メイドさんの憂鬱
1000ユニ突破!お気に10突破!ありがとうございます。
感謝をこめて、番外です。
「はぁ・・・」
最近、ため息が増えた。
あの人が来てから、お嬢様は以前にも増して元気になられ。カラーにいたっては、騒ぎを起こす回数が確実に増えたように思う。その大元になったのは、良くも悪くもあの人だろう。
・・・先日、お嬢様が連れて来たモンスター、名をケンと言う。その姿はまるっきり人だ。しかし、その強さは人にあらず、モンスターのそれを越えるかもしれない強さを持っていた。
そんなモンスターが、お嬢様の初のモンスターなんて・・・きっとお嬢様の名は、世界に轟くに違いない!
「レイ姉~、ご飯まだ~?って、拳握り締めてどうしたの?」
この子はカラー、幻想種妖精族のとても珍しいモンスターだ。私と共に旅をしていたのだが、とある理由でここに世話になっている。
「どしたの?ぼーっとして・・・」
知力、知識はとても高く。私よりも博識であり、何よりその知識は良い方に使われるべきと、信じて疑わない純粋さに、いつも感謝と尊敬の念を抱いている。
「いえ、なんでもないのですよ・・・最近出番が減っているものですから、作者に言いに行こうかと・・・」
「さんせ~~!!すぐ行こう!ああ・・・でもご飯~~!!」
その姿はとても愛らしく、見る者の庇護欲をあおる。
「では、ご飯を食べてからにしましょうね」
「はーい!」
そう言って、テーブルでおとなしく待つカラー。
・・・今頃、お嬢様はどうしています事やら・・・
お嬢様とケンさんが修行をしに、中央大陸に行って早三日。私たちは、いつもの様に変わりなく過ごしていた。
お嬢様が、モンスター調教師を目指し始めてから・・・もう、かなりの時が立っている。小さかったお嬢様も、今では立派なレディーと行って差し支えないだろう・・しかし・・
「あの、マスターを彷彿とさせる学者肌は、どうにかならないものかしら・・・」
そうなのだ・・この家に帰ってきてから、毎日毎日フィールドワークと研究、そして資料と睨めっこの日々・・・
おおよそ、『女の子』としての行動に欠けているのではないか・・・
もっと言えば、以前は調教師になるべく、そうしたことを避けて来たのだから・・・これからは、むしろ全力で『女の子』をして行く必要があるのではないだろうか!!
そう思わずには、いられない・・・それに・・
「レイ姉~~!!まだ~~~?おなか減ったよ~~」・・そう言われ、ご飯の支度の真っ最中だった事を思い出す。
「ごめんなさい。すぐに行きます」
「はーい!急いでね~」
こういう時、カラーの素直さには本当に感心する・・・そう・・こういう素直さを見習ってほしいのだ!・・・おっと、考えが過ぎてしまった・・・カラーが食事を待っている・・急がなくては・・
「おまたせしました」
「やっときた~。わーい!ご飯♪ご飯♪」
「今日も二人ですし、ゆっくり食べましょう。」
「うん!」そう言って、いつもより少し遅く食べる・・
「今頃コニー姉とケン・・どうしてるかな~」
「フフッ」
「どうしたのレイ姉?何か可笑しかった?」そう言ってカラーが首を傾げる。
「いえ・・・私も、まったく同じことを考えたものだから・・・」
そう言って、二人で笑いあう。
「ケンが来てから、コニー姉楽しそうだよね」
「そうね。とてもいい事だわ。」
「ま、レイ姉もだけどね」
「え?・・・」そうだろうか・・・
「ケンが来てから、必ず毎日3時のおやつが出るようになったもんね~♪」
そう言いながら、うれしそうなカラー。
私が・・楽しそう・・確かに3時のお茶の時間、カラーと一緒に楽しそうにお話しする彼の姿は、とても好ましく思う。でもその分、仕事が増えたのも事実だ。モンスターである私は、少しぐらい仕事が増えた所で、大した事にはならない。厄介なのは、カラーと一緒になってはしゃぐところだ。
「カラー、ケンさんを騒ぎに巻き込むのは止めなさい」思い出したので、嗜めておく。
「えー・・・ケン、すごく楽しそうだよ。それにレイ姉だって・・・」
・・・怒っている私が・・・楽しそう?
「カラー、私は楽しくなどありませんよ。はしゃぎすぎてお嬢様の研究の邪魔などしたら、それこそカラーの本意では無い、違いますか?」
「う~ん。そうだけど・・・怒ってるレイ姉も楽しそうに見えるんだよ~」
「・・・そうですか・・・・」
私と共にずっと旅をしてきたカラー。度々こうして、私自身気づかない私の事に気づかせてくれる事がある・・・では、私も楽しんでいる・・と言う事なのだろうか?
そう言えば・・この子たちを叱る時、あまり・・いや、全然嫌な気分にならない・・・それは、私の使命感から来るモノだと思っていたが・・・
「そう・・なのかもしれないですね」
「そうだよ~!だから、今度一緒になって遊んだら、もっとはっきり分かると思うよ!!」
・・・それもいいかもしれない・・・
私は、自分がとても固い思考をしているのを自覚している。一度その殻を破ってみたほうがいいのかもしれない・・
「そうね・・・お嬢様たちが帰ってきたら、みんなで一度遊びに行きましょう」
「やった~~~~~!!」
そう言って、喜ぶカラー。
「カラー食事は・・・」そういう私に・・・
「楽しく!でしょ?!」
喜ぶカラーの姿を見て、二人が早く帰って来ないかな・・と。密かに願う昼下がりであった。
「で?作者に文句言いに行くんでしょ?」
「あ・・そうでしたね。この間のレズの件の言い聞かせないと・・・」
・・・え?・・いい感じに話、終わったじゃん!・・もう・・それは・・・うぎゃああ!・・・
ガシュ!ザク!ズバ!・・・パタリ・・・
あとがきです
いつも読んでくださって、ありがとうございます。そろそろ色々しなくてはならず、掲載が遅くなる事もあると思います。しかし、連載は続けていきますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。