相手?なにそれ?にいづまのこと?
はい。タイトルウソでしたね。
・・・あたしがしっかりしなくちゃ!・・・
ついに、ケンが試合する日になった・・・なのに・・
「アンタいつまで寝てんのよ!」
「ん~・・・あと五時間・・」
「出番終わるでしょ!」
・・・こんな感じだ・・・
「あんた、本当は試合したくないんでしょ?」
「ん?ん~・・そそ。だから寝かして」
・・・絶対連れてく!!。
ガス!ドガ!バサッ!ゴロゴロ・・・
そんな風に、朝を過ごした後・・・
「よっしゃ!いくか!!」
・・なんでアンタが一番元気なのよ・・・
さっきのやり取りもどこへやら、先陣切って闘技場へ向かうケン。
「よっしゃ!ダーリンのいいとこ見せてや!!」
「はぁ・・・」
元気よく闘技場に向かうのであった・・・
・・・闘技場控え室・・・
「今日はよろしくお願いします」
「お願いします」
二人揃って頭を下げる。
「よろしく!」
モンスターやマスターにも挨拶され、頑張って等の声も掛けてもらえた。
「しかし、『ランク3』に『ランク8』が出ることになるとはな~。お前普通の試合にすら、まともに出たこと無いんだろ?大丈夫か?」
先日の試合で、ものすごい試合を見せたサマエルからそう言われる。顔を見れば普通に心配してくれているのが伺えた。
「まぁ、やってみない事にはなんとも言えないですが・・・ま、大丈夫でしょ!」
そう返すケン・・・それを見て・・・
「そか。心配無用か・・」
「そうじゃそうじゃ!こやつの事より自分の心配せんか!おぬしはウリュエルとやるんじゃろうが!」
「そうだった・・・」そういって首をすくめる・・・案外気さくなモンスターなのかも・・・
「お兄様は負けません!」
「ありがと。ヴァイオレットちゃん」
「い・・いえ・・」そう言って赤くなるヴァイオレットちゃん。
「あ・・・主~」言いながら擦り寄るタマ。
「はいはい。拗ねないの」タマをゴロゴロさせる・・・
「そろそろ時間ですね・・・」
あたしがそう言うと、皆顔を引き締めやる気をにじませていた・・・
「お待たせしました!第四回戦『南 対 東』を開始いたします!」
ワーーーッ!
『ベヘモス 対 グランパ』
グランパは、ダンディなパパの顔そのものといったモンスターだ。正確には顔しかないのだが・・・
ベヘモスは前回の戦いを引きずる様子も無く、とても強そうだった。
「ねえ。この間の試合でも思ったけど・・・」
「ん?どした?」
「どうしてあんなモンスターが出てるの?」
そう言って私はベヘモス・・・ではなく、グランパを指差した。
「ん?コニーは、グランパを知らんのか?有名なモンスターやで?」
「そうなの?私が持ってる図鑑には・・・載ってなかったかな・・」
「ん~それはあれやな。通常状態のグランパが載ってないんと違うか?」
「通常状態?」
「せや・・お、始まるで」
カーン!開始の音が鳴る。
グオォォォーー!
ベヘモスが唸り、グランパに猛突進する!
ドガーン!
見事もろに食らった・・・ボロボロになるグランパ・・しかし・・
「ほっほっほ。怒るほどの事じゃない」
そう言って笑っている・・・そう、前回の戦いもこんな感じで何もせずやられていた・・・
「・・・またあれね・・負けて当然じゃない?」
「ん~。まあ、あれがグランパやしなぁ・・」
そう言って苦笑いするリーベ。
ドガーン!
また吹っ飛ばされるグランパ、相変わらず笑っている・・と、思いきや・・・
「グググ・・ググォ・・・」
低い声を出したかと思えば・・顔が上下逆になった!!・・で?
