し出すと、テーブルに戻って猛然と食事を再開した・・
・・・一秒でも早くココを出なくては・・・
それを見たケンが一言。
「よく噛んで食べないと、つまるよ」
「あんたがいけないんでしょうがぁ!!」
・・・『首輪』をキュッと締めるのだった・・・
早々に出発準備し宿を引き払うと、町の門に向かって歩き始める二人。
「どっちに向かえばいいんだ?」
「・・・昨日説明したじゃない」
向かう先を指差しながら「こっちへ向かってまず門を出る、その後は道なりに半日ってとこね」
「結構遠いんだな、馬車とか乗り物はないのか?」
「あのね、ウチは貧乏なの余計なお金なんてないのよ」
「昨日の優勝賞金で行けばいいじゃないか」
「・・・ふう、そっか。まだ金銭について説明してなかったわね。後で詳しく教えるけど、昨日の賞金なんかじゃ、食費にして一週間分てとこなのよ。わかる?」
「・・・けちだな。もっとくれてもいいじゃん」
「ランク8じゃその程度よ。楽したかったらもっと稼ぎなさいな」
「りょーかい」
そんなことを言いながら門をくぐる。門番の兵士に通行許可証を見せ、道なりに歩き始める。
・・・しばらくして、兵士が見えなくなるとケンが提案してきた。
「俺がキミをおぶって、もしくは抱えて走る。ってのはどうだい?」
・・・なかなか魅力的な案だ。しかし・・・
「安全なの?あたし死ぬのはゴメンよ」
そう、安全なのだろうか?最悪ブレーキは『鎖』に頼ってもいいとして・・・も、だ。
「ダイジョブダイジョブ、問題ないよ。それに、ちんたら行くより早くついたほうがいいだろ?」
・・・それはそうだ・・しかし・・・
「ほんとに大丈夫なんでしょうね?」私は念を押す。
「もーまんたい」
・・・不安だ・・・
しかし、私が結論を出す前にケンが私を担ぎ上げて・・・「んじゃいっくよー」と、走り出してしまった。
「ちょ、ま・・・」
・・・最後まで言葉にできなかった・・・
恐ろしいほどのスピードで駆けていくケン・・・「わははは」と笑いながら走るので・・・怖い。
後に聞いた話ではこの街道に 笑いながら高速で走る化け物がでる とウワサになっていた。
30分ほど、恐怖を味わっていると、家が見えてきて・・・
・・・そのまま通り過ぎた・・・
「ブレーーーキーー!」叫びながら『鎖』で少しずつ自由を奪っていく。
しばらくして、足元に一匹転がっていた。
「あんた!通り過ぎたでしょ!!」
そう言うと「すまなかった。ゴメン。許して」と返ってきたので、仕方なく拘束を解く。
「さ、もう一度。今度はゆっくり移動して」
そう告げると「りょーかい」と言いながら、私を抱えて走り出した。
「ついた」そう告げて家に向かって歩き出す。
後ろに(まったく疲れた様子なく)ケンがついてくる・・・
久しぶりの我が家だ。以前と変わりなく、木製の家と厩舎、それに家の前の花壇には花が咲いていた。
花壇には見覚えのある姿の女性。
「レイ!!」
そう声をかけると、ゆっくり立ち上がり驚いた様子でこっちへ向かってくる『メイド服姿』の女性があった。
「おかえりなさい、お嬢様。」そう言うと深々と一礼して笑顔を見せる。が、後ろにいる者を見て、眉を顰めた。
「あちらはどなたですか?」そう聞いてくるレイ。
「あーあれはね・・」私が答える前に、その馬鹿は、レイの前に進み出ると膝をついて・・言った。
・・・「美しいお嬢さん、私とお付き合いしてくださいませんか?」・・・
・・・メイド服、メガネ、黒髪さらさらロング。これを見ても反応しない男は、男じゃない!!・・
昨日はやりすぎてしまった。自分の能力が知りたくて、少しやりすぎてしまったようだ。異世界にきて3日目で指名手配とは・・・笑えん。
そんなわけで、少しでも町を離れたかった俺は、コニーを抱えて疾走することにした。
・・・早い・・・すんごく早い。時速200キロくらい出てる気がする。
