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祝福で呪われて七度目の転生!今度こそ風の聖女を護りたいのに、あほの子に育って俺を邪魔してくる  作者: 笹色 ゑ


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16 特異魔法の抑制方法

ユナちゃんが用事で部屋を出てから、シファヌ先輩に歌を歌った。


 育てているお野菜がいいころ合いなので、それを喜んで夏野菜の歌を歌った。


 兄達と作ったオリジナルソングである。


 明るい曲調に楽しい歌詞のはずが、歌を歌い切って目を開けると、シファヌ先輩が泣き崩れていた。


「つまり、泣き止ますために子守唄まで歌ったと」


「うぅ、はい」


 もちろん優しい方の子守唄だ。そしたら起きなくなってしまった。


 ヴァーナードが長く深いため息をついた。


「うう、よくわかってないけどごめんなさいぃ」


「アリア、お前には……アリスティーネ家の家系には、特異魔法を使える者が発生しやすい」


「魔法が得意?」


「違う。七代属性に分類できない魔法を使えることだ」


「属性?」


「いくら魔法が使いにくいとはいえ、学校でも習っただろう」


 この感じだと、ヴァーナードからも習っているようだ。


「えっと、でも私は風属性で、その変なのじゃないし」


「アリアの兄のアリルドもピアノを介して特異魔法を発動させている可能性が高い。アリアは、声……特に歌を歌うことで魔法が発動し、精神干渉に似た作用が発揮されることがある」


「……」


 首を傾げる。どういうことだ。


「お前が、私の渡したネックレスを付けず、シファヌに歌を歌ったことで、精神的にショックを与えたんだ」


「えっと、じゃあ、私が、シファヌ先輩を傷つけた?」


 普段淡々としているシファヌ先輩があんなに取り乱して泣いていた。きっと酷く傷付けたんだ。


 あんなに、優しくしてくれていたのに。


 そう思うと、ジワリと涙が浮かぶ。


「……ショックは受けただろうが、傷つけてきた相手に泣き付いたりはしないだろう」


「本当に? 謝ったら、許してくれるかな」


「ああ」


 涙を拭う。後で、ちゃんと謝ろう。


「でも、ネックレスと何の関係があるの?」


「あれに、その特異魔法を抑える効果を付与させていた。あれを付けていれば、ここまでにはならなかったろう」


 ヴァーナードに贈られたネックレスは、母からもちゃんと付けなさいと言われていたから、毎日付けていた。けど、卒業式の一か月くらい前に盗られてしまった。


 今まで、付けているのを確認されたこともなかったし、見つけて取り返そうと思って、今に至る。というか、忘れていた。


「ごめんなさい」


 ちゃんと、相談したらよかったのだ。そうしたら、シファヌ先輩が泣くことはなかった。


「一度座れ」


 言われて、ソファに座る。


 母から、人前で歌うのははしたないから、歌ってはいけないと何度も言われていた。このことを知っていたなら、教えてくれればよかったのに。


「どうして、ずっと黙ってたの? ヴァーナードも知ってたなら、教えてくれれば、歌わなかったのに」


 家族と一緒に曲を作って、一緒に歌ったり演奏したりするのが一番好きだった。


 でも、他の人の前では、できないんだ。


「リリア夫人は、アリアには自由な生活をさせたかったんだろう。あれがあれば、そこまでの被害も出ないはずだった。……茶でも飲んで落ち着け」


 メイドなのに、主人にお茶を淹れさせてしまった。


 出されたカップを手に取る。


 シファヌ先輩が淹れるのと同じくらい、優しい味がした。


「……代わりに、これを付けておけ」


 言うと、ローテーブルに何かを置いた。ちいさな箱に、黒いリボン? がある。


「これは何?」


「見ればわかるだろう」


「……リボン?」


「チョーカーだ、見ればわかるだろう」


「近くで見たら、わかる、はず」


「……手に取っていい」


 言われて、手を伸ばす。触れると何か体の中から流れる感じがした。


 黒いリボンだと思ったけれど、黒い宝石が付いている。それにレース編みがすごく細かい。


 前のネックレスも高そうだと思ったけれど、これは、その何倍も高いと確信が持てる。


「こんな、高いの、着けたくない」


「……近くで見れば、高いと分かるのか?」


 ヴァーナードがそんなことを聞いてくる。私だって、宝石が高いとか、これがどれだけ細かい細工かくらい、ちゃんと近くで見ればわかる。


「置いてたら、宝石がついてるなんてわからなかったんだもん」


 きらっとしたのはリボンの光沢だと思ったのだ。あんなに遠くては、人の顔と一緒でぼんやりとしか見えない。


「お前……目が、悪いのか?」


「へ? 顔は、いいはずだけど」


 母から手放しに見た目の良さは褒められている。


「顔まで馬鹿にしくてもいいじゃない」


 むっとしている私に対して、ヴァーナードが嘘だろうと絶望したような声を出していた。


「そうじゃない。アリア、お前は近視だ」


「? なにをしちゃいけないの?」




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