大会?なにそれ?料理の一種?
・・・大会前日、町の宿・・・
「ふう、一通り説明したと思うけど・・」
「ああ、ありがとう。俺の結論だと、ココは異世界だ。」
「異世界?あなたのいた世界じゃないってこと?」
そういうことも稀にある。そうきいていたコニーは、やはり珍しいのね。位に思っていた。
「そう。そして君の話だと、俺の出てきた道(石版)は、すでに使えない。」
「そうね、あれはもうただの石だわ。」
「俺は、召喚とかまったくわからん。なので少しずつ知識を集めて生きたいと思う」
「なるほど・・・あなた帰る気なの?」
「もちろんだ。故郷には俺を待ってくれてる人が・・・・待ってくれてる人が・・・・」
「ん?」
「・・・いないな・・・」
「・・・そう」
少しこの人が可哀想になってきた。
「くぅ・・・しかし、ここに人がいて子孫を残せるのなら・・ここでもいいかな・・よくないな」
・・・・だいぶ可哀想に思えてきた。
「とりあえず、明日大会に出てもらうから」
「大会?」
「そう、モンスター大会 ランク8 愛国記念杯」
「・・・え?なにそれ?おいしいの?」
「・・・いえ、食べ物じゃないわ。れっきとした闘技大会よ。」
「・・本気?だって今日きたばかりだよ俺」
「だからよ、あなたの能力が知りたいの。強いのか弱いのか。それくらい知っておかないと、これから調教できないじゃない。」
「・・・調教?・・・え?・・・S?」
「ええ。あたしモンスター調教師だもの。あなたのようなモンスターを調教して、大会に出して賞金を得て、それで暮らしているの」
「・・へえ。がんばって!俺帰るわ!」
そういってかれは立ち去ろうとする・・しかし・・私が「見えない鎖」を引っ張ると・・・
「ぐえっちゅ!」
あしもとに転がった・・・
「な?なんだいまの!!」
「今のは見えない鎖といってあなたの首にある、契約の首輪につながってる鎖よ」
「・・・え?」
そう言って彼は首に触るが、そこには何もない。
「何もないよ?」
「まってて」
私は、そう言って鎖に魔力をこめる・・・すると、鎖と首輪が実体化した。
「なにこれ?首輪?鎖?・・・女王様?」
「これはね、『契約の首輪』と『見えない鎖』といってあなたと私を繋げる物よ」
「つなげる・・・・繋げる・・・つながる!合体!!」
なんだかおかしな方向に思考が行っているようなので首輪を閉める。
「ぐえ!な・・なにこれ・・ギブギブ!!」
「はあ・・ハズレかな・・」そう言いながら私は首輪を緩める。
「ハズレって・・・ま、まぁ。俺もそう思うが・・とにかく!これはあれ?しつけ用のモノってこと?」
やはり頭はいいようだ。・・・力とかは・・期待できないだろうな・・・
「それもあるけど、一番重要なのが、つながっているモンスターと意思疎通が可能になることよ」
「なるほど。だから、君以外の人の話が理解できないのか」
「そういうこと、文字やこの世界については追々教えていくとして・・・あなたどんなことができるの?」
そうこれは重要なことだ。モンスターは各自技を持っている。それを使って敵を攻撃し、倒すのだ。
「技?・・・ワザねぇ・・・」
そういうと彼は、料理台に立ち・・・キャベツの千切りを始めた・・
・・・切り終るとこちらを向き「どうだ!」と言った・・
・・・頭が痛くなってきた・・・
「すごい速度だろう!それにきちんと全て切れており、髪の毛の細さだ!!」
・・・たしかにすごい。速度も申し分ない・・・しかし・・
「で?それで相手モンスター倒せるの?」
「・・・・無理だな!」
「・・・そう」
どうしよう・・・今から訓練を行う暇もない。登録はとっくに済んでしまっていて、今更後には引けない・・・詰んだか。
「もう遅いし寝るよ、いい案が浮かんだら教えて・・・」
彼がそう切り出したので、私も「お風呂入って寝ます」と告げる。
するとなにを思ったのかこちらを向いて、とても真面目な顔して
「一緒に入ってもいいか?」と告げた。
「・・・ん~。怖いからヤ」
と言うと「そうか。残念だ」と、少しも残念そうな顔を見せず布団にもぐった・・・
・・・次の日、闘技場にて・・・
闘技場につくと、彼は辺りをキョロキョロしながら、私について来ている。
控え室に移動中嫌なやつに会った。
「あーら、おはろうございます。コニーさん」
「おはよ。ローズ」
後ろの彼も「おっす」と言っていた
彼の言葉はローズには分からなかったが、挨拶をした、ということは分かったようで。
「おはようございます」と返していた。
「ところで、本当にその子を出しますの?」
・・・考え直したいが今更引けない。
「ええ、そのつもりです。」
「大丈夫なんですの?召喚して一周目で試合なんて、三流のすることじゃなくて?」
・・・一々、正論を言う。まったくその通りだが・・・
「いいんです、この子の実力が知りたいので。無理はさせないつもりです」
ローズは笑顔で「それならいいですわね」と言った。
