家賃?なにそれ?勲章の事?
おひさしぶりです。
毎日見てくださってる方、おまたせしました!
・・・まだ、その時じゃない。だから、大丈夫・・・
「そうですか。それは大変でしたね」
そう言う『タイジュ・アサシン』こと、ヴァイオレットちゃんのお父さん。
ここは、アサシン邸。
先日、五日の時間を掛け帰り付いた私に、ケンが「アサシン家に報告に行く」と言うので、私も『マスターとして』一緒に来たのだ。
「はい。本当に色々あって大変でした」そう言いながら苦笑する私。
「お兄様もお元気そうで良かったです」
「当然だよ。ヴァイオレットちゃんに会えるのに、カッコ悪いところは見せられないしね」
その笑顔が十分に格好悪いと思うケド・・・ジト目で見ている私に、二人はまったく気づかないでお喋りしている。
そもそも、アンタがおじさんに報告するの為に来たんでしょうが!!・・・
そう思う私に、タイジュさんは笑顔で・・・
「ふむ。修行は大成功だった・・・と言うわけですな。ケン殿もますます強くなって、試合も安泰ですな!」
そう言ってワハハと笑っている。
一応、女王との関係と女王から貰った『剣』と『魔力』そして『歪み』については伏せて報告した。ケンがそうした方がいいと、言ったのでその通りにしたのだ。
まあ実際、大騒ぎになることが目に見えているのでしかたないか・・・
「また何か必要な物があれば、何でもおっしゃってください。ウチで誇れるものは『ヴァイオレット』と『ローズ』くらいしかありませんがなぁ」
「まぁお父様、お父様も十分に私たちの誇りです」
「ありがとう」そう言いながら微笑むおじさん。
「なに?このホームドラマは・・」ケンが良く分からないことをいう。
「いいじゃない。親子仲がいいのはいいことよ」そう言いながら父を思い出していた。
「それよりも、私たち?ヴァイオレットちゃん以外に、誰かいるの?」
「あら、知らなかったの?『ローズ(まきげ)』がヴァイオレトちゃんの妹なのよ」
「へ?・・・妹なの?ヴァイオレットちゃんが妹じゃなくて?」
「そうなのよ・・・フシギよね~」ローズがお姉さんぽいのは、絶対ヴァイオレットちゃんのせいだ。
「へー・・・そう言えば、妹がいるって言ってたもんな・・・」そう話している最中・・・
バン!とドアが開き・・
「ただいま帰りましたわ!お父様」そう言って、ローズが部屋に入ってきた。
「おお!愛しのローズよ。お帰り」そう言うおじさんと
「ローズ・・・ドアは静かに開けましょうね」そう言って静かに笑うヴァイオレットちゃん。
「お・・・おねえ・・さま・・」なぜか後ずさりしている。
「ローズ。お客様の前ですよ、挨拶なさい」おっとり言うヴァイオレットちゃんだが・・なぜか迫力がある。
「は、はい。」そう言いながらこちらを見るローズ。
「やほ。ローズお邪魔してるわよ」面白いことになりそうだ。と、思いつつ声を掛ける。
「あら、貴方でしたの。何度もお誘いしたのに、ようやく来てくださいましたわね」
「うん。今度の件で、タイジュさんにスポンサーなってもらったから」
「そうでしたの。なら、これからは頻繁に来てくださいまし」
「私はあんまり来ないけど、こっちのケンはよく来る事になると思うの。よろしくお願いするね」
「そうですの。残念ですわ。で、その冴えない男は・・・」冴えない男・・・思わず笑ってしまった。
「冴えなくて悪いな、俺はケン。一回会ってると思うが、よろしく頼むよ」
「そうでしたかしら・・・覚えてなくてごめんなさいね。ようこそ当家へ、歓迎しますわ」
そこまで話したところで・・・
「ローズ・・・お兄様にその態度は・・・どうなのかしらね・・」「ひぃ・・・」
そう言いながら、後ずさるローズの背中をむんずと掴むヴァイオレットちゃん。
「少しあちらでお話しましょうか。旅先の話もあるし。ではお兄様、また・・」
そう言いながらズルズルとローズを引きずって、ヴァイオレットちゃんは扉の向こうに消えた・・・「お姉さま・・ま・・・」バタン
「はっはっは。相変わらず仲が良いなあの二人は」そう言うおじさんだが・・仲・・いいの?
