0日目
ここは、科学×魔法が混ざった世界。身分・能力で進路がほぼ決まる。そして、女子は別区画(女子隔離区画)別名、エリスに閉じ込められている社会。なぜ、女性を隔離するのかは不明だが、女性を保護し、社会的混乱を防ぐためらしい。でも、レイは知っている。エリスが存在しているのは、出生と血統を国家が管理するためだということを。あまりにも、エリスは残酷で、何より静かすぎる。レイは思う。
「ここにいたら、私は“私”のまま死ぬ…」
感情を殺せ、期待するな、選ぶな。それがエリス。
そして最悪なことに、どうやら今日は、感情遮断訓練の模擬版の日だった。エリス内でも行われる、適性検査。しかし、私は、将来の従順な自分、恐怖を見せられても、何も感じなかった。教官は言った。
「……この子は“欠陥”だ」
その瞬間、レイは理解する。ここにいたら、いつか“処理”されるという事を。レイは、逃げるしかなかった。最終目的地は、ノクス・アカデミア。男子学園だ。レイは感情を使わない。使うのは観察と計算だ。レイは、何かを盗む事を考え、作業用の深い帽子、予備制服(男子用)、通行証を盗んだ。エリスを抜けるには、男になるしかない。レイは、男装する道を選んだ。また、エリスの監視は「内側重視」、外周は結界頼みで人が少なく、深夜は点検ルートが固定だった為、意外にもエリスを抜けるのは簡単だった。誰もしないのは、皆が感情を捨てきれずにいるからだ。レイは、血がにじむほど走って、境界線を越える。そして、遂に例の目的地である、灰色都市〈グレイヴェル〉に着いた。初めて見る外。空は低い、建物は無機質、人は早足で、誰も見ない。最高な環境だった。レイはここで髪を切らなかった。長い髪を帽子に無理やり押し込む。レイは、「消す」のではなく「隠す」ことを選んだのだ。男子学園〈ノクス•アカデミア〉は都市の中心、少し高い場所にある。ノクスは、能力さえあれば拒まない。記録が曖昧、身元不明でも実力がある。それだけでAクラス(最高クラス)に放り込まれる。教官は言う。
「君は、ノクス向きだ」
レイは笑って答える。
「光栄です」
この瞬間、レイは完全に“戻れなくなる”。




