首輪?なにそれおいしいの?
「よし!」
そう言いながら彼女は、鏡の前でくるりと回る。
どこにもおかしいところはない。今日は、彼女にとって特別な日だ。
・・・そう、モンスター調教師としての記念すべき一日なのだ。
彼女の名は「コニー・リコリス」職業「モンスター調教師」
全身をくまなくチェックし確認を終えると、玄関から出てモンスター神殿へ向かう。
彼女は、過去3回モンスター調教師試験に落ちていた。先日4回目の試験を受けようやく合格にいたったのだ。
そんな経緯もあり、彼女は鼻歌交じりに小躍りしながら(道行く人に眉をひそめられながら)モンスター神殿へと向かっていた。
今日は、初めてモンスターを貰う日だ。モンスター神殿にて家宝の石版からモンスターを出してもらい、その子を育てる。そう心に決めていた。
家宝の石版、といっても父が亡くなる前にどこからか持ってきたもので、一昨日まで家の納戸に放り込んであったものを彼女が見つけ、石版に付いていたメモに「だいじなもの」と書かれていたので、彼女が勝手に家宝と認識したのだった。
そうしてしばらく町を歩く、すると大きな神殿が見えてきた。
・・・モンスター神殿・・・
そこは、モンスター調教師が遺跡などから手に入れた石版等に封印されたモンスターを、女神の力をかりて現世に復活させ、自分のモンスターとして使役するための場所である。石版からは一回しか出現させることができず、危険と判断されたモンスターは石版に再封印させることもある。しかしたいてい、危険な場合やその調教師のランクに合わない場合は出現しない場合が多い。再封印された場合は、自分のランクが適正になったとき、もう一度石版の封印を解くために神殿へ来る事になる。
彼女は神殿の門をくぐり、受付カウンターに声をかける。
「こんにちはー!おじいちゃんきたよー!」
声を受け奥から全身真っ白な爺さんが現れる。
「おお、コニー来たか。早かったな」笑顔で答えるお爺さん。
「うん!今日からついに調教師だからね!早く着ちゃった!!」
「そうだなぁ。ついにワシの仕事を継いではくれなんだか」
少しがっかりしたように、しかしうれしそうに彼女をみる。
「ごめんねおじいちゃん。けど、弟がそっち行ったし、大丈夫でしょ」
「あの堅物じゃのぉ・・・。仕事がやりにくくなりそうじゃわ」笑いながらじいさんは、奥を指した。
「早速、召喚の儀をするかの。持ってきた石版をだしなさい」
はーい、と言って。コニーは石版をを見せる。すると爺さんは眉をしかめた。
「珍しいものじゃの。これではもしかすると、お前さんのランクじゃ復活しない可能性があるが、いいのか?」
「いいよ。もともとダメもとだし、そのときは市場で可愛いやつ連れてギルド向かうよ」
「そうか。ならよい。ではさっさとやってしまうかの。わしゃ眠いんじゃ」
「うん。さぁいこう!なにがでるかなー」
ウキウキしながら爺さんの後についていく、奥に着くと大掛かりな陣とその前に祭壇があった。
祭壇に爺さんが石版をのせ、祈りをささげ始める。程なくして陣が光り始め、光のカーテンがおりた。
「おお、召喚できそうじゃわい」
「やたー!!なにがでるのかな?」
光のカーテンが徐々に消え始めると・・・・
・・・そこには人型で青い「なにか」をまとったモノが寝息を立てていた・・・
・・・ここは都内某所・・・
その日、彼「吉田 拳」は30歳の誕生日を一人さびしく迎えていた。
「・・・うう・・ついに魔法使いの称号を得てしまった」
悲しそうにうめく彼は、童○のまま30歳を迎え、自虐的のそう呻くのだった。
「もう、俺は一生このままなんだ・・・もうだめなんだ・・あぁぁ」
彼はお酒を飲んでいた。かなり飲んでいた。そしてそれを止めてくれる人は、彼の周りにはいなかった。
彼は、特別容姿が悪いということはなかった。そして、女性と話すことにストレスを感じることもなく(彼の両親がそのように教育した)可能性は十二分にあったはずだ。しかし、彼は現在○貞なのだった。 環境が悪かったのかもしれない、行動が悪かったかもしれない、そんなことを考えながら彼はその日、いつものように青いジャージを着て眠りに付いたのだった・・・。
・・・寝返りを打つと頭が石の上にあったように痛かった・・・
「んん・・」おかしい、そう思って起きると、天井が異様に高かった。家ではないそう思って周りを見る。
「ここどこ?」
そう言いながら、視界の真ん中にでかい祭壇?のようなものが映った。
ナニこれ・・・そう思いながらよく見るとフシギな格好をした女の子と真っ白い爺さんが見えた。
「ここどこですか?」と聞くと・・
「 」
「 」
よくわからない言葉が返ってきた。
「え?なんですか?私は英語とかダメですよ。あいきゃんのっとすぴーくいんぐりっしゅ」
そう言うと、女のこの方が爺さんから、何かを受け取って・・・・
・・・僕の首に首輪をつけた・・・
初投稿です。