「私の『アーマーナイト』も実は一周目でしてね。うちの執事が大丈夫とあまりに推挙するものなので、出すことにしましたの」
・・・アーマーナイト・・・
デュラハンの上級モンスターだ。力と防御力が素晴しく高く、知力、体力ともに申し分ない。すばやさに弱点があるが、それを鑑みてもあまりある強さを持つモンスターだ。又、技のレパートリーも広く、火、雷、風を操る。神域の守護者として存在することもある一流モンスターだ。
「そう、あーまーないとをだすの・・・そう・・」
ああ、負けたな・・そう思った。もし『アーマーナイト』と当たる様なら棄権しようと心に決めて。
「では、ごきげんよう」
そう言ってローズは去っていった。
「『アーマーナイト』ってなんだ?」
彼から問われたので、こう言うものと答えるとあからさまにイヤそうな顔をして「帰る」と言って出口に行こうとしたので、『首輪』をしめて、控え室に引きずっていった。
・・・一回戦、第一試合で、ゴーレムに当たった・・・
ゴーレムは足が遅いので、避けながら戦えるだろう。そんな風に楽観的に見ていたのに・・・
・・・とんでもないことになってしまった・・・
・・・とんでもないことになってるな、自分・・・
しばらくの静寂の後、割れんばかりの歓声が闘技場を包んだ。
早足で会場を後にする俺。通路に出るとコニーが待っていた。
「なにあれ!どうやったの?ゴーレムの体に穴を開けるなんて・・・あんたドラゴン族?」
などと聞いてきた。
「あれで全力じゃないんだ・・」
彼女は一瞬なにを言われたか分からなかったらしく、聞き返してきた。
「え?どういうこと?」
「だから!!あれで全力じゃなかったんだよ!!どうなっちまったんだ!!俺の体は!!」
動揺していた。だから、彼女に掴み掛かり・・・結果一番上のボタンが飛んで・・・
・・胸が見えそうになった・・
「!!」俺は動揺した!!30童○の俺には・・・いささか刺激が強かった。
「おちついて!痛いよ!」
そういう彼女の言葉に気がつき。ゆっくり離れた。
「君が強いのは分かったから、次はもう少し手加減して戦ってよね」
・・・そういう彼女の胸は、全開に近かった・・
ヘタレの俺は、後ろを向いて「分かった」と言うしかなかった。
前の試合を見ていたのだろう、相手選手は、棄権した。当然だ、ゴーレムに穴を開けるようなやつの相手は、無理に決まってる。しかし、最終試合の相手だけは、棄権しなかった。
・・ロールケーキ登場だ。
「ウフフ。相手にとって不足はありませんわ!やってしまいなさい!『アーマーナイト』!」
「グオオオオオ!」
アーマーナイトが吼えた。
「んじゃいってくる」
俺がそう言うと。
「くれぐれも殺しちゃダメよ!」
コニーさん・・・そいつは簡単じゃないんよ。
ゴーーン!!
試合開始だ。
アーマーナイトは、こちらに向かって槍を突き出し、雷を放ってきた・・・難なく避ける俺
次に小さな竜巻を放つ・・・両手で作ったカマイタチで竜巻をつぶす。
炎をまとって突っ込んできたので・・・足を地面にたたきつけて地割れを起こし、そこに落っことす。
・・・ふう・・つかれた・・
「きゃーーーーーーーーーーーーー!!!!あたしのアーマーナイトがあああああああ!!」
どっからかうるさい声が聞こえてきた。さて帰るかと思って、出口に向かうと・・・
ドガンッ!
と目の前の地面からアーマーナイトが出てきたので・・・
ドガンッ!
と、踵落しをかまして今一度地面にお帰り願った。
「優勝は!コニー・リコリスのケン!!」
ワーーーーーーーーーー!!
こんなチートで勝ってもまったくうれしくないので、さっさと帰ることにする。しかし・・
「表彰されてお金貰わないとダメ!」
と言われたので、しぶしぶ表彰され帰途についた。
宿に戻る途中、ロールケーキに何か言われたが、言葉が理解できないので・・
「次、見つけたら犯す!」
と言っておいた。どうせこっちの言葉も分からんのだし、おあいこだろう・・実行はする気だが・・
コニーに普通に怒られ首を絞められた。
宿に着くと・・・
「明日、私の実家に行きそこから本格的に調教に入ります」
と言われた・・・え?、俺調教されんの?
・・・ふと考える30の童貞でMに目覚める自分・・・
「ありえん!!!」
「え?だって文字とか覚えるんでしょ?」
・・・そうだった、うっかり忘れてた。
「お願いします。コニーさん力をお貸しください」
「よろしい、貸してあげましょう」そういってにっこり笑うコニー
・・・こいつ・・可愛いじゃないか・・
「さ、疲れたし寝ましょ」
そう言ってコニーは風呂に消えた。
・・・色々疑問はある。
なぜ俺はいきなり強くなったか。
コニーは、俺を帰してくれる気があるのか。
どうやって帰ればいいのか。
・・・しかし、だ。
コニーの風呂に突貫してから考えようと、思い直し、リビングをあとにするのだった・・・
結果として顔が青くなるまで首を絞められたのち・・宿から放り出されました。
執筆は気が向いたらです。
読んでくださるだけで、とてもうれしいです。
頑張って書きます!