私が推しです、気付かないでください
正体知られたら不味い系。
「どっちが読まれるか勝負!」
「勝てるかなあ、わたし」
苦笑いしながら、返す。
「推しに絶対読まれるから、私」
「あのvtuberでしょ?」
「そう、そのvtuberしかいない。
2次創作も投稿してるし、絶対に認知されてるよ、絶対っ」
「だったらいいね」
それしか、わたしには言えない。
嫌いな訳ではない、わたしにとっても大切なvtuberだ。すごく、大切な。
「今週も絶対に推しのラジオ聴く。そして、絶対に読まれる。繋がってるんだあ、て思えるの」
「いきいきしてるなー」
「推しだから」
「3年生なのに、進路大丈夫? もう11月だよ?」
「今は推しっ」
はいはい、可愛い可愛い。
「友達と、どっちが読まれるか勝負をしています」
「その友達は1回も読まれたことがありません。毎回聴いているので自信をもって言えます」
「さて、11月ですね。推し様も高校3年生らしいですね、私たちと同じです」
「卒業してもvtuberをしてくれますか?」
本当に、毎回送ってくるなあ。
何も知らないで。
「応援ありがとうございます。貴女が推してくれる限り、ずっとvtuberです」
これは、本心。
友達の投稿を読んだ。
また、貴女の不戦勝ですよ。
「また読まれたっ」
翌日、早速自慢してくる。
胸を張り、誇らしげに。
可愛いファン。何も知らず、本人に。
「よかったね、また読まれて」
やはり、わたしは苦笑い。
「嬉しかったから今朝2次創作投稿したっ」
「そっかー」
じゃあ読まないと。後でSNS見よ。
「1回は読まれてもいいのにね、推し様に」
ニシシ、と。
ああ、いきいきしてる。
この子の推しは、わたしだったりする。
正確に言うと、vtuberとしてのわたし。
なぜ気付かれないか? 多分、近すぎて見えないのだ。こんなに近くにいるはずがないって。
どうか、ばれませんように。
だって、この子が、こんなにもいきいきとしているから。
曇ることなく、純粋に、キラキラとしていてほしい。
可愛いから。
読んで頂き、ありがとうございました!
友達が推しとか、近すぎて逆に気付けそうにない。