・・・楽しくなってきた。「わははは」と笑いが出てしまう。しかし、しばらくすると、体が自由に動かなくなってきた。『鎖』の効果のようだ。
・・・どうやら、調子に乗って通り過ぎたらしい・・・めんごめんご。
道を引き返して、ようやく着いた。
見た目はロッジだろうか。横に厩舎が添え付けられている。
・・・いいとこだな。・・・そう思った。
「 !!」コニーが誰かを呼んだようだ。
そして、視線を向けた俺は・・・止まってしまった・・・
・・・素晴しいメイド服、美しい黒髪、ナイスなボディ、そして欠かせないメガネ・・・
俺は無意識に彼女の前に跪き・・・「美しいお嬢さん、私とお付き合いしてくださいませんか?」
と、告げた・・・
二言三言、コニーと会話した彼女は、笑顔で答えてくれた・・・
「いいですよ」
この時の俺の喜びはとても言い表せない・・・年齢=彼女いない暦の俺はこの時をもって・・
・・・彼女持ちになったのだ・・・
感動のあまり涙を流す俺・・・
そんな俺に彼女はこう言った。
「では始めましょうか・・・」
「・・・は?」
呆然とする俺を前に、彼女は真っ黒な『刀』を抜き放ち・・切っ先をこちらに向けて・・言う。
「到着してすぐに、訓練がしたい、とは素晴しい意欲ですね。その意気をを買って、全力でお相手しましょう。」
・・・俺は・・・一瞬なにを言われているか分からなかった。言葉が通じることに疑問すら抱かず、呆然と彼女を見つめていた・・・
・・・だから、その初動を避けれたのは、奇跡に近かった。
袈裟に刀が振り下ろされ・・・避ける!。
「あぶな・・・本気ですか?」
そう言うと彼女は笑顔で「本気ですよ?だから、あなたの本気も見せてくださいね」と言った。
・・・ヤバイ・・・普通にやり合ってもやばい相手だ、と、本能がささやく。
少し距離があったはずが一瞬で詰められ・・・袈裟、薙ぎ、斜め、切り上げ、突きの5連撃が来る。
・・・フェイントも織り交ぜての攻撃。昨日のやつらとは格が違う一撃。
なんとか全てを避けつつ問う・・・
「なん・・で・・たたか・・うひゃぁ!・・わない・・と・・いけな・・いんですか?!!」
すると、一瞬で距離をとり一言
「あなたの実力を知らないと、指導できないじゃありませんか」
・・・笑顔で返された・・・そして・・
「あなたも本気できていいですよ。私はそう簡単には倒せませんから」
そう言われると、本気で行きたくなって来る。
紳士として有名な(だと思ってる)俺だが。自分の限界は知りたい。なので答える。
「分かりました。本気で行きますね・・・」
「ええ。そうしてください」
少し離れた距離を、全力をもって一瞬で詰める。この時初めてメイドさんの顔に驚きが生まれた。
突っ込む俺にメイドさんが刀を合わせてくる。
突きを腕を滑らすようにして流し、足を踏み込んで腹部に掌体を一撃。
ドンッ!!
すごい音がして地面が沈む。が、避けられる。しかし、この型は連撃だ。
2歩目はさらに接近してみぞおちに一撃。浅く入り反撃される、それを、右手でいなして・・・さらに接近し、胸の間に肘を埋め込む。
肘が胸部を破壊する感覚がして・・・彼女が吹き飛んだ・・・
・・・大きな岩に激突して岩が崩れ落ちる・・・ああ、やっちまった。そう思ったとき・・・
・・・首に一本の刀が添えられた・・・
「甘いですね。変わり身です」
そして、俺は安堵する、と同時に敗北を認めて両手を挙げた・・・
「あなた、なかなか強いですね。しかし、攻撃が素直すぎる。それでは、高レベルにはいけませんよ」
そう言われて振り返った先には・・・
・・・黒の上下、下着だけの天使がいた・・・
「?きいてるのですか?」
「はい!」
・・・その後、彼女が服を着替えるまで・・俺は首を絞められながら・・・鎖でぐるぐる巻きにされた・・・
・・・メイド服・・・最高!!・・・
えーと、メイド服は実は私の趣味ではありません。
私は、ピンクナースのほうが・・ゲホンゲホン・・