「あ~。グランパ怒らしたか・・・」
そんな、のんびりとしたリーベの声とは裏腹に・・・
ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!・・・
恐ろしい程の攻撃が繰り広げられていた・・・
主に体当たりだけなのだが、その一発一発が素早く、とても重いのが音で分かる。それが絶え間なく続く・・・
最早、ベヘモスは倒れる事すら許されずに(傍目に見て気絶しているのが分かる)延々と攻撃され続けていた・・・
ようやく攻撃が終わり・・・ズズーン・・と倒れこむベヘモス・・・それを見てグランパは・・
「少々やりすぎたかね」 と言いながら赤くなっていた・・・
「怖いモンスターもいるのね・・」
「せや、瀕死になるとああやって恐ろしく強くなる奴もおる。あと少しと思て、油断は禁物やで!」
『ヴァラク 対 フォラス』
ヴァラクは、前回と同じように真っ赤な双頭の龍に龍の翼を持った少年が乗っている。
対するフォラスは・・・
「普通ね・・・」
「普通や」
そう、普通のどこにでもいるようなおっさんだった。
「あれ、モンスターなの?」
「それは間違いあらへん。前回は見所無しやったからなぁ・・」
そう、前回のカロン戦では普通に負けていた。
「まあ、こうして選ばれる程や。なんかあるんやろ」
カーン!試合開始だ。
まずヴァラクの双頭の龍が炎を吐いた・・・
ゴーーー!
慌てて逃げるフォラス。
初めは警戒していたヴァラクも、相手が逃げるばかりだと分かると自身(少年)も炎の魔法(火球)で攻撃を始めた・・・
「一方的になったわね」
「せやな。ま、あれで『魔神の一柱』や。策があるんやろ」
リーベがそう言うのと同時くらいに・・・
「あ!」
フォラスの姿が スーーッ っと消えた。
姿を見失うヴァラク・・だが、龍が鼻をヒクヒクさせたかと思うと・・・
ゴーーーー! と、闘技場の一角に火を放った・・すると・・
「うわぁぁぁ!」火に撒かれながら、フォラスが浮かび上がり再び逃げ始める。
「あーあ。これは決まったわね」
「・・・せやな・・・ヴァラクの負けや」
「え?・・なん」聞き返す暇も無く・・・
ドドドドド!ドゴーン!
すごい音がして、ヴァラクが滅多打ちにされていた。
今までフォラスが逃げていた方には誰もおらず、反対の方向からヴァラクを攻撃するフォラス。
「なにあれ・・」フォラスが何かを持って、そこから弾?が打ち出されているのが見える。
「あれはな。なっちゃんの世界の武器で『銃器』や。魔法に頼らず人や物を破壊する恐ろしいモンやで」
ヴァラクがボロボロになっても、攻撃は止むことなく・・・ピクリとも動かなくなったヴァラクに、筒状の何かを投げる・・
ドガーン!!ビリビリ・・
ものすごい音と地響きが起こり・・・後には、何も残ってはいなかった・・・
「すごい奴がいるんだな・・・俺の世界のモンを使うとは・・・」
「せやな。あれはフォラスだから持って来れたんやけど・・・『上級魔神』にはあんなんばっかやで」
「最初に消えたのは囮?」
「せや。初めに消えたのは準備の為やろね。見つかるんを考慮に入れて、自分そっくりの人形を用意してたんや。そっちに気を取られてるうちに・・・ドスンや」
「おーこわ」
そうこう言っている内に・・・
「ケン!次じゃない!アンタの試合!」
「おお!そうだった!急いで下に降りなくちゃ!!」
「そうよ!!急いで!!」
慌てて出て行くケン・・・
「ダーリン頑張りや!!」
「おう!」
そう言って・・・そのまま闘技場に飛び降りていった!
「・・・あの馬鹿・・・」
「いいやん。ダーリンらしいで!」
私も・・アイツらしい・・そう思ったのだった。
『ユマンマキナ 対 ケン』
「なに・・あれ」
出てきたのは、前回戦ったモンスターでは無く初めて見るモンスターだった。
それは、人の形をしているが・・腕の部分に回転ノコギリ、背中には機械仕掛けの翼が見えていた。
「あれは・・・」リーベの驚いているようだった。
「ダーリン!!それが『歪み』や!!」
「え?・・」
カーン!試合が始まる・・・
あとがきです。
文字数が多くなりすぎるので、二人のパートを分ける事にしました。
続きが気になる!そう言う方が一人でもいてくださるといいのですが;;
さて次回!いよいよ『歪み』との邂逅です!ケンパートで少し短めですが、ご容赦ください。次回もんすたーにっき「人形?なにそれ?中身はサバ?」・・・かぼちゃ~○す!