「さて、大会の話をしようか。次の月の初めに、南の大陸で行われるんだ。場所は北の町『ヴァルトオアーゼ』にある闘技場。ケン君は、フリー枠だから予備も兼ねて貰うことになる」
「予備ですか。それなら楽で良いですね」
「ケン黙ってて・・」
「そうだね。しかし、Sランクの欠員が出たときの代りにもならなければいけないから、一概に楽とは言えないけどね」そう言って笑顔で続ける。
「団体戦は補欠扱いだが、個人戦は別だ。フリーだから全てのモンスターのトーナメント戦に出ることができる。もちろん、ランクと相談しなければいけないが・・」
「しかし、ケン君は最低ランクだ。だから、日程さえ合えば出られるだけ出てもらう予定だ」
「え?全部に出るんですか?」驚きながらケンが聞き返す。
「ああ、全部といっても日程がかぶっている所もあるから、正確にはランク6,3,2、Sの四つだ。しかし、体力的な問題もあるだろうから・・・」
そう言っておじさんは、一息置いて・・・
「Sと3に出てもらう」そう言った。
「Sと3ですか。それなら、なんとかなりそうですね」・・・コイツは・・
「いやいや、あのねケン。Sの意味分かってる?ものすごく強いんだよ!」
「ああ、大丈夫だろ。Sって言っても色々いるしな」・・・確かにそうだけど・・
「コニーさん大丈夫ですよ。ケン君なら初戦で負けることはありませんよ」
「初戦だけ勝ってもしょうがないと思うんですけど・・・」
「はっはっは。冗談です、まあ大丈夫でしょう」
「まかせてください!」
そう言って、わっはっはと二人で笑っている。
・・・はぁ、だめだ。・・
「そう言えば、資金は足りていますか?必要ならお出ししますが・・」
「いいいいいいいいいいいえ!もういりません!これ以上出して頂いても、お返しできません!」私は、慌ててそう返す。しかし・・
「いいんですよ。返す必要はありません。今回の大会で勝って頂けるだけで、結構な額のお金が手に入りますし」そう言われてしまった。すると、ケンが・・・
「そうですか。ありがたく頂いておきます」と言うので・・・
「何言ってるのよ!」
「いいんだよ。大人の事情ってやつだよ」なにそれ・・・
「本当にいいんですよ。今回あなた方にお渡ししたお金以上に利益が出ますから」
そう言われてはしょうがない・・・
「分かりました。絶対に勝てるようやらせてもらいます」
「おう、その意気だ」
「あんたがやるんでしょ!!」
そんなことを言っていると、ヴァイオレットちゃんが部屋に戻ってきた。
「戻りましたお父様」
「おかえり。今、大会のことを話していたんだよ」
「そうでしたの、では昇格の事もお話しましたか?」
「おお!そうだった」そう言っておじさんは・・・
「今度の大会で、ケン君がSランクに勝てればお二人のランクを1に認定する事になったんだよ」
「へ?なんですかそれ・・・」
通常、ランク認定は3ヶ月に一回ある昇格戦で優勝しなければならない。ブリーダーは一回昇格すればそれがずっと続くが、モンスターの場合一体一体、順に上がっていかなければならない。
つまり、新しいモンスターを育てる時はランク8から・・・となる。
「えっと・・・それっていいんですか?」
「うん。協会のほうには話を通したし、勝てば認定書が届くよ」
はぁ・・・いいんだろうか・・
「それも、大人の事情ってやつだな」
わっはっは・・・と二人で・・・
「さて、そろそろ帰ります」・・・とケン。
「そうか、大会まで少ししかないが頑張ってくれ。応援にはできるだけ行こう」
「ありがとうございます」
「お兄様頑張ってくださいね」
「ああ、まかせてよ!」
「それじゃぁそろそろ、ケン行くわよ」
「はいはい。ではまた」
そう言ってアサシン家を後にする・・・
・・・大丈夫だろうか・・・大会・・・
・・・しごきといじめは紙一重だ!・・・
「ぐおぉぉぉ・・・」
「がんばーケン~」
俺が今何をしているかというと・・・
〇
<㊥>
П
こんな感じで、魔力の制御をしているのだった。
「カラーちゃん、なんかコツとかないの?」
「な~い」・・・そっか。
そもそも、何でこんな事をしているかと言うと・・・この世界で言うところの『普通の使い方』ができないからだ。
・・・魔力・・・
魔力とは普通、世界に干渉する力を指す。地水火風・・・世界に流れる物に干渉して、現象を起こすのだ。ココでいう『普通』とは、魔法のことであり、現象を引き起こすの事だ。
「頑張んないと日が暮れるよ~」・・・そう言うカラーちゃんは、監視と称してぶ厚い本(中に薄い本が何冊か入っている)を広げて読んでいた。
そうは言うが、『空中に火を起こせ』なんて不可能ではないのか?異世界とはいえ、俺には俺の理論がある!!
「はいはい、無理じゃないよ~。ほら!」
そう言ってカラーちゃんは、指先から火を出して見せた。
「これくらいなら、結構できるモンスターは多いよ」
「そっか~・・・ふむ・・」
火を起こす概念が、俺の中では固まりすぎているんだろうか?試しに・・・頭を空っぽにして、指先に火がある・・と、イメージしてみる。
ボッ!
「おお!ついた!」
「やったじゃんオメデトー」
カラーちゃんが一切こっちを見ずに、祝ってくれた・・
「ありがと」一応返す。
「んじゃ次は水ね」 ペラッ
そう言いながら読書続行中のカラーちゃん・・・
「ふぅ・・・」さっさとやるか・・・そう思って水を出す事に集中する・・・と・・・
「キャーーーー!」バリン!
甲高い声と破砕音。
「何をやっているのですか!」レイさん声。
「あ~またやってるね・・・」 ペラッ
「ああ・・・そうだね」
そうなのだ。バルゴーちゃんが来てから、最近はずっとこうなのだ・・・
バルゴーちゃんは、女神様の分身であるリーベちゃんの護衛と俺の補佐の為についてきたのだが・・・何にもできないのだ。
ずっと森で暮らしていた為、世間を知らず、一般的な家事等でも文明的なことが一切ダメなのだった。
当然、お金を稼ぐ事もできないのでこの家に住む条件として・・・家事一般を手伝う事・・になったのだが・・・
バリーン!ガシャン!「キャーーー!」
・・・これが普通なのだった。
まあそれでも、料理等生活する為に絶対必要なスキルは高い・・・とのことらしいので、意外な事にレイさんの評価は高かったりする。
「ケン。手が止まってるよ」
そう言われ、制御を再開する・・・ジャー・・あ、でた。
そんな感じで、大会まで修行する俺であった・・・
あとがきです。
また出張で、しばらく更新できなくなります。ごめんなさい
次回予告!いよいよ大会・・ではなく移動になります。会場は南の大陸です。
今回は、みんなで行く予定です。南は森の大陸と呼ばれています。
大会は・・・多数のモンスター戦を予定しています。見たい組み合わせがあれば、感想かメールで受け付けますよ。
・・・次回!もんすたーにっき「森?なにそれ?かんじゅーす?」・・・カイカン!