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祝福で呪われて七度目の転生!今度こそ風の聖女を護りたいのに、あほの子に育って俺を邪魔してくる  作者: 笹色 ゑ


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3 どじっこにはダメなスカート丈

「新人メイドのアリアを連れて参りました」


 シファヌが連れてきたメイドはピンクブロンドをふたつの三つ編みにし、太腿が見えるほど短く切られたメイド服を着ていた。


 当家のメイド服は襟だけ白い黒のワンピースに白のエプロン、ホワイトブリムだ。私の趣味でなくメイド達が選んだものだ。当初動きやすさ重視で作業着を提案したら断固と拒否されたのだ。


 見慣れたメイド服だが、本来見えることのない白のハイソックスの穿き口が露になり、スカートとの間に素肌が見えている。


「ひぇん」


 新人メイドのアリアがスカートの裾を伸ばす様に引っ張っている。


 その反応から、悲壮感はない。


 普通ならば婚約者にこんな格好をさせるシファヌを叱責するべきなのだが、そういう気になれない。


「シファヌ、どういう状況だ……」


「失敗するごとに、スカートを切りました。ご貴族様の令嬢にも真面目に働いてもらえるようにというちょっとした悪戯でしたが……ここまでの惨事になるとは」


 やった本人がそんなことを言う。


「どれだけ失敗すればこうなる……」


「ううっ、メイドのお仕事がここまで難しいなんてっ」


 その程度の反応でいいのかとむしろ心配になる。まもとに働けなかったことを悔やんでいるようだ。


「アリアさん、今は職務中です。ご主人様への返事としては失格です」


「ひぇぇっ、申し訳ありませんんっっ」


 どこからともなく出したハサミが鈍く光る。アリアの怖がり方もなんというか、緩い。


「シファヌ、これ以上やると下着が見える」


 既に白いパニエが覗いている。それも、普通のメイド服用と違い随分短いようだった。


「アリアさん、そちらのテーブルの拭き掃除をしてくきださい」


 ハサミの代わりに布巾を取り出すと、シファヌがアリアに渡した。


「ハイっ」


 なぜか自信満々でアリアがソファー前のローテーブルの掃除をはじめた。


 突飛な指示にどう言う意味だとシファヌを見ると、シファヌはそっとアリアの方ほ手で示した。その先には、こちらに尻を向け、純白のパンツを露わにする姿があった。


「ご覧の通り、とっくにパンツは見えています」


「ええっ」


 アリアがお尻を隠そうとした拍子に足が当たり、ローテーブルに乗っていた花瓶がこけて水がこぼれた。部屋に花など普段は飾っていない。アリアが来るからかと思っていたが、有能すぎるメイドが怖い。


「あわわわわ」


 あわあわとアリアが溢れた水を拭く。テーブルの上はまだいいが、床を拭くといっそう尻が丸出しになっていた。見てはいけない曲線に唾を飲む。


「アリアさん。下着が見えた程度で慌てては一人前のメイドには成れませんよ」


「はいっ。精進しますっ」


 馬鹿なアリアが返事だけは威勢よく返す。


「シファヌ、今日はまだ初日だ。あまり厳しくしないように」


「承知しました。ではアリア様、今から休憩といたします。すぐに向かいますので、お部屋でお待ちください」


「はい」


 アリアが元気よく部屋から出ていく。その後ろ姿にため息が漏れた。


「シファヌ、あれでもアリアは私の婚約者だ」


「承知しております」


 至って真面目な顔でシファヌが返す。


 仕事に関しては有能で真面目。悪い点は真面目すぎることだったが、こんな事をするとは。


「言い訳はあるか?」


「ご主人様がアリア様に対して誠意を持って尽くしておられることは承知しております。傷つけるようなことを望まれないことも承知しています。ですが、恩を仇で返す方が同僚として働くことに些か不満かあったのは事実です。すぐに本性を出すだろうと、本人に危害がなく、恥辱を与えるためにスカートを切りました」


 いつもの微笑みもない無表情でシファヌが続ける。


「自分でも、最終的にあのような惨事になったことは予想外でしたが、アリアさんは鈍臭いなりに、とても熱心に職務を全うしようとしていたのも事実。これから鍛え上げていこうと思います」


「馬鹿な婚約者に立場をわからせようとした結果、アリアの仕事への姿勢に絆されたと……」


「処分されると言うのであれば、甘んじてお受けします」


「他の者の目には晒していないか?」


「三階には他の者を入れておりません」


 アリアへ接触する人間を減らすため、対応はシファヌにだけ任せた。三階の掃除が行き届かな苦なることなどは了承している。


 シファヌの下着や絶対領域を他の男にも晒したと言うならば減給物だが、その点にも配慮していたならば問題はない。


「婚約破棄も騙されて言い出したことだ。それで嫌がらせをするのは許可できない」


「はい。別に短いスカートのタイプを用意しましたが、そちらは処分しておきます」


「…………せっかく用意したならば、他の目に触れないならば……捨てずとも、いいだろう。これからは夏で暑いだろうからな」


「承知しました」


 今、私は何を言ったのか。


 いや、せっかく部下が用意したと言うならば、無碍にはできないだろう。決して、決してアリアの下着が見たいわけではない。


 そもそも、アリアは護る対象でしかないのだ。


 それに、下着につい目がいってしまうのは男の生理現象だ。どれだけ使命があろうとも、私の体はまだ十九の未熟者だ。だから、仕方ないことだ。





ここまで仕事ができないメイドがいるとは考えていなかったシファヌ。


アリアのぱんちらを見てはいけないと思うほど目が行くヴァーナード